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俺は異世界の潤滑油!~油使いに転生した俺は、冒険者ギルドの人間関係だってヌルッヌルに改善しちゃいます~  作者: あけちともあき
64・南の島に行きたい

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第190話 下準備をせねば

 帰ってきてからこっち、大変忙しかった。

 冒険者ギルドでやらなきゃいけない義務仕事があったし、受付嬢のエリィが激怒していたのでよくわからんがペコペコし。


 リップルにお土産の干物をあげたり、あとはずっと放置してた第二王子のところに出向いて、これからツーテイカーから流れてくる美味しいものの話などを教えた。

 デュオス殿下は大いに興奮されて、ツーテイカーの輸出品を積極的に受け入れる事を宣言したのだった。


 いやあ、食べ物がないのに説得されてくれて本当にありがたい。

 一応それだけではアレということで、キノコの缶詰を使ってかき揚げを作り、献上しておいた。

 喜んでもらえた。


 いやあ、首の皮が繋がりましたわ!


「二ヶ月もの間何をしていたんだ……!?」


 第二王子邸から出たあと、シャザクに聞かれた。


「その話をすると、大変難しい立場になる。殿下にはそれとなく伝えたが、あの方は腹芸ができるからね」


「俺だってできる」


「じゃあ僕がツーテイカーに招聘しょうへいされて、彼の国の名産品を作っていたと言えばどうかな」


「ぬぐぐぐ!! び、微妙な立場だ……! 場合によってはお前をスパイとして拘束せねばならぬことになる! 殿下の後ろ盾が無ければそうなっていただろう」


 国交が回復したとは言え、ツーテイカーはアーランの仮想敵国である。

 なので、僕のこの二ヶ月の行脚を大々的に語ることは出来ない……!!


 まあ、それはそれで別にいいんだ。

 美味いものたくさん食えたし、キンキンに冷えたビールが近い内にアーランにやって来るのが分かっているしな。


 早く国民感情的にもツーテイカーに対してフラットになるといいなあ。

 そんな事を考えながら、宿でコゲタを迎えて、一緒に港へ行く僕なのだ。


「ご主人、おふねみにいくの?」


「うん、そんな感じ。まだ出発してないらしいからね」


 南方大陸からの船は、秋になった今なお、港に停泊しているらしい。

 いつ出ていくのか。

 だがちょうどいい。


 僕は南方に向かう用事ができたところなのだ。


「ダイフク氏~」


「はいはい」


 アビサルワンズのダイフク氏が海にプカプカ浮かんでいたのだが、僕が呼ぶとザバーンと上がってきた。

 体を拭いて、腰回りだけ服を身に着けている。


 彼はカエルに似た不思議な種族なのだが、カエルと違って塩水の中を泳ぎ回るのも平気らしい。


「おや、お久しぶりですなナザルさん」


「うん、ちょっと名指しでの依頼をもらって出かけていたんだ。まだいたんだなあダイフク氏」


「船主が一年たっぷりいるつもりらしいので、来年の春までは寄港していますよ。おや、それを聞かれるということはもしや……」


「そう。船に乗せてもらおうと思ってね」


「ほほー!」


 ダイフク氏が目を見開き、ギョロギョロさせた。

 カエルムーブ!

 コゲタが真似をして、目を開けてキョロキョロする。


「お上手ですな!」


「おじょうずー!」


 しゃがんで、コゲタとハイタッチするダイフク氏。


「それでナザルさん、どういう風の吹き回しですかな? あなたはこの大陸でまったりと過ごす事で満足している方だと思っていたのですが」


「知識神が夢枕に立った……」


「ななななな、なんとー!!」


 目を見開いてギョロギョロさせ、口をパカッと開けて舌をびょーんと伸ばすダイフク氏。

 カエルやカエル。


 コゲタは大喜びでキャッキャしていた。


「知識神と言いますと、我らが神と並び立つ偉大なお方。物静かで影は薄いのですが、何気にこちらの大陸では活躍なさっておられるのですね」


「美食を口にするとみんな饒舌になり、知能指数が上がって素晴らしいボキャブラリを発揮するだろ。あれは間違いなく知識神が介入している」


「なんとーっ!! ナザルさんは知識神様に愛されているお方だったのですね。なるほど、では今回もお告げを受け、新たな知識の探求に……」


「ああ。垂れ耳コボルド族と、芋で作ったパン、そして米がある島を目指したい」


「食い気でしたか」


「僕は常に食い気だ」


「一貫してらっしゃる……。いいでしょう。わしからも船主に伝えて、ナザルさんとコゲタさんの同乗を認めてもらいましょう」


「おお、ありがとうダイフク氏!!」


「いやいやどういたしまして」


「ありがとうおさかな!」


「いやいや」


 お魚呼ばわりされて、ダイフク氏が否定のポーズをした。

 いちいち動きが面白いので、コゲタがキャッキャッと喜ぶ。


「よし、じゃあお礼がてら、豆腐でも食いに行こう」


「いいですな。わし、あの喉越しはなかなか好みなのです。実は先日、パスタのように細長い豆腐を開発した猛者がおりまして、少々高いのですがアーランの美食家たちの間で評判に」


「なにっ、そうめん風の豆腐とな!?」


 そんなとんでもないものを編み出すほど、アーランのシェフたちは実力を上げてきていたのか!!

 恐ろしいことだ……。

 そんな恐ろしいものはたらふく食べてやらねばなるまいよ。


「よし、それを食べに行こう」


「行きましょう行きましょう」


「なになに? なにたべるのー?」


 僕らは商業地区へと繰り出すのだった。

 えっ、そうめん風豆腐、柑橘類の汁に漬けて食べるの?

 美味そう!




お読みいただきありがとうございます。

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知識神って、気に入った人には、便宜を図りまくる神?
あのやけに達者な食レポ知識神様の介入だったのか!
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