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6 通り魔
13隊が配属されているのが海の街で助かった。ここの港には貿易用の長距離移動できる巨大な船が多くあるから俺たちの船は目立たない。特に偽装もしなくて済む。13隊隊長との面会でつかれていた俺は早々に眠りについた。
しかし予想に反して夜中に危険を知らせるベルがなった。
「どうしたんだよ。」
見張り台にいたアリスは緊迫した顔をしている。
「港で人を襲っているものがいる。」
望遠鏡を覗き込み、船着場をみる。
船着場では兵士が夜の警備をしていた。
暗がりから何者かが現れ、兵士に後ろから切り掛かった。
赤い色がひろがって、斬られた腕がころがった。
兵士を襲った者は反撃が来るより先に踵を返して逃げる。
回る灯台の灯りが血濡れた剣を持って逃げる通り魔の顔を照らす。
「エマ?」
走り去って行く通り魔の顔には覚えがあった。