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俺は異世界の潤滑油!~油使いに転生した俺は、冒険者ギルドの人間関係だってヌルッヌルに改善しちゃいます~  作者: あけちともあき
40・今ある食材でできるものは……!

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第121話 餃子実食

 焼き餃子がずらりと並び、これをみんなフォークで突き刺す。

 ああ、箸が欲しい。

 だが、僕ももう箸を使わなくなって久しいから、今は使えなくなっているかも知れないな。


 専用のソースは、ラー油とお酢の入った醤油をイメージしているが……。

 舐めてみるとイメージ違うな。

 酸味がメインでピリ辛、ちょっとしょっぱい。

 構成要素は近い……。


 コゲタのはそのまま塩をちょっと振って食べてもらう。

 そうしたら、真っ先にパクパクし始めた。


「おいしー!」


 コゲタニコニコ。

 僕に対する圧倒的信頼感があるからな!

 美味しいだろう美味しいだろう。


「美味しいんですね……? どれどれ……」


「初めてのものを食う時は、常にちょっと緊張があるよな」


 なんか言いながらみんなが食べ始める。


「あっ、普通に美味しい」


 普通ってなんだエリィ。


「生地をこんな風にパリパリに焼いて、反対はもっちりしているのは新鮮なんですけど……。味はなんだか馴染のある感じというか……。でも、食感がパリッ、もちっとしててですね、中身がじゅわーっと美味しいスープが溢れてくるみたいな」


「小籠包みたいな感想だ……! というか食レポ上手いなあエリィ」


「お褒めいただきありがとうございます。ちゃんとニンニク抜きですよね? 私、このあとちょっと戻って仕事やるんですから」


「仕事抜け出してきたのかあ!」


「わっはっは、すっかり狙われてるなナザル! もう身を固めたらどうだ? いや、しかしこのギョウザというやつは美味いな。酒が欲しくなる味だ……。生地と肉と野菜で、これだけで全てが詰まってるじゃないか。凄いなこれは。これだけ食ってればいいぞ」


「カルボナーラのように、中毒性のある美味しさではないのがいいね。彼女の言うように馴染みのある味わいだ。そこにニンニクが加わり、この酸味と辛味のあるソースが組み合わさってちょうどいい美味しさになる。うん、どんどん食べたくなる味だ。酒に合わせるのはいいかも知れないな」


 シャザクにも好評。

 ダイフク氏はこれをペロッと飲み込み、プスーっと鼻から湯気を吹いた。


「素晴らしい喉越しですな。わしは好きですよ」


「アビサルワンズは噛んで味わったりしないの?」


「ハンバーガーやピザは噛んで食べないと引っかかりますな。ですがちょうどいい大きさに噛み切ったらそのまま丸呑みです」


 不思議な種族もいるものだ……。

 だが、ギョウザは大変好評。

 

 カルボナーラの如き傾国の美味さではない分、これはアーラン中に広がっていきそうだ。


「早速俺も作って客に出すわ。ソースはちょっと手間が掛かるな。酢とピーカラと塩を適当に混ぜとけばいいだろう」


「僕もその辺りの配分は良く分からないから、プロの料理人が自由に考えておいてくれ」


「おうおう。また新しいメニューの提供ありがとうな。お陰でうちは今、下町で一番売れてる店なんだ」


「えっ、下町で売れてるなら、こんな時間に閉めてていいのか? ずっと開けておいた方がいいだろ」


「そんなん俺の体が壊れるだろ!! 俺は楽をしながらほどほどの感じで稼ぎたいんだよ! 常に満員だぞうちは。そんなもんは飯時だけで十分だ」


 いいスタンスだ。

 そうありたいもんだよなあ。

 この世界の人たちは、必死にあくせく働かない。


 遺跡の中で頑張ってる農夫の人たちや、兵士の方がずっと働いているだろう。

 冒険中の冒険者もか。


 一般市民は本当に無理しない感じで働く。


 その後、みんなで餃子の山を平らげた後、何を入れたらいい、どういうソースがいい、という話をしたのだった。

 アレンジしまくれるのが餃子のいいところだよな。


 これならば、すぐに餃子はアーラン中に広がってくれることだろう。

 アイデア満載の新作餃子、楽しみにしているぜ!


「はい、私達はギルドに戻りますよナザルさん」


「えっ、僕も戻るの?」


「当然です! 最近全然冒険してないそうじゃないですか! それにシルバー級のお仕事だって待ってるんですからね。そこのところのお話だけ聞いて下さい」


「あっはい」


 そうか、ここ最近、ずっと料理や畑仕事ばかりしてるなと思っていたら……。

 よくよく考えたら、僕は冒険者だったではないか。


 久々にまた仕事をするか……。


「よし、行くぞコゲター」


「あい!」


 お腹いっぱいになったらしいコゲタが元気に立ち上がった。

 おお、用意した分を全部食べきったな!


「いや、美味しかったよ。これ、作り方を覚えたから殿下のところでも作って差し上げないとな。ニンニク入りとニンニクなしを同時に食べてみたけれど、私はニンニク入りが好きだな。だが、口臭は確かに問題だ。ニンニクなしはこう……ソースを工夫することで美味しくなりそうだな」


 シャザクはこれから王城に戻るらしい。

 餃子は簡単だから、ぜひデュオス殿下にも食べさせてあげてほしい。


「喉越しはどっちも同じでしたな」


「そりゃあそうだろう」


 ダイフク氏がとぼけた事を言った。

 彼は概ね満足した様子で、また船の方に帰るらしい。


「船にわしの部屋がありますからな。あそこを宿にしながら、また船が出るまでの間はちょこちょこ顔を出しますわ」


「ああ、いつでもギルドに遊びに来てくれ」


「冒険者ギルドは遊ぶところじゃないんですけど?」


「ご主人~、コゲタ眠くなってきたー」


 大変賑やかだ。

 僕らはワイワイと騒ぎながらギルボウの店を後にしたのだった。



お読みいただきありがとうございます。

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[一言] 美味が広げる笑顔!この世の理想! 後は美味くて冷えたビールがあればパラダイス!
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