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俺は異世界の潤滑油!~油使いに転生した俺は、冒険者ギルドの人間関係だってヌルッヌルに改善しちゃいます~  作者: あけちともあき
102・婿修行だ!

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106・うなぎ料理と美少年 第323話 シャザクの庭で特訓だ

「やあやあ」


「あっ、また美食伯! 頻繁に昼に来ますね」


「僕はフレックスタイム制で仕事をしてるからね」


「ふれっく……?」


 庭師の人には難しかったな。

 異世界の用語だ。


 遺跡第四層を管理する僕にとって、仕事というのはある程度は放っておいても富を生み出すものなのだ。

 だが、そこに不正が発生している可能性もある。

 なのでちょこちょこ見に行かねばならない。


「今回はビータの特訓だ。あとカキフライ。ちょっとシャザクが戻ってくるまで、彼の特訓をさせてもらっても?」


「構いませんが……。庭で暴れるようなことをなさらなければ」


「大丈夫大丈夫。特訓は彼の魅了をどうこうする、というやつなので。さあビータ」


「はいっ!」


 彼が大きな帽子を脱いだ。

 すると……。

 ビータを見た庭師が、ポワーンとなる。


「はわわわわ」


 腰が抜けてしまった。

 ばっちり魅了しているな。


「ビータ、ここで踏ん張るのだ! 魅了しないぞ! と意識するんだ!」


「えっ!? こ、これ、意識でどうにかなるんですか!?」


「なる。ギフトは割と本人の意識次第だ」


「わ、わかりました! はあーっ!!」


「あっ、なんか頭の中が晴れてきた」


「師匠! 本当です! 気合を入れて魅了しないぞって思うと、庭師さんがだんだん正気に……」


「僕に話しかけて気が逸れると……」


「あわわわわ」


 またポワーンとなる庭師。

 ご協力ありがとう。


 だが、これでビータはコツを掴んだようだった。

 あとはこれを訓練し、無意識下でも抑え込めるようになるだけだ。


 そんなところに、シャザクが帰ってきた。

 ビータは慌てて帽子を被る。

 これに、魅了を抑える意識を加えると……。


 シャザクやエリィが平常心でいられるというわけだ。

 

「ナザル、その物々しい装備は……我が家で作るのか!」


「いかにも。あ、こちらは助手のビータ。知ってるだろ? 魅了のギフトを持つ騎士見習いだ。今は魅了を抑え込むべく、特訓中だ。帽子はそのための補助だからよろしく頼む」


「ビータくんって、あの? うわあ、懐かしい!」


 エリィは覚えていたようだ。

 そうそう。

 僕と一緒に冒険者ギルドで、アイアン級向けの地味な仕事をこなしたもんな。

 エリィは見事に魅了されてたが。


「お久しぶりです! よろしくお願いします!」


 ということで、カキフライ作成に掛かる。

 ビータに頼むのは、油の具合のチェックくらいだ。


 衣のダマを落として、ぴちぴち言ったらOKと伝えてある。

 この隙に、牡蠣の殻をガンガン剥いて、洗ってから衣につけて、パン粉をまぶし……。


 メイドさんが冷えたビールを用意している。

 ビールの瓶を井戸で冷やしてたな?

 気が利くお人だ。


 こうして、きつね色に揚がったカキフライがシャザク家の食卓に並んだのだった。

 なお、使用人二人にもカキフライを四個ずつあげている。

 二人とも大喜びでパクパクと食べていた。


「あーっ、美味しい。本当に美味しい。美食伯、作るお料理は本当に美味しいのよね……」


「うん、美味い! これで私に精をつけさせるわけだね? なるほどなるほど、元気になるものだろうか」


「プラシーボだな」


 横ではビータが、甘いソースを掛けてカキフライをパクパク食べていた。


「ちょっと苦みがありますけど、ソースが甘いと美味しいですね」


「ふふふ、味覚が若いなあ」


 僕はニコニコしつつ……。


「しかし、真にシャザクに精をつけ、エリィとの間に第二子を成すためにはうなぎが必要になるだろう」


 そう宣言したのだった。


「うなぎ……なるほど、それは美味しいものなのか?」


「美味い。……いや、タレが美味いという可能性もある……。いや、白焼きも美味しかったから美味い」


「微妙な感じだな……」


「楽しみに待っていてくれ!」


 とりあえず、ビールはカキフライに大変マッチしていた。

 ビータはお酒はまだだな……。

 アーランでは、お酒は十五歳からだからな。


 こうして僕はビータを連れ帰り、明日に備えることになった。


「師匠、もしや明日は……」


「そう、うなぎを捕まえに行く予定だった。お前もついてくるんだビータ! そして今日に引き続き、魅了を抑え込む訓練をする……! 正直な話をすると、僕もうなぎを捕まえたことはないのに、詳しいサルシュが仕事で忙しくなって出てこれなくなったんだ。だから、ツインが助けに来るが……やはりツインも未経験でな」


「ははあ、ちょうど手が足りなかったんですね」


「そうなる」


 ちなみに僕も、ツインも、ビータも、一人称が僕である。

 三人揃ってしまったな……。


 こうしてビータを家に泊めることになったのだった。

 なお、またコゲタがビータを見てぽわーっとなったので、気を抜くとすぐに魅了がダダ漏れになっちゃうみたいだな。


 鍛えがいがある……。


「ビータはうちのベッドで寝るかい? かなり大きいから三人寝れるけど」


「ふ、夫婦のベッドに入り込んだりなんかできませんっ!」


 ビータは結局、馬小屋で寝ることになった。

 何気にポーターの馬小屋、過ごしやすいんだよな……。

 なお、ポーターはさっさと寝ていたので、魅了されずに済んだようである。


 こうして夜は明け……。

 うなぎ捕りの日がやってくるのである。



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