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第10話



 「三高の生徒、だよな…?」



 彼女は頷くでも、返事をするわけでもなく、ただ残念そうな表情を浮かべて視線を落とした。…俺、ひょっとして何かしたのか?…いや、それにしてはなにも思い当たらない。つーか、昨日入学式だったよな…?見た感じ病院じゃなさそうだった。病院にしてはやけに明るい作りで、中央にはデスクが置かれてた。書類関連の本やら資料やらでぎゅうぎゅう詰めになった棚に、コーヒーディスペンサー。一面を囲った青い壁が印象的だった。所々遊び心が満載の部屋の作りは、病院にしてはちょっと垢抜けてるなって思った。涼しい風が吹く方に目を遣ると、グラウンドが。



 「…ここ、学校?」


 「そうだよ。保健室」



 なるほど。それで…か。窓の外の景色は、どこかで見覚えがある景色だった。グラウンドの奥手には体育館が見えた。昨日あそこで入学式があった。その後クラスの生徒と一緒に学校の施設を回って、学生寮の中に。


 記憶はそこで途切れてた。…でも、じゃあ俺はあの後どこに…?寮に回ったのは夕方過ぎだった。思いの外学校施設の説明が長くて、生徒による説明会も2時間くらいの長丁場だった。寮に行って、食堂とか大浴場の案内をされて、それで…



 「…ごめん、バカみたいな質問かもしんないけど、今日って何日…?」


 「…今日?今日は、5月24日木曜日だよ」



 …5月、24日!?



 …いやいやいや、そんなワケが…



 「冗談…だよな…?」


 「嘘だと思うなら、カレンダーを見てみなよ。テレビもつけてあげようか?」



 彼女の言う通り、カレンダーを見たら5月24日だった。ニュース番組も、スマホの画面も、——全部。



 「…本当に、なにも覚えてないの?」


 「…何も?何もって、どういう…」



 意味がわからなかった。彼女が初対面の人間じゃないことは、彼女の話し方でわかった。だけど、それはあくまで“彼女にとっては”だった。俺からすれば初めて見る人間だし、ここがどこかもわからない。「保健室」だっていうことは、彼女から聞いた。俺自身が記憶を無くしていることも、入学式から、“もう一年以上が経過していることも”。


 

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