『最上位悪魔はめんどくさがり』
「はあ、はあ、なんとか逃げられたですよ」
全速力で逃げた『色彩の集い』のメンバーたちは、武器庫らしき部屋に身を潜めていた。
鉄剣、弓、棍棒、魔銃など、モヒカンたちが手にしていたものである。
「ケホケホ、せ、せつめい、してよ。エーテルノちゃん、あの娘はだれ? どうして逃げちゃうの?」
アメルが息を切らしながら、エーテルノに質問する。
「尋常ではない焦り様、先程の少女がただ者ではないことは分かります。貴方ほどの魔導士が戦闘を放棄するのです。もしかして、カレン案件ですか」
「てめえのような勘のいいメイドは大好きですよ。その通りですよ、アイツは魔界の序列4位――『月魔』アルンフィード。魔界の初見殺し担当ですよ」
「彼女が……!?」
目を見開くサツキ。
エーテルノとサツキの会話を聞いて、ホークスが話に入ってくる。
「魔界? なにいってんだおまえら? アルンフィードっていやぁ、熾天使カレイア伝説に出てくる最上位悪魔じゃねえか?」
「うずまき、なかなか詳しいじゃねえですか。アイツはガチもんです。戦おうなんて考えねえほうがいいですよ」
「えっ、なんだその反応。まるで本物みたいな」
「信じられねえかもしれねえですが、本物なんですよ。死にたくなかったらその通信魔道具でランチェルに連絡するですよ。そして、カレンに変わってもらうですよ」
「頭が付いていかねえ。後で詳しく聞かせろよ。あーあーこちらイケメン俺。緊急事態発生。激ヤバだ。カレンちゃんに変われ」
通信魔道具をポケットから急いで取り出すと、ランチェルに連絡を入れる。
「ホークスさん、どうされたんですか」
「いいから、カレンちゃんと変われ。詳しいことは後で話す」
「わ、わかりました。カレンさん、ホークスさんからです。緊急事態の激ヤバらしいです」
ランチェルに通信魔道具を渡されたのか、カレンの声が聞こえてくる。
「どうしたの」
「カレン今すぐ来るですよ。やべえです、アルンフィードが現れやがりました。私じゃあ、3人を守り切れねえです。もって1分」
「はあ!?」
通信魔道具から、カレンの驚愕の声が響き渡る。
その直後、サンダルの足音と共にアルンフィードが武器庫に入ってきた。
「あーいたいた。まったくもうどーして逃げちゃうかな」
「見つかったですよ。さようならですよ」
「ちょちょちょっ」
エーテルノは通信を切ると、アルンフィードと会話をすることにした。
カレンが到着するまで、時間稼ぎをしなければならない。
「よ、よお、今日はいい天気ですね」
「洞窟の中だよ」
「最近どうですか。元気にやってるですか」
「いや、なんだよその久しぶりに会った友達みたいな……待った、その虹色の髪どこかで見覚えあるな」
「へ、へへっ。気のせいですよ」
顔を引きつらせながら、なんとか誤魔化そうとするエーテルノ。
しかし、それが通じることはなく。
「240年前に魔界に喧嘩を売りに来てアズリンにボコられたやつじゃん」
「げっ」
「へえ、なるほどねえ。君がここにいるってことは……そっかあ、やっぱりあるんだね。熾天使すらも無力化できる『封天の鎖』が」
「『封天の鎖』……?」
「黄金色で、そうそうあんな感じ……アレだよ、あんなのを探してて」
「「ん?」」
武器庫の棚に無造作に置かれていた黄金色の鎖を見て、エーテルノとアルンフィードの動きが止まる。
「「あったあああああああああああああっ!?」」
発狂する2人。
アルンフィードは指を鳴らすと、『封天の鎖』を回収するべく上機嫌そうに棚へと近づいていく。
――しかし。
「ええっと、なんのつもり?」
「これはあげない」
アメルによって、『封天の鎖』がアルンフィードの手に渡ることはなかった。
アメルの行動に、眉を顰めるアルンフィード。
「ば、ばか!! アメル、それを渡すですよ!!」
「いやだ」
「死にてえんですか!!」
『封天の鎖』を抱きしめ、絶対に離そうとしないアメル。なんとか取り上げようとするが、がっちりと抱きしめているので梃でも動かない。
「はあ……」
溜め息を吐き、妖刀の柄に手を掛けるアルンフィード。
「ままま、待つですよ」
「ボクねえ、めんどくさいの嫌いなんだよねえ。ごめんけど、殺して奪うよ」
「くそ、戦うしかねえですか……」
エーテルノは覚悟を決めると、アルンフィードとの戦闘を選択するのだった。
最後まで読んでいただきまして、ありがとうございます!!
まあ、アメルはそうしますよね。
魔界の初見殺し担当が現れましたね。エーテルノはどうなってしまうのでしょうか。
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