5 対談
「わざわざ会いに来ていただきありがとう。こちらが探していたというのにご足労をかけた。」
「無問題!王の息子であらせられるルーカス様が騎馬の王を探していると聞いたから、我も会いたくて飛んで来たのさ。」
向かいのソファーに座るユーシェンは常に笑顔でし表情からは何を考えているのか読めない。
俺はユーシェンを船の応接室に通してもてなしていた。最大級のもてなしをしなければならない。ここで下手を打てば面子が潰れる。貴族社会とはこういうものだ。
「失礼、お茶の準備が出来ましたのでお持ちしました。」
ポットと3段の皿がのったトレーを持ったエマが部屋に入って来る。
「来ていただいたうえ、うちの使用人を助けていただいたんだ。どうかもてなさせてくれ。」
俺はユーシェンに紅茶と菓子をすすめる。
給仕はエマに任せている。
エマは元々、王族の側で世話をしながら護衛をする騎士であるから、こういった役割には向いている。
もてなしの作法も仕込まれている上、いざとなれば戦える。
「ルーカス様は、勇者の遠征に行かれたと聞いたよ。どうして騎馬の王を探していた?」
ユーシェンの質問に冷や汗が伝う。
「そんなこともご存じなのですね。」
「騎馬の民は耳が早いのさ!」
こちらの情報は握られているのに、俺が得ている騎馬の民の情報は少なすぎる。かなり不利な状況だ。
「目的地へ向かう前に、ぜひ騎馬の王にご挨拶したく、探しておりました。」
「それはそれは。光栄だよ。」
ユーシェンはニィと笑う。
ユーシェンは食えない男だ。敵陣に飛び込んできたのはそちらなのに、俺の方が追い詰められている。
ユーシェンは表情を変えないまま、「ルーカス様に恐れ多くもひとつ頼みがあるんだ。」という。
「私ににできることなら何なりと。」
「勇者の遠征には、浄化の力を持つ少年が同行しているらしいじゃないか!彼を連れてぜひ我ら騎馬の民の宴に来てくれないか?」




