『バケモノ』
「私のいないうちにすっごいことになっているね」
アルンフィードを地面に下ろし、私はルウとゴルソンのところに向かっていく。
部屋の端っこには、全身傷だらけのサーナを治療しているランチェルの姿。少し離れたところにはグルソンとゲルソン。そして、両腕を切り落とされ、大量出血で今にも死にそうなルウと大剣を背負ったゴルソン。
「カレン、ごめんなさい。あなたの忠告を聞かなかったせいで」
「気にしないで。死ななかっただけで上出来だよ。腕はきれいに切れているからランチェルの回復魔法でぴったりくっつくでしょ」
「おおっと」
私は切り落とされたルウの両腕を拾うと、ランチェルに向かって放り投げた。
ランチェルは驚きながらも、なんとか両腕をキャッチする。
「ランチェル、いけるよね?」
「これだけきれいな切り口であれば、成功率100パーセントです」
「超優秀、愛してる。ほら、急いでルウ。大量出血で死なないうちに早く回復してもらう」
「え、ええ……」
ルウはよろめきながら、ランチェルのところに歩いていく。
「カレン、この俺がおとなしく行かせると思うかァ?」
「邪魔しないほうがいいよ」
「うるせェ!! エルフを行かせるなァ!! グルソン!! ゲルソン!!」
「「ヒャッハー!!」」
無防備なルウに、グルソンとゲルソンが襲い掛かっていく。
そんな2人を見て、私は溜め息を吐く。
「邪魔しないほうがいいって、私はきちんと言ったよね」
私は『銀ノ焔』を起動させ、一切の躊躇いもなく2人を焼き尽くす。
「ぎいいぃぃぃぃ!! あぢい!! あぢいよおぉぉぉぉぉ!!!!」
「アニギィ……!! だずげてェ……!!」
「てめえらァ!!」
助けを求めながら、焼け死んでいくグルソンとゲルソン。
即死させたら兄弟に別れを告げることができないので、時間をかけて殺してあげることにした。
「「銀色の、焔……」」
「私の魔法、かっこいいでしょ」
ポカンと口を開けるルウとランチェルに、私は微笑みかける。
「カレンてめェ……!!」
「私と戦うの? 勝率ゼロだよ?」
「うるせェ!! 弟たちをよくもやりやがったなァ……!!」
大剣を構え、ゴルソンが憎しみの眼差しを向けてくる。
殺意マシマシ。そうこなくっちゃ。
「いいね、その表情」
「少女の皮を被ったバケモノがァ……!! 弟たちのためにもここで俺が殺すゥ!!」
大剣を振るい、竜巻を撃ち出してきた。
地面を抉りながら、私に襲い掛かってくる。この威力、人間が閉じ込められたら全身骨折は間違いない。
「まあ、私には効かないけどね」
魔力を身体に纏わせれば、掠り傷1つ付くことはない。
風によって乱れた前髪を整え、私はゆっくりとゴルソンに近づいていく。
「悪夢でも見てんのかァ……!! く、くそォ!!」
「無駄なのに、まだやるの?」
袈裟斬りからの逆袈裟斬り、決めに来た回転斬り。
3連撃を躱して、私は微笑む。
「笑うんじゃねェ!!」
「あは」
「笑うなって言ってんだろうがァ!!」
仕留めに来た一文字斬りを受け止めると、私は笑うことをやめてゴルソンに顔を近づける。
「無駄だって言ってんじゃん」
「う、おおォ……」
「諦めが悪いのはその両手があるせいだよね。没収しちゃうよ。ルウにもやったんなら自分もやられる覚悟はあるよね」
「うぎ、うぎゃあああああああああああっ!!!!」
ゴルソンの両腕を掴んで、強引に引き千切る。
吹き出す血液。響き渡る絶叫。
「うるさい」
「ゴブッ!!」
地面に落ちていた岩を口に詰め込んで、顎を蹴り上げた。
歯と顎が砕け、血液が流れ落ちる。
「あはっ……」
「ゴボ……」
仰向けに倒れたゴルソンの顔を覗き込んで、私は微笑みかける。
「まだやる?」
「ゴボ……」
目の光は消えていない。
諦めの悪い。
「足もいっとく?」
「カレン、それくらいにしてあげて」
おまけに足も引き千切ろうとした時、アメルからストップを言い渡された。
「この戦士はまだあきらめてないよ」
「そうだとしても、モヒカン兄貴さんはもう戦えない。さすがのカレンでもそれ以上は私が許さないよ」
私の肩を掴んで、アメルが真剣な表情で見つめてくる。
私にこんな口を利くなんて、この現場をクレアが目撃していたら一瞬で首を飛ばされているだろう。
「はあ、そんな怖い顔しないでよ。わかったわかった。後はアメルの好きにして」
「ひゅうう。すっげえ、あの殺戮天使とタメ張ってら」
私とアメルのやり取りを見て、あぐらをかきながら口笛を吹くアルンフィード。
「アルンフィード、起きてたんだ」
「ドカーンとかバッキーンとか爆音が鳴り響いている中で寝ていられるわけがないじゃん」
ゆっくりと立ち上がり、アルンフィードはお尻に付いた土汚れを落とす。
「アルンフィード、これからどうするの」
「とりあえず、ボクの妖刀を返してほしいかな。アレが無いと落ち着かない」
「返したらどうするの」
「魔界に帰るよ。『封天ノ鎖』はカレイアの手に渡ったことだし。アズリンからの命令は『封天の鎖』を竜界に渡すなってことだから」
「私との戦いで使うつもりじゃないの?」
「そんなことしないよ。魔界は君と仲良くしたい。ルヴィエラを倒すには君の助けが必要なんだから。アイツは神を喰った。今のアイツは3界戦争の時とは比べ物にならないほどのバケモノになってしまった」
「神を喰った……!?」
アルンフィードの言葉に、私は驚愕の表情を浮かべるのだった。
最後まで読んでいただきまして、ありがとうございます!!
カレンさんこわっ。
敵に対しては一切の容赦なし。
最後になんだか物騒なことを言いましたねアルンフィード。
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