人り雨
雨の中歩いていると、雨を弾く影があった。
やっぱりそれは人の形で、ただぼうっと雨に降られていた。
可哀想に思って傘をさしてあげた。
でも、そうするとそいつは輪郭を失って見えなくなった。
だからそいつにかっぱをあげた。濡れないですむように、そこにいるってわかるように。
でも気に入らなかったらしい。気がついたら、そのプレゼントは道にへばりついていた。
その隣に立ち尽くしてる、ひとがた。
じりじりとこちらに、近づいてくる。
そいつに傘を差し出してやると、おとなしくおさまる。
見えないけどたぶん、傘に入りたかっただけのひとがた。
でも、もう行かなくちゃいけない。
そう伝えると傘の内側に雫が落ちる。
今までずっと笑っていてくれていたみたいだ。
なら自分は笑って別れよう。
泣き笑いと、ひとがた。
あいつは笑って、いるだろうか。