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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

魔王になった勇者

作者: 酔猫

彼は勇敢だった。


彼は誠実だった。


彼は希望だった。




…しかし、彼も人であった




彼は勇者と呼ばれ、その圧倒的な力で人々を厄災と呼ばれ恐れられていた魔竜から救い、英雄となった。


最初は人々も彼を褒め称えた。しかし、情景と祝福はいつしか圧倒的な力への恐怖と迫害へと置き換わる。彼に好意的だった王も、いつしか彼の人気を恐れ反逆されるのではないかと思うようになった。彼を褒め称え敬っていた人々もその圧倒的な力が自分たちに向けられるのではないかと恐れるようになった。そして恐怖を抱えすぎた人々はついに彼を処刑することを決める。人々は「異端を排除する」という正義を掲げ、彼に味方する者、彼の友人、妻、家族の悉く殺し尽くし、彼自身も自らの子供を人質に取られ憎悪と失意の中殺された。




これは数ある悲劇の一つ




これが英雄の最期




…そのはずだった。




厄災とは、世界が人類を増やしすぎないように用意したシステムであり星の使徒。例え倒されようとも次の厄災が新たに選ばれるのみ。




勇者とは、人類の「生きたい」という思いが極限まで高まった時に生まれる人意の執行者。その力は人類の脅威と対峙するために与えられ、人の限界をも容易く越える。さらに彼は膨大な力を与える竜の血、しかも最強と呼ばれていた魔竜の血を山ほど浴びていた。その力は遂に勇者の限界すら超えた。




彼は死してなお人類を憎悪し続け、その憎悪は不死者として彼を蘇らせるに至った。そして厄災とは力ある人類の敵対者に世界が与える称号。ならば彼が次の厄災に選ばれるは道理。




                そして、最悪の「厄災」が生まれた




自らを裏切った人々の腸を引きずり出し、四肢をもぎ、脳漿をぶちまけさせ悪逆の限りを尽くし、一夜にして一国を壊した最強の厄災。



今はなき国の在った不毛の大地で不死者たちの頂点に立つ者。



堕ちた勇者、竜殺し、剣聖、不死の王、厄災




そして時は過ぎ、いつしか彼は「魔王」と呼ばれるようになった。



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