『魔界最強のサポート役』
「さて、魔界へ行く準備をしようか」
私は天輪と白翼を顕現させると、熾天使カレイアを降臨させた。
腰まで届く銀色の髪。燃え盛るような紅色の瞳。黄金に輝く天輪。洞窟を照らす3対6枚の白翼。
「「熾天使、カレイア……」」
ぽつりと呟く、ルウとランチェル。
「ルウ、私の正体は熾天使でした。予想は当たっていたかな」
「……」
ポカンと口を開けながら、ルウが私を見つめてくる。
「おーい、聞こえてる?」
「はひゃっ!!」
私に触れられ、ルウが奇声を上げる。
「今まで正体を隠していてごめんね。あと、腕完治おめでとう」
「えっ、あっ、ええっと、あり、がとう」
「こればかりはゴルソンの実力に感謝だね。切り口が綺麗だったからこそくっつけることができたんだ」
「あ、えっ、そ、そうね」
怯えの表情。
ルウ自身は気付いていないのだろうが、ガクガクと足が震えている。
「私が怖い? 足が震えてるよ?」
「えっ!?」
やっぱり気づいていなかった。
こんなに怖がられるなんて、熾天使カレイア伝説には私のことがどんなふうに書かれているのか。
「あはは、めちゃくちゃビビられてんじゃん。エルフで遊ぶのはそこまでにして、魔界に行こう。カレイア、連れて行くのはサツキさんとテルルンだけでいいよね」
「テルルン……?」
「いや、アメルも連れていく」
私の即答に、アルンフィードは驚愕の表情を浮かべる。
「正気かな」
「うん」
「戦闘開始1秒で死ぬよ」
「ルヴィエラとの戦いには、絶対にアメルの力が必要になってくる。アメルを連れていけないのなら私は戦わない」
「……」
真剣な表情で、私を見つめてくるアルンフィード。
私とアルンフィードの会話を聞いていたのか、慌てた様子のアメル。
「アルンフィードちゃんの言うとおりだよ。私が行っても足手纏いにしかならないよ」
「うん、戦いにもならないだろうね」
「じゃあ」
「そうだとしても、ルヴィエラと戦うにはアメルの力が必要なんだ。アメルがいればきっとワタシ――」
「はいはい、わかりましたよ。そこの人間も連れて行けばいいんだよね。どうなっても知らないからね」
アルンフィードは溜め息を吐くと、漆黒の天輪と3対6枚の黒翼を広げる。
「アメル、リュックを忘れないでね」
「本当に私が行っても大丈夫? なんにもできる気がしないんだけど?」
「大丈夫だよ。アメルは私が死んでも守るから」
「カレンがそこまで言うのなら」
心配そうな表情で、アメルが私の手を握ってくる。
「カレン、忘れてはいねえと思うですが、ヤンデレとでこすけとイケメンくそったれはどうするんですか」
「あっ」
「カレン、まさか忘れ――」
「ワスレテナイヨ」
「いや、めちゃくちゃ動揺してんじゃねえですか。竜界に勝負を挑むならアイツらの助けもあったほうがいいですよ」
エーテルノの言うとおり、竜界と戦うなら3人の助けがあったほうがいい。
しかし、それは不可能である。
「エーテルノ、クレアの魔界嫌いを忘れてない?」
「あっ」
「竜界と戦う前に、天界と魔界の最終決戦が始まっちゃうよ?」
「でこすけとイケメンくそったれの2人だけを連れてくるってのはできねえですか」
「無理だね」
「はあ、めんどくせえヤンデレ後輩ですよ」
溜め息を吐くエーテルノ。
魔界嫌いが凄まじいという理由だけでなく、私への忠誠心が強すぎるクレアをアメルに近づけたくないというのもある。さっきだって、あの場にクレアがいたらアメルの首は飛んでいた。
「そろそろ行こうか。早ければ早いほうがいい」
「魔界の門は、人間界のどこにあるかな」
天魔戦争の時は魔界から攻めてきたので、私は門の場所を知らない。
私が悩んでいた時、エーテルノが口を開く。
「240年前は西大陸の火山地帯にあったですよ。今はどうか知らねえですが。アルンフィードはどうやって来たんですか」
「アルルンに送ってもらったよ。ボクが合図を出せば、すぐにアルルンが迎えに来てくれるはず」
「やっぱり便利だね。1家に1台アルバティン」
「魔界最強のサポート役だからね。アルルンがいるから、ボクたちは安心して戦いに集中できるんだ」
「天魔戦争の時は私も邪魔されまくったよ。あいつを殺さないかぎり魔界は滅ぼせないね」
「うんうん」
嬉しそうに、何度も頷くアルンフィード。
アルバティンのことを私に褒めてもらえて嬉しいのだろうか。
「カレンにそこまで言わせるなんて、アルバティン様とはどのような方なのですか」
「私も知りたい」
サツキとアメルが会話に入ってきた。
「魔界の序列3位――『空間』アルバティン。空間を自由自在に操れるんだよね」
「空間操作ですか。それで3位ですか」
「うん、1位と2位はもっとえげつないよ。どんなことをしてくるか教えてあげようか」
「いえ、遠慮しておきます」
「魔界に到着してからの楽しみにしておくよ」
私の話を聞いて、サツキとアメルは苦笑を浮かべる。
「話し合いは終わったようだし、アルルンに合図を出していい?」
「うん」
私が頷くと、アルンフィードはポケットから小さい魔道具を取り出した。
それを耳に当て、1人で喋り出す。
「もしもーし、アルルン?」
人間界だけでなく、魔界でも通信魔道具は使われているのか。
便利だと思ったものは取り込んでいくスタイル。天界と違い、自由で私は好きだ。
「アルルン? アルルーン? おーい、応答してー?」
「どうしたの?」
様子がおかしかったので、私はアルンフィードに話しかけた。
「おかしいな、アルルンが出ない」
「えっ」
この状況で、アルバティンと連絡が取れなくなった。
なんだか嫌な予感がする。
最後まで読んでいただきまして、ありがとうございます!!
ルヴィエラとの戦いに、アメルが絶対に必要だというのはどういうことでしょうか。
カレンのことです、何か考えがあるのでしょう。
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これからもよろしくお願いします!!




