『出発』
あれから何度も連絡を取ろうとするが、アルバティンから返事が来ることはなかった。
焦りの表情を見せるアルンフィード。
「どうしよう、アルルンが反応しないよ……もしかして、何かあったのかな……」
アルバティンを失ってしまえば、魔界は壊滅的な状態になってしまうため、アズリオンは全力でアルバティンを守るはずである。3界戦争・天魔戦争の時も、アルバティンには最上位悪魔が護衛に付けられていた。
サレヴィアは戦闘中。アルンフィードは人間界。そうなれば、アルバティンの護衛に付けられているのはルーワカしかいない。
「君とサレヴィアがいないんだから、ルーワカを護衛に付けるはずだよね。ルーワカがいるんだから、たとえルヴィエラが出てきたとしてもそう簡単には殺せないでしょ」
魔界の序列2位――『時間』ルーワカ。時間を操ることができる最上位悪魔。ルーワカに守られたら、私でも殺すのは難しい。今までの戦争でアルバティンを殺せなかったのはルーワカのせいである。
「それなら、どうして返事が来ないの」
「私に聞かないでよ。こんなところで焦ってもどうにもならないじゃん。アルバティンの空間転移が使えないなら、魔界の門を見つけるしかない。エーテルノ、240年前は西大陸の火山地帯にあったんだよね」
「今もあるかはわかんねえですけどね」
私とアズリオンが2人で戦ったとしても、アルバティンのサポートなしではルヴィエラに勝つことはできない。アルバティンを殺された時点でゲームオーバーである。
「エーテルノ、今すぐ魔界の門があった火山地帯まで案内して。そこに無かったら世界中を飛び回って探すしかない」
「マジですか」
「マジだよ」
「じゃあ、ギルドハウスに戻らねえとダメですね。私とルルセリカで作った世界地図を取りにいかねえと」
「じゃあ、私がしろちゃんにお願いしてみるよ。ワイバーンよりも早いし、5人までなら乗れるし」
「アメル、ありがとう」
「ううん、気にしないで。親友が困っていたら助けるのは当然なんだから。召喚術式――起動、しろちゃんおいで」
魔法陣が輝くと同時、白銀の天馬が現れた。
白銀の天馬――しろちゃんは洞窟内を見渡して、現在の状況を理解しようとする。
「……」
アルンフィードを見つけてしまい、ピタリと動きを止めてしまうしろちゃん。
「いや、なんでペガサス呼べちゃうの。天界の神獣だよね」
「気にしなくていいよ」
「いや、気にしなくていいってコレ。おかしいよね」
「気にしなくていいよ」
「あっ、はい」
私に笑顔で言われ――
アルンフィードは何かを察したのか、これ以上は何も言ってこなくなった。
「しろちゃん、私たちをギルドハウスまで乗せていって」
「……」
アメルに命令され、しろちゃんは姿勢を低くする。
「私は空を飛んでいくから」
「ボクも」
「じゃあ、私とサツキちゃんとエーテルノちゃんの3人だね」
私とアルンフィードは翼を広げ、アメルとサツキとエーテルノはしろちゃんに乗る。
「ええっと、わたしたちはどうすれば」
「起きたらすごいことになっててまったく理解ができないんだけど。エルフの私が言えることじゃないんだけど、天使とか悪魔とかいるんだけど」
ギルドハウスに出発しようとした時、ルウとサーナが話しかけてきた。
「私たちの報酬金も貰っていいから、2人はホークスたちと馬車で帰ってくれないかな。商業都市までの護衛は必要だろうから」
「こうなる予感はしていたわ」
「ごめんね」
「助けてもらった恩もあるし、任されてあげるわ。そもそも神話の戦いにエルフのわたしたちが付いていけるわけがないし」
気づけば、足の震えが止まっているルウ。
さすがというべきか。エルフの戦士をやっているだけはある。
「それじゃあ、ギルドハウスに帰ろうか。出口を見つける時間が惜しいし……エーテルノ、ショートカットお願い」
「任せるですよ――『超巨大重力弾』」
エーテルノは超巨大な重力の塊を生成すると、天井に向かって撃ち出した。
極めて高密度な重力の塊。触れたものを容赦なく削り取る。天井が削り取られ、大きな穴が出来てしまう。
「綺麗な空ですよ」
「眩しいねえ」
雲一つない晴天に感動するエーテルノと、差し込んできた日光を手庇で防ぐアメル。
「カレイアの仲間だけあって、全員めちゃくちゃだな……」
「アルンフィード様、『色彩の集い』に一般人は私しかいませんよ。一般人のメイドは付いていくのでやっとです」
「一般人ってなんだっけ」
サツキの発言に――
アルンフィードが苦笑を浮かべる中、私たちは天高く舞い上がるのだった。
最後まで読んでいただきまして、ありがとうございます!!
魔界の序列2位は、時間を操ることができるルーワカさんでした。
魔界のトップ3強くないですか。
空間と時間と来ました。アズリオンの魔法はどうくるか楽しみですね。
皆様も予想してみてください。
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