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『エーテルノVSアルンフィード』

「さて、どうするですかね……」


 『風犬の尻尾』のアジトにある武器庫にて、エーテルノは脳をフル回転させていた。

 目の前に立っているのは、魔界の序列4位――『月魔』アルンフィード。特殊な能力を秘めている妖刀を操る剣士。

 アルンフィードの操る妖刀――『月夜見つくよみ』に秘められた能力は3つある。その中で、エーテルノが把握しているのは1つだけ。


 ――『絶対解呪ディスペル


 妖刀で斬った魔法を全て無効化する。この能力は、魔導士にとって相性最悪である。


「今日のボク、一番弱いからさあ。あんまり戦いたくないんだよねえ」


 ゆっくりと、アルンフィードが妖刀を抜く。凄腕の剣士と狭い空間で戦うのは自殺行為。対等な条件に持っていくため、エーテルノは動く。


「狭い場所で窮屈するより、広い場所で伸び伸び戦うですよ。開始早々思いっきり行かせてもらうですよ――『超巨大重力弾』」


 武器庫の中心に現れた、超巨大な重力の塊。

 警戒したのか、エーテルノから少し距離を取るアルンフィード。


「ええっと、それをどうするのかな」

「すぐに分かるですよ」


 エーテルノが指を鳴らすと、超巨大な重力の塊が爆散した。小さい重力の塊が全方向に飛び散り、洞窟の壁を削り取っていく。


「当たったら即死案件だよねコレ」

「いや、死なねえですよ。ふわっとしていて気持ちいいですよ」

「うそつけ!! 洞窟めっちゃえぐれてんじゃん!!」


 自分に向かってきた重力の塊を切り裂きながら、絶叫するアルンフィード。

 エーテルノは背後にいるアメルたちが被弾しないよう、魔力のバリアを張っている。


「的確に切り落とすんじゃねえですよ。1発くらい当たるですよ」

「いやだよ。死にたくないもん。あーあ、君のせいで洞窟がめちゃくちゃ広くなっちゃったじゃん。近接戦闘に持ち込みたかったのにさあ……だるっ」


 アルンフィードは溜め息を吐くと、電光石火の如き速さでエーテルノとの距離を詰める。


「はっええっですねもう……!!」

「首もーらい」


 エーテルノの首を切り落とすべく、右から左へ水平に振り抜かれる斬撃。

 重力魔法で身体を強化し後方に跳躍したことで、エーテルノは首の皮を切られるだけで済ませることができた。


「ちい……」

「やっぱり避けられちゃったか。まあ、今日は一番弱い日だし仕方ないよね」

「これでよええなんて絶対嘘でしょうが」

「ホントだよ。10が全力だったら1しか出せてないよ今日は。身体が動かなさすぎて腹が立ってくる」

「バケモンめ……」


 エーテルノは舌打ちすると――

 重力で空間を歪め、短距離転移でアルンフィードの背後を取ろうとする。


 ――しかし。


「それの上位互換いつも見てるんだよね」

「かはっ……」


 妖刀の柄が、エーテルノの鳩尾にめりこんだ。

 激しく咳き込むエーテルノに向かって、アルンフィードは躊躇なく妖刀を振り上げる。


「剣士相手に距離を詰めるなんて、自殺行為に等しいよ」

「やべえ、死んだですかこれ」

「そうはさせません」


 アルンフィードの妖刀がエーテルノの首を切り裂こうとした瞬間、サツキの全魔力を込めた剣魔法が打ち出される。

 竜巻の如く渦を巻く無限の剣。閉じ込められてしまえば肉片と化す。しかし、アルンフィードは溜め息を吐くと、神速の剣技で全ての剣を撃ち落とした。


「はあ、死にたがりが多すぎるよね。命は大事にしないとダメだよ」

「そんな……」


 膝から崩れ落ちるサツキ。


「腕利きっぽい助っ人を呼ばれてるみたいだし、ちゃちゃっと殺しちゃおうか」

「あ……」


 サツキの首を切り落とすべく、アルンフィードが妖刀を振り上げる。

 誰も動けないこの状況。サツキは目を閉じて、間近に迫る死を受け入れる。エーテルノは諦めずに重力魔法を唱えようとするが、先程の一撃のせいで魔力操作を上手く行えない。


「サツキィ!!」

「まずは1人だね、さようなら」


 エーテルノの悲鳴が響き渡り、アルンフィードが妖刀を振り下ろそうとしたときである。


「聖槍アルジェーレ」


 少女の声。

 凄まじい魔力圧と共に、銀と青の2色の二重螺旋の槍が洞窟の壁を破壊しながらこの場に現れた。


「これ、くらっちゃダメなやつ……!!」


 アルンフィードの超反応。

 槍を妖刀の側面で受け止める。しかし、槍の威力は凄まじく、壁を破壊しながら吹き飛ばされていく。


「うが、うがああああああっ!!!!」


 『月夜見つくよみ』で無効化できない。

 1秒でも防御が遅かったら、アルンフィードの身体は塵と化していた。


「でえええええやあああぁぁぁぁっ!!!!」


 死んでたまるかと全ての力を出し尽くし、なんとか槍の軌道を逸らすことができた。穿つ対象を失った槍は、光の粒子となって消滅する。


「はあっ、はあっ……」

「みんなを巻き込むといけないから軽く撃ち込んだんだけど、結構遠くまで飛ばされたね」

「うっそだあ……」


 アルンフィードの目の前に現れたのは、殺戮の権化。

 腰まで届く銀色の髪。燃え盛るような紅色の瞳。天輪と白翼は出していないが、全身を押し潰すようなプレッシャーから正体は確信した。

 天界の序列3位――『天銀』カレイア。神すらも殺せる力を持つという、天界最強の熾天使である。

最後まで読んでいただきまして、ありがとうございます!!


今日のボク、一番弱いからさあ。あんまり戦いたくないんだよねえ。

いやいや、これで弱いんですか。エーテルノめちゃくちゃボコられていましたけど。


仲間のピンチに颯爽と駆け付けたのは、カレンさん。

安心感すっごーい。


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これからもよろしくお願いします!!

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[良い点] カレン超かっこいい!
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