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狡猾なる勇者  作者: H2O
第一章
12/68

12 終焉

 赤毛の少年から買った薬は本物だった。痛みに苦しんでいた兵士たちは、薬を投与すると何事もなかったかのように動けるようになった。しかし所詮は痛み止めであって、怪我が治るわけではなかった。薬が切れると、兵士たちは前以上に苦しむようになった。一度楽になった分、痛みをより激しく感じるのだ。私がやったことは、正しかったのだろうか。


思考にふけっていると、突然誰かがドアを激しく叩いた。


「隊長!開けてください!お願いします!」


「どうした?」


ただごとでない部下の様子に私はろくに確認もせずドアを開けた。


「早く薬をください!お願いします!」


必死の形相で薬をねだる兵士は、ほおがこけ落ち窪んだ目だけがギラギラと光っている。


「君、様子がおかしいぞ。大丈夫か?」


語りかけてもろくに耳を傾けず、「薬をください!」と繰り返す。


「まだ持っているんでしょう?お願いします!」


「しかし…」


あまりの腱膜に戸惑う私に、兵士は痺れを切らした。


「やっぱり、隊長は薬を独占したいんでしょう?そうに違いない!あの人の言うとおりだ!」


「落ち着きたまえ!なんの話だ。私は薬を独占なんかしてないぞ。」


けれど兵士はパニックに陥り暴れ出す。


「誤魔化さないで!俺には薬がないと!」


まずいと思った時には遅かった。

グサリと腹をさされた。


「あの人が言ってたんだ。こうしなきゃ薬は手に入らないって!仕方なかったんだ!」


叫ぶ部下の声がだんだんと遠くなる。


不思議と意識とともに後悔も薄れてゆく。


最期の時には、私は海の街の民のため、部下のため、誰かのために、身を粉にした生き方を選んでよかったと考えていた。


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