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俺は異世界の潤滑油!~油使いに転生した俺は、冒険者ギルドの人間関係だってヌルッヌルに改善しちゃいます~  作者: あけちともあき
83・垂れ耳もふもふ、来たる

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第251話 ここは熱いので諸肌モードです

 山のある方向より来たるは、三人の影。

 みんな、風に揺られて長い毛がゆらゆら揺れているではないか。


 大きいの、中くらいの、小さいの。

 それぞれの大きさを揃えた、長毛種の垂れ耳コボルドたちだ!


 リーダーっぽい大きいのは、多分ゴールデンレトリバー種ではないか。

 金色の毛並みを揺らしながら、目に知性の輝きを宿す。


 中くらいのはコッカースパニエル種だろう。

 飴色の毛並みが美しい。

 コボルドの性別が良く分からない僕も、彼女が女性であることは一発で分かった。

 凄い美人さんだぞ。


 そして小さいの。

 白い。

 もこもこしてる。

 歩幅が小さいので、先の二人に遅れてはわちゃわちゃ動いて追いつく。


 マルチーズだ!


 ということで、僕らはついに新たな垂れ耳コボルドと遭遇したのである!

 で、何故か彼ら、荷物を丸めて背負っており、基本的に裸である。


 コボルドというものは実は衣服を身につける。

 少なくとも腰巻きくらいはしてるものだ。

 初めて出会った時のコゲタも、毛皮の腰巻きみたいなのはしてたと思う。


「きゃー!」


 なんかコゲタが恥ずかしがって目を覆った。


 コボルドたちも、同じコボルドがいることに気づいて、「あっ」「これは失礼しました」「コボルドだ! みみたってる!!」と反応する。

 いや、最後のマルチーズは全裸でも全然気にしてないな。


 そして三人とも一様に、鼻をくんくんさせる。


「なんだ、この美味しそうな香りは……」


「とっても美味しそう。食べたことはないのだけど、美味しいってわかるわ!」


「おいしい? おいしい? どこー!」

 

 ばたばたーっとマルチーズが走ってきた。


「まるだしはめーよ!」


 そこにコゲタが棒を突き出して、マルチーズを転がした。


「うぐわー」


 ころんと転げるマルチーズ。

 そして転がりながら、背負っていた毛皮を腰の周りにくるっと巻いた。

 器用だなあ。


「ねえねえねえ! みみたってる! ふしぎなみみ! おなじコボルドなの? ちがうコボルド?」


「コゲタはおなじだけどちがうこぼるどだよー」


「へえー! へえへえへえー! ふしぎふしぎふしぎ!」


 賑やかだなマルチーズ!

 で、ゴールデンレトリバーとコッカースパニエルも最低限の毛皮だけを纏い、こっちに向き直った。


「あなたからとても美味しそうな食べ物の香りがします。もしや、あなたが作っていたのですか」


「まあ本当!? わたし、食べたいわ! お願い! 作ってくださらない?」


 もふもふに迫られている。

 鼻息が掛かる!

 コッカースパニエルのお嬢さんは僕の腕をぺたぺた肉球で触ってくるぞ。


 うひょー!

 もふもふハーレムだ!


「いいですとも……」


「ナザル、君ってやつは色仕掛けは効かないのにもふもふ仕掛けはてきめんに効くんだな……」


「犬が好きなもんで」


 もふもふ垂れ耳コボルドたちにお願いされては、頑張らねばなるまいよ。

 僕は再び焼き飯を作った。


 また集まってくるスケアクロウたち。

 踊る米を見て、やんややんやと沸いた。


 さて、このゴールデンレトリバーは山のコボルドの若者代表みたいな人物で、カクトスという。

 で、コッカースパニエルのお嬢さんはカクトスの恋人でラシェリー。

 このマルチーズはハムソンとか言うらしい。


「今回の分の米を貰いに来たのだけど、雪崩が起きましてね。僕たち以外のコボルドが足止めを食らってしまった。しばらく待っていたのですが来ないのと、すっかり暑くなってしまってみんなで裸になってたんですよ。いやお恥ずかしい。スケアクロウしかいないものだと思ってました」


 わっはっはっは、とカクトスが笑う。

 爽やかな青年と言った感じだ。


 ラシェリーは日陰で涼みつつ、同じところにいるリップルとお喋りしているではないか。

 人間族というかハーフエルフも珍しいんだろう。

 あっ、リップルがラシェリーをもふもふさせてもらっている!

 羨ましい!!


「ご主人!」


「うわっ、なんだいコゲタ大きな声で」


「もふもふならコゲタをもふもふするといいよ」


「確かに」


 嫉妬されてしまったかも知れないな……!

 コゲタもお年頃なのだ。


 さて、焼き飯が出来たぞ。

 素晴らしい香りに、もふもふ垂れ耳コボルド三名が大いに盛り上がる。

 そしてお食事だ。


 三人ともガツガツと夢中で焼き飯に食らいつく。

 美味かろう美味かろう。


 僕はニコニコしながらこの光景を眺めた。

 なんか目の前にコゲタがやってきて、僕の前に座る。

 これは撫でろということではないか。


 僕はコゲタをわしゃわしゃした。

 おお、心が落ち着く……。

 馴染み深い手触り……。


「うーん、ご主人はコゲタをいっぱいなでなでする。コゲタはうれしい」


「うんうん、僕にはコゲタがいたなあ」


「私にも撫でさせてもらっていい?」


「いいよー」


 リップルと二人でコゲタをわしゃわしゃした。

 毛の長いコボルドのふわふわもふもふもいいが、コゲタの毛並みは絶妙だな。

 柴犬くらいの長さというのは芸術的ですらあるのかも知れない。


 そんなことをしていたら、山のコボルド三人組が食事を終えたらしい。

 カクトスが興奮気味に、「素晴らしい料理でした! なんですかあれは! 米を使ったことはわかるのですが、どうやったらあんな香りに……。えっ、油!? 凄い! あなたにはぜひ、我々の村に来て欲しいのです!」


「僕らを山のコボルドの村にご案内……!?」


「はい、ぜひ!!」


 おっと、これは新展開だな……!!



お読みいただきありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
コゲタ、どうやら感性がかなり人間的になってきているようで。
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