47/58
おっさん、青春 第4章 第5話 ~「猫と時間」~
三日ある。
雷は、そう言った。
――三日。
役所的には、
「余裕がない」だ。
猫的には、
「昼寝三回分」らしい。
「……白丸」
俺は、資料を広げながら言った。
「三日って、短いよな?もう2日経ってしまった。」
白丸は、こたつの縁で丸くなったまま、
片目だけ開けた。
『短いかどうかは、使い方次第だ』
「それ、誰の言葉だ」
『猫』
「……」
白丸は、尻尾だけ動かした。
『人間は“三日”で焦る』
『猫は“三日”で季節を感じる』
あおばが、窓の外で羽を鳴らした。
一回だけ。
鳴いた、というより、合図だ。
「……一日、何もしてない気がする」
俺が言うと、
白丸は鼻で笑った。
『違う』
『人間が“何もしてない”と思う日は』
『自然が一番、仕事をしている』
山は、何も進んでいない。
だが、不思議と焦りはなかった。
窓の外。
雲が、少しだけ動いた。
それだけで、
今日という一日は、
ちゃんと使われた気がした。




