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第12話



 「…ごめん、整理できなくて」


 「今は、安静にしておいた方がいいんじゃないかな。ちょっと先生呼んでくるね。何か飲みたいものとかない?」


 「できれば、…水を」


 「持ってくるね」



 白衣を着た先生が保健室の中に入って来て、コーヒーディスペンサーのスイッチを入れる。額縁のないメガネに、すらっとした体型。肩まで伸びた茜色の髪を後ろで括って、左手にはタバコが。白衣の裾は地面スレスレまで伸びていた。…わりとだらしない格好をしてるっていうか、随分とやさぐれた先生(?)が、雑誌か何かを手に持ちながら歩いてきた。



 「よぉ、小僧。目が覚めたか」


 「先生…ですよね?」


 「いかにも。私が保健室の女神だ。…んん?何だその目は。不服そうだな」



 不服ではないけど、異論はある。今俺のことなんて言った??…こう見えても18なんだが。…いや、1年経ってるってことは19か。どっちでもいいけど、小僧なんかじゃない。



 「そのまま目を瞑っていればよかったものを」


 「へ??」


 「話は聞いている。記憶をなくしたそうだな。自分の名前くらいは覚えているか?」



 そりゃ、…覚えてはいるけど。


 城ヶ崎さんといい、先生といい、俺が記憶を無くしていることを“知っている”みたいだった。100歩譲って、本当にそれが“事実”だとして、俺は一年間ずっと眠っていたとでもいうのか?事故か何かで頭を強く打って、昏睡状態に陥っていたとか??でも、だとしたら保健室なんかで寝てる場合じゃないよな…。そんな大ごとだったら普通病院に行くだろう。この先生じゃ、まともな治療もしてくれなさそうだし



 「自分の名前を言ってみろ」


 「日向坂…爽介」


 「よし。じゃあ順を追って説明するぞ。なんで記憶を無くしてると思う?」


 「…頭を強く打った?」


 「違うな。まあ、考え方によっては近いかもしれないが」


 「何があったんですか…?」


 「オブラートに包まずに言うと、「ペルソナ」と接触したんだ。1週間前の話だ。私も詳しくは知らないんだが、お前がこの保健室に運ばれてきたのはちょうど今から一週間前だ。幸い、外傷などはなかった。ヤられたのはあくまで“脳”だそうでな」


 「ペルソナ…!?」



 …嘘…だろ??


 血の気がさーっと引いて、何も考えられなくなる。“ペルソナと接触した”。その意味は、——重大さは、この世界に生きてるものなら誰もが知っている。


 …俺が?



 ………いやいや、そんなはずが………




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