『戦闘開始』
霧の谷に到着すると、私たちは二手に分かれた。
北の入り口には『森の導き』が、南の入り口には『色彩の集い』が待機しており、ホークスの突入命令で一斉に動き出す。
「あ、あ、テス、テス、通信魔道具異常なし。こちらランチェル、こちらランチェル、ホークスさん聞こえますか」
魔道具に向かって、ランチェルが声を掛ける。
「こちらイケメン俺。ばっちりだぜ」
「お待たせしました。『森の導き』北の入り口に到着しました。いつでも突入可能です。そちらの状況はどうですか」
「こちらイケメン俺。洞窟の入り口に見張りらしきモヒカン2人。そっちはどうだ」
「こちらにも見張りらしきモヒカン2人。どうしましょうか」
「俺が合図すると同時、洞窟内に突入する。仲間を呼ばれる前に仕留めろ。それからは殲滅、とにかく殲滅だ。1人残らず殺し尽くせ」
「了解」
ホークスの指示を受け、にやりと笑うランチェル。
「見張りは誰が殺す?」
「じゃあ、私が行くよ。エルフの里で一番の弓使いと称された私の腕前を見せてあげる」
サーナは弓を構えると、魔力で矢を作り出した。
魔力が無くならないかぎり無限に撃ち続けられるわけか。魔力量が多いエルフには最高の武器だ。
「ホークスさん、こちらは準備完了です。いつでもいけます。そちらはどうですか」
「こちらイケメン俺。準備完了だ。虹色娘が殺る気満々だぜ。殺したくて殺したくてウズウズしてやがる。お互い準備完了ってことで、カウントダウンを始めるぜ」
「了解、サーナさん」
「任せて」
サーナは矢を2本生成し、見張りのモヒカンに照準を合わせる。
「カウントダウン開始。5、4、3、2,1」
「「放て!!」」
ホークスとランチェルの掛け声で、サーナが矢を放った。
2本の矢が風を切り、モヒカン2人の眉間に突き刺さる。急所への一撃であるため、声を上げることもなく絶命した。
「わたしに続きなさい!!」
2人のモヒカンが地面に倒れると同時、ルウを筆頭に私たちは洞窟へ突入する。
照明魔道具のおかげで、洞窟内は意外と明るい。
「な、なんだァ!?」
「誰だてめえら!! ここがどこだかわかってんのか!!」
突入して10秒も経たないうちに、モヒカンたちに見つかった。
ナイフや棍棒などで武装しており、殺す気満々。無抵抗だと殺しにくいから、これくらいしてくれるとありがたい。
「ゴルソンはどこ」
「馬鹿か!! 教えるわけ――」
「そう、さようなら」
質問に答えなかったモヒカンの首を、ルウが一瞬で斬り落とした。
ゴトンと音を立て、転がるモヒカンの首。その光景を見て、別のモヒカンたちが驚愕の表情を浮かべる。サツキ超えの攻撃速度。レスドアでは敵なしだと思っていたけど、まったくそんなことなかったらしい。サツキがいたら悔しがりそう。
「くそ、よくもやりやがったな!!」
「ダメ!!」
ルウに斬りかかろうとしたモヒカンの腕を矢で撃ち抜き、攻撃を阻止するサーナ。
動きが止まったモヒカンを、容赦なく斬り殺すルウ。
「ありがとう」
「ううん、気にしないで」
ルウとサーナ、息の合ったコンビだ。
負けてはいられない。
「私も活躍しないとね」
モヒカンの死体からナイフを奪うと、私はモヒカンの集団に飛び込んでいく。
「1人で来やがって!! なめてんのか!!」
「あっ、かわいい」
「生け捕りにして、後から楽し――」
「ごめん、君たちに恨みはないんだけど……仕事だから殺すね」
私はひとこと謝罪すると、10人のモヒカンを斬り殺した。
私は近接戦闘が嫌いだ。お気に入りのパーカーに返り血が付いてしまうから。
「サーナ、カレンの動き見えた?」
「見えなかった」
驚愕の表情を浮かべる、ルウとサーナ。
ゆっくりしていたら、エーテルノに先を越されてしまう。
「さあ、奥に進もう」
口元に付いた返り血を舐め取り、私はみんなに手を振る。
久しぶりだな、敵を殺すなんて。3界戦争以来だったかな、気持ちがすっきりするよ。
ーーそして、しばらく進むと。
「みなさん止まってください。その先は、道が分かれています」
「ほんとだ」
ランチェルに言われ、私たちは足を止めた。
道が二手に分かれており、どちらかは行き止まりの可能性がある。
「どうしよう、二手に分かれたほうがいいかな」
「サーナさん、それは危険です。どちらかにゴルソンがいたらどうするんですか」
「あうう……」
ランチェルに注意され、落ち込むサーナ。
「右側の通路が正解かも」
「カレンちゃん、どうして分かるの?」
私の言葉に、サーナは首を傾げる。
「カレン、あなたも魔力感知を使えるの?」
「うん、その言い方だとルウも?」
「ええ、さっきからあなたの正体を調べようとしているのだけど、まったく魔法を使ってくれないから困っているの」
「いや、敵を捜すのに使おうよ」
「カレン、あなたが悪いのよ。素直に教えてくれればいいのに。ランチェル、右側の通路から魔力反応を感じるわ。左はハズレ」
「わかりました!! 右に進みましょう!!」
ランチェルの決定で、私たちは右の通路に進むことになった。
最後まで読んでいただきまして、ありがとうございます!!
モヒカン殺戮マシーンと化した、カレンさん。
ルウに目を付けられましたね。
安らかに眠れモヒカン。
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