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第5話

   

 夜逃げという言葉を聞いて、最初に頭に浮かんだのは、3日前の割引セール。

 奥さんは「今日は創業の記念日」とか「開店15周年記念」とか言っていたが、実際には店じまいの売り尽くしセールだったのだ。

 よくよく考えてみれば、開店15周年を記念するくらいならば、もっとキリのいい10周年にも何か行うはず。しかし5年前に特別なイベントがあった覚えはないのだから、あれが口実に過ぎないのは明白だった。


 個人スーパーの経営というものは、私が想像する以上に大変なのだろう。

 いつもあれほど明るく元気そうに見えたご主人と奥さんも、裏では相当苦労していたに違いない。


 人には誰しも裏表がある。その程度は私も頭ではわかっているつもりだが……。

 例えばあの時、彼女は内心で何を考えて、どんな気持ちだったのだろうか。

 閉店が決まっていたにもかかわらず「これからもよろしくお願いしますね!」と二度も口にした奥さん。あの時の彼女の笑顔が、今でも私の頭にこびりついて離れないのだ。




(「これからもよろしくお願いしますね」と言われたけれど・完)

   

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