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『メイドさんが現れた』

 私とアメルは冒険者協会の受付で依頼完了の報告を終えて規定の報酬を貰うと、温泉で汗を流したあと酒場で夕食を取っていた。昼食は唐揚げだったので、夕飯は軽めの焼き魚定食。ボリュームがあって骨も少なくて凄く食べやすい。それに対してアメルはチーズハンバーグ定食。皿には大きなチーズハンバーグが3つ乗っており、ボリューム満点である。


「むぐむぐ……」


 風船のように頬を膨らませ、幸せそうにチーズハンバーグを食べるアメル。口元にはソースが付いており、無邪気な子供みたいである。


「アメル頬張りすぎだよ。そんなに急いで食べなくてもハンバーグは逃げないよ。それと口元にソースが付いてるよ」

「ほんと? どこどこ? どこに付いてるの? カレン取って?」

「甘えちゃってもう……」


 私は備え付けの紙ナプキンを取ると、アメルの口元を拭いてあげる。


「カレンって、なんだかお母さんみたい」


 口元を拭き終わると、アメルが満面の笑みを浮かべてきた。


「私が?」

「うん、雰囲気がお母さんに似てるんだよね……そういえば聞いてなかったけど、カレンは何歳なの? 身長は私より小さいし、もしかして年下?」

「……」


 アメルに年齢を訊かれ、私は黙り込む。

 熾天使である私は、天界で3万年ほど生きている。創造神に生み出された瞬間からこの姿であるため、年齢という概念が存在しない。悩む私を見て、アメルが首を傾げてくる。


「どうしたの?」

「いや、なんでもない。それよりもアメルは何歳だい?」

「私は15だよ」


 私の質問に、アメルは笑顔で答えてくれた。


「若いね……」

「若い? あんまり変わらないでしょ? それで、カレンは何歳なの?」


 アメルの身長で15歳なら、アメルより身長が低い私は14くらいに見えるだろうか。

 3万歳と言うわけにもいかないし、とりあえず14歳にしておこう。


「私は14歳だよ。そっか、アメルは私より年上か……」

「やっぱりね!! やっぱり私より年下だった!! それにしてもカレンは凄いね。私より年下なのにしっかりしてるもん! 強力な魔法だって使えるし、雰囲気も大人だし!!」

「そんなことないよ。ほら、アメルだって――」


 ――私が言いかけたときだった。


「大変だ!! どこかのメイドさんが、グレイに喧嘩を売りやがった!!」


 慌てた様子で、男性が冒険者協会に駆け込んできた。

 その瞬間、冒険者たちが騒ぎ始める。


「あのグレイに!?」

「グレイは女にも容赦ないんだろ? 止めないとやばくないか?」

「助けに行くぞ!!」


 知らせを聞いた冒険者たちが、次々と外に飛び出していく。


「グレイ? 誰それアメル知ってる?」

「知らない」


 首を左右に振るアメル。グレイという存在。冒険者から恐れられているようだが、どんな奴だろうか。少し気になるので、見に行くことにした。



 急いで食事を済ませると、私とアメルは騒ぎの中心である広場に足を運んでいた。

 そこには人集りができており、外からでは状況が確認できない。


「ちょっと、すいませんね……?」


 群がる見物客を押し除け、騒動の状況を確認すると、そこに居たのは2メートルを超える大男とメイドさんだった。

 夜を連想させる漆黒の瞳。黒色のスカーフリボンで束ねられた緑髪のサイドテール。身長は私とアメルよりも高い。白いエプロンドレスに身を包み、頭部にはレース付きのホワイトブリムを装着している。


「おいおい、姉ちゃん……もういっぺん言ってみろや」

「聞こえませんでしたか? それなら何度でも言わせてもらいます。トレイだかトイレだか知りませんけど、貴方みたいなクソ野郎なんかと遊んでいる時間は無いと言っているんですよ。私を誘う前に鏡を見て出直してきなさい」


 メイドさんが、傲慢な態度で大男――グレイを突き放す。

 ボロクソに罵倒され、グレイは腹が立ったのか、メイドさんの胸倉を掴んでしまう。


 ――その瞬間、メイドさんの魔力が膨れ上がった。


 見物客はメイドさんの変化に気づいていないのか、グレイに呼びかけるだけである。

 メイドさんの魔力量は、その辺りにいる冒険者とは格が違う。放っておくとグレイは確実に殺されるだろう。


「放っておくと、殺されるね……」

「そんなの可哀想だよ!! お願いカレン!! メイドさんを助けてあげて!!」

「いや、助けるのはグレイのほうだよ」

「え?」


 アメルも気づいてないか。

 魔力感知は、人間にとって難易度が高いらしい。


「このクソメイド!! 調子に乗りやがって!! 痛い目を見ねえと理解できねえようだな!! 俺に逆らったことを後悔させてやるぜ!!」

「汚れた手で私のメイド服に触るなんて……万死に値しますね」


 怒りを露わにしたグレイが拳を振り上げると、全身を切り裂くような殺気と共に、メイドさんが口を開いた。


「てめえ……?」

「皆様、篤と御覧あれ。串刺しの御時間でございます」



 メイドさんが告げた瞬間、上空から複数の魔力反応を感じ、見上げてみると5本の剣がグレイを狙っていた。私が見上げたことで、見物客たちも剣の存在に気づく。グレイが死んでも問題は無いが、子供のアメルに惨殺死体を見せるわけにはいかない。


「カレン……?」

「まったくもう、私はあんまり厄介事に首を突っ込みたくないんだけどな……分かったよ。今回はアメルに免じてグレイを助けるよ。危ないからそこを動かないでね」

「カレン大好き!!」


 私は溜め息を吐くと、人集りから飛び出した。


メイドさんだ!!

メイドさんだあぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!


すいません、取り乱しました。


最後まで読んでいただきまして、ありがとうございます!!

みなさんに楽しんでいただけることが、執筆活動の原動力になっております!!

これからもよろしくお願いします!!

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