『3秒』
「すっげえな、壁が撃ち抜かれて最高のショートカットが作られてやがるぜ」
洞窟の壁が聖槍アルジェーレにより破壊されたことで生成された道を歩きながら、ホークスが苦笑を浮かべる。
「少し乱暴とは思ったけど、回り道をしていたら間に合わないと思ったからね。実際にギリギリだったし」
「カレンの到着が3秒遅かったら、私たちは全滅していましたからね。エーテルノ様もボコボコにされて」
「ほんとですよ。妖刀で斬られた傷もなかなか塞がらねえですし……いつもだったら3秒くらいで塞がるんですが」
文句を言いながら、傷口を触るエーテルノ。
「魔法の無効化以外にも不治の呪いがあるからね。不死鳥の血を飲んだエーテルノでも傷の完治には1日くらい掛かると思うよ」
「ひえっ、そんなやべえ能力まで備わってやがるんですか。魔界の初見殺し担当と言われるだけはあるですね。可愛い寝顔してやがるくせにとんでもねえやつですよコイツぁ。決めたですよ、今日からコイツはちょんぱ娘ですよ」
私の背中ですやすやと眠るアルンフィードのほっぺたを指で突きながら、新たな名前を生み出すエーテルノ。
「そろそろ、聞いていいか」
少し歩くと、ホークスが口を開いた。
「どうかした?」
「単刀直入に言わせてもらうが……カレン、おまえは何者だよ?」
足を止めて、私の方を見つめてくる。
真剣な表情。少し前までのふざけた雰囲気は感じられない。まあ、目の前でめちゃくちゃしたわけだし、誤魔化すのは難しいか。
「薄々気づいているんじゃないの?」
「……」
私の返答に、ホークスは黙り込む。
「アルンフィードなんか、がっつり私の名前言ってたし」
「熾天使カレイアってか」
「うん」
天輪と白翼を顕現させ、ホークスに見せつける。
「夢じゃあ、ねえんだよなあ……」
「現実だよ。ほら、触ってみたらいいよ。人類史上初めて熾天使カレイアの翼に触った男になれるよ」
ふりふりと翼を振り、ホークスをからかってみる。
「やめてくれよ。そんなことをすればアンゲリナ教会に消されちまう」
「気にしなくていいのに」
「聖女ルルセリカは会長とタメを張れるくらい強いんだ。あいつは人間じゃねえ」
聖女ルルセリカ。
王都で再会した時、エーテルノの口からもその名前が出た。
エーテルノが戦いを避けるほどの実力者だということは、天使兵の副隊長クラスよりも強いということである。
「エーテルノは、聖女ルルセリカと戦ったことがあるんだよね」
「最近だと、160年前ですかね」
「「「「え゛っ」」」」
エーテルノの爆弾発言に、全員の喉奥から捻るような声が出る。
「160年前って、どういうことですか……?」
「そういえば、言ってなかったですかね。ルルセリカ=エクスディア。あいつは私の幼馴染ですよ。2人で世界中を旅して、フェニックスの血を飲んだ不老不死のバケモノですよ」
サツキの質問に、エーテルノは笑みを浮かべる。
「そういえば、俺がガキンチョの頃から見た目が変わってねえ……うわ、どうして違和感を覚えなかったんだ」
「あいつとの戦績は、0勝0敗16932引き分けですよ。どっちも死なねえから決着がつかねえです」
「仲悪すぎだろ。何があったんだよ」
「お菓子の取り合いだったり、パンに塗るのはバターかジャムかだったり」
「前言撤回、クソ仲いいな」
くっくっと笑いを堪え切れないホークス。
「エーテルノ、250年前に天界へ喧嘩を売りに来た時はルルセリカいなかったよね」
「ルルセリカは道に生えていた毒キノコを食べて、人間界で1週間くらい寝込んでいたですよ。後で調べたんですが、一般人が食べると即死する猛毒キノコだったですよ」
「ええ……」
教会のトップがそれでいいのか。
エーテルノと私の会話を聞いて、ホークスは腹を抱えて笑っている。
「あっはっは!! おまえら面白すぎだろ!!」
「私たちは少し変わったところはあるけど、他の人たちと同じでワイワイと楽しく冒険者生活を過ごしているだけなんだ。私も今は熾天使カレイアではなく冒険者のカレンとして生きているからね」
天輪と白翼を消滅させ、私は眠っているアルンフィードを背負い直す。
「ちなみに、どういう理由で冒険者として生きることになったんだ?」
「神様を殴り飛ばしたら、天界から追い出された。冒険者には昔から興味があったし、後悔は一切なし」
「かっけえ……」
私の発言に、ホークスは感動の涙を流すのだった。
最後まで読んでいただきまして、ありがとうございます!!
ルルセリカ可愛い。
まさかエーテルノの幼馴染とは思いませんでしたね。
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