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おっさん、青春はじめます。 第3話 ~私はいくつ~

走り終えて、息があがって苦しく、庭のデッキに寝転んだ時、空気が揺れて空が光った?


同い歳の人たちは、青春を楽しんで今があり、その頃を懐かしむようしているが

今を青春としたら、

どんなに楽しめるのか?


笑いあり、恋(?)あり、知恵と経験で乗り切る人生、青春やり直しコメディ


時に真面目で、時に笑え、時に泣けてしまい、

時にスケベーな主人公、

名前はまだない。

ずっと俺なのか。

どうぞよろしくお願いします。

65歳。

定年退職した俺の人生は、もう静かに余生を過ごすだけだと思っていた。

 孫の成長を見守り、妻と温泉にでも行って……それで十分。そう思っていた。


 だが、あの日。

 夕立に追われるように走っていた俺は、突然の稲光に飲み込まれた。

どのくらい気を失っていたのだろう。


目を覚ましたとき、ずぶ濡れで少し寒いと感じたが、身体に痛みはなく、頭も回転していた。


しかし、しかし風呂場前の

洗面台の鏡に映っていたのは――

 しわも白髪も消え失せ、精悍な顔つきの20代中ごろの俺だった。


「な、なにこれ……」

 思わず声が裏返る。いや、声まで若返ってるじゃないか。


 半信半疑のままシャワーを浴び、

風呂場の鏡に映る自分を観て、ブヨブヨの身体は無く、ビール腹も無い。

ドラマでやるように、顔をつねったり、手をつねってみると痛い。

若い頃のスポーツをしていた時と同じ腕の太さ、胸板がある。

風呂場から出て

いつもの服を着るが、ピッタリ着れた。

そうか、

腹が大きいので着るものも少し大きいものにしてあったわ。


 「……あ、あなた?」

 「お、おう……」

 妻は50歳、見た目はとても若々しいが、さすがに歳には勝てない。

出会った頃は、可愛いくて、美人で、

今でもその面影はあり、実際の歳よりは若く見える。

優しい時もあるが、ここだけの話ちょっと怖い…。


 そんな彼女が、信じられないものを見るように俺を凝視していた。


 「ど、どうして……高校生みたいな姿に……?」

 「いや、それが俺にも……さっぱり……」


言葉を詰まらせる俺に、妻はしばらく口を押さえていたが――

 次の瞬間、驚きと混乱の奥に、ほんの少しだけ笑みが浮かんだ。


 「……ふふっ。あなた、青春やり直すつもり?」

 「なっ……!」


 そうだ。

 もう二度と手に入らないと思っていた“青春”。

 それを、俺は再びやり直せるかもしれないのだ。


 ――おっさん、青春はじめます。







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