表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
19/46

第18話


 学生寮の外に出ると、康熙がいた。榊原康熙(さかきばらこうき)。俺たちと同じ特待生で、クラスメイトの1人。風香と康熙、俺の3人は同じ“班”だった。これから行われる実技訓練の授業、「対ペルソナ軍事教育」と題された課題に向けて構成されたチームで、これから訓練場に向かうところだった。



 「おっす」


 「おはよ」



 康熙も眠たそうだ。恐らく、俺と同じで起こされたんだろう…。風香は男まさりな性格で、口よりも先に行動で動いていくようなタイプだった。自分の言いたいことはオブラートに包まずに言うし、スカートの下にはいつも短パンを履いている。やさぐれてるわけじゃないんだが、女子っぽい一面がほとんどなかった。物静かな康熙とは真反対の性格をしていて、教室ではいつも明るい。せっかくキレイめな顔をしてるのに、体育会系のど真ん中を突っ走ってるせいで、周りからは“男気女子”の愛称で親しまれていた。



 「他のクラスの生徒も来るんだろ?」


 「今日は私たちだけだよ、多分」


 「先に言っとくが、あんま役に立たないぞ…?」


 「何弱気になってんのよ。記憶は無くなっても、体は覚えてるっしょ」


 「それが、…全然」



 特進コースの生徒は、「アンダーテイカーの候補生」の中でも“筆頭候補生”と呼ばれ、特別な才能を持った者たちのみが配属されている。ただ、この「才能」というのは“呪われた力”と言われ、周りからは快く思われていない。当然、俺自身もこの「力」について良く思ってなくて、なんなら捨てたいくらいだった。



 「ÐP(ドライブゲージ)の扱い方も、まだ?」


 「全然ダメ。昨日もイメトレしたんだけどな…」



 康熙は右手を広げて、青く光るエネルギー弾を出してみせた。ボール状の形をしていて、手のひらの上でフワフワ浮遊している。「雷人(ライトニング)」の異名を持つ通り、康熙は自在に“電気エネルギー”を生成することができた。康熙が近くにいればコンセントは不要で、その気になれば頭の中で会話することも可能だ。風香や康熙は俺と違って自分の能力をそれなりに扱えており、アンダーテイカーとしての“力の引き出し方”は、1年生のそれとは比べものにならなかった。



 「ドライブの意味はわかってる?」


 「…なんとなくは」


 「アンダーテイカーには「ドライブゲージ」って呼ばれるエネルギーの格納庫みたいな場所がある。そのエネルギーを“どう扱っていくか”が、戦う上で重要になってくるっていうか」


 「自分の「能力」が何かもわかってないんでしょ?」


 「わかってないっつーか、どうやってエネルギーを引き出すのかがわかんないんだよ」


 「ダメダメじゃん」


 「2人はどうやって?」


 「何が?」


 「どうやって能力を引き出せるように?」


 「能力っていうか、自分が“何をしたいか”でしょ?先生も言ってたじゃん。アンダーテイカーになるには、まずは自分を信じること。その上で、自分の可能性を考えて、“自分に何ができるかを想像すること“が大事だって」


 「言うのは簡単だけどさ」


 「あんたは何がしたいわけ?最強になりたい?それとも…」



 能力を引き出すコツは、人それぞれある。ただ、最も基本的なことは、”イメージをどう具現化していくか“だった。つまり自分の想いとか性格とか、普段から感じる個人的な感情や精神が「能力」の素子になり得る可能性を秘めていて、その人の人格形成に大きく寄与してきた時間や経験が、もっとも肝心なパーツの一つになり得るそうだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ