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俺は異世界の潤滑油!~油使いに転生した俺は、冒険者ギルドの人間関係だってヌルッヌルに改善しちゃいます~  作者: あけちともあき
86・コゲタ、アイアン級になる

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第265話 コゲタ初めての冒険

 アイアン級のバッジが到着する前に、コゲタを中心とした冒険をしてみようということになった。

 お祝いにコゲタの装備を買う。


 最近は資金的に余裕ができてきた僕は、コゲタの服をちゃんとした洋服店で買っているのだ。

 この世界の服は高い。

 基本的に 新品はオーダーメイドしかないから、ロバ一頭くらいの価格がする。


 なので、一般的にみんな古着を買って使うのだ。

 子どもなんかは特にそうだな。

 サイズがどんどん合わなくなるから、古着屋に売って古着屋で買う。


 で、古着屋は古着を補強したり、端切れで色々足したりするから……。

 以前のコゲタはカラフルなパッチワークだらけの子供服を着ていた。

 これはこれで大変可愛い。


 で、金が出来てからはオーダーメイドのコボルド服を着ていたんだが、これもお洒落でなおかつ可愛い。

 だが、冒険に行くためにはそういう普通の服ではよろしくない。


 僕は急遽、飼い主氏の伝手を使ってツーテイカーからコボルド用作業着を取り寄せたのだった。

 体の大きさの差があっても、紐を使ったり腕まくりしたりして、大体の小型種のコボルドにマッチする作業着!


「いいいぞコゲタ、すごく似合うぞー」


「ありがとー! なんかうごきやすーい!」


「うんうん、オーバーオールっぽい格好は変わらないが、膝や肘にプロテクターを付けてあるからな。これで怪我もしにくになるぞ。それで……どういう冒険をしたい?」


「んー」


 コゲタがくにゃっと斜めになって考え込んだ。

 今までは僕が持ってくる仕事についてくる感じだったもんな。

 だけど今回は、コゲタに選択権がある。


「自分で考えて決めてみよう。まず選べるのはこういう依頼だね」


 僕は選択肢を示す。


「まずは薬草採取。これは森に入るし、ちょっと危険もある。アイアン級はモンスターと遭遇したら撤退すること推奨な」


「うんうん。コゲタやくそうみつけるのうまいよ!」


「そうだなー。コゲタは鼻がいいもんなあ。次に、街の掃除。馬糞とかたくさん落ちてるだろ。あれを拾って遺跡まで届ける仕事だ。臭いけど、これは街の食べ物を作るための大事な肥料になる。大切な仕事だぞ」


「コゲタもうんちするもんね」


「そうだなー。あれも全部肥料になってるからな。最後に、下水のネズミ退治だ。大ネズミがちょこちょこ繁殖するから、間引かないとな。これは凄く臭いからコゲタは嫌だと思うが……」


 チラッと見たら、コゲタが本当に嫌そうな顔をしていた。


「くちゃいのや! うーん、やくそうさがす!」


「よーし、じゃあ薬草採取で行ってみよう」


 仕事の内容は決まった。

 今回の仕事はコゲタがリーダーだ。

 自分で色々考えてもらって、僕はそれを見守るとしよう。


 コゲタは「うーんうーん」と唸ったあと、ハッとした。


「おべんと!」


「正解! 出先でお腹が減っても、森の中で食料なんか調達していたら間に合わない。すぐに食べられるお腹に溜まるものは絶対に必要!」


「やったー!」


 というわけで、甘くしたビスケットとジャーキー、それとお茶にドライフルーツを買った。

 保存食系はいいお値段がするので、安くあげるならビスケットか揚げパスタがおすすめだ。


 揚げパスタは茹でた後のパスタを揚げたやつで、塩やハーブが振ってあるぞ。

 カリカリかじりながら仕事ができるし、口の中で戻しながらのんびり食べてもいい。

 口寂しくならないから優秀なおやつだ。


「いこー!」


「よっしゃー!」


 僕とコゲタで、森に向かう。

 いつもは僕の後ろをついてくるコゲタが、今は先頭だ。

 成長したもんだなあ……。


 木こり職人たちに、「こんにちはー!!」と元気に挨拶をする

 職人たちも、「おっ、今回はちびが先頭か!」「がんばれよー!」と手を振った。


 ムフーっと鼻息も荒く、やる気満々のコゲタ。

 いいぞいいぞ。

 森に入ると、コゲタは油断しない。


 鼻をくんくん、耳をヒクヒクさせながらにおいと音に注意しての行動だ。

 冒険者としての基礎的な素養がきちんとできてるな。


 基礎戦闘力で劣るコボルドだからこそ、慎重に慎重を重ねてもやり過ぎということはないのだ。


 コゲタはちょこちょこ進んではきょろきょろ、ちょこちょこ進んではきょろきょろ。

 こんな入口には薬草は生えてないはずだが……。


「これ!」


「おお! 見つけたか!! えっ、ちょっと奥にある倒木の陰に?」


「はえてる! みてて!」


 コゲタがえっさ、ほいさ、と地面を掘り返す。

 犬の技だ!

 なるほど、これは人間には真似できない。


 土の中から、ちょっとだけ希少な薬草が発見された。

 これはキノコの仲間なんだよな。

 トリュフかな……?

 トリュフかも知れない。


 つまり、コボルドの冒険者が薬草採取に参加したら、このトリュフがたくさん採れるってこと?

 実は森には、僕らのまだ知らぬ食材が大量に眠っているのかも知れない……。


 その日コゲタは、トリュフっぽい薬草をカゴいっぱいに回収したのだった。

 これはなんと、薬草の中では買取価格がかなり高い。

 掘り返さないと手に入らないのだから、さもありなん。


 メガネでのっぽの受付嬢が、「普段は掘り返された地面からはみ出ている、干からびたものを主に採取されるんです」と教えてくれた。


「トリフーというんですが」


「まんまだな」


「まんま……?」


「なんでもない」


「トリフーのこれだけ新鮮なものがたくさん採れたなら、きっと調合師の方々が喜ぶと思いますよ。でも、あまり採りすぎると価格が下がりすぎますから……」


「なるほど、薬として使うなら採り過ぎ注意と……」


 だが、食材としてはどうかな!?

 ともあれ、コゲタの最初の仕事は見事成功で終わるのだった。



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― 新着の感想 ―
トリュフオイルという基本的に何にかけても高級感と風味が増す油が作れちゃうねえ…… 実際、生野菜にトリュフオイルと塩だけでコース料理の一品に仕上がるから無法
うーん・・・ ゲーム的に言うと、盗賊とかトレジャーハンターに近いかな・・・
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