『サツキVSクレア』
サツキとクレアの手合わせが開始された。
先手は、サツキである。
「最初から全力で行かせていただきます!!」
剣を握り、地を蹴るサツキ。
その速度は人間レベルを超えており、瞬きする間もなくクレアとの距離を詰める。
左肩から斜めに振り下ろされる、サツキの袈裟切り。普通の人間では反応できない速度だが、クレアは余裕の表情でひらりと躱す。
「なかなかの速度ですわね。しかし、それではわたくしを切れませんわ」
「油断なさらず」
躱したはずの剣が、くるりと向きを変えてクレアに襲い掛かる。
「あら」
「本命は2撃目です」
クレアの首に向かって、水平に振り抜かれようとする剣。
「なるほど、ここで油断していたらばっさりといかれてしまうわけですね」
「くっ……」
決まったと、誰もが確信するだろうが――
サツキの剣は、クレアの親指と人差し指によって受け止められてしまう。
「これで終わりですか?」
「まだです」
剣を捨て、サツキは後方に跳躍する。
クレアは剣を投げ捨てると、魔力を高めるサツキを見て笑みを浮かべる。
「魔力を高めたということは、何かしてきますわね」
「『――無限ノ剣舞』!!」
竜巻のごとく、渦を巻く剣。
剣の渦に閉じ込められてしまえば、ミンチは免れないだろう。
――しかし。
「なるほど、カレイア先輩の弟子を名乗るだけはありますわね」
「クラーケンすらも切り裂いた私の魔法。さすがのクレア様でもただではすみませんよ」
「御冗談を」
本来ならば――
全身を切り刻むはずの剣が、クレアの身体を通り抜けていく。
「なっ……」
無傷のクレアを見て、驚きを隠せないサツキ。
「出たですよ、ヤンデレのクソ魔法」
「クソとは失礼ですわね」
エーテルノに茶々を入れられ、不服そうな表情を浮かべるクレア。
「何が起こって……?」
「わたくしの魔法ですわ。お気になさらず」
にっこりと笑うクレア。
サツキは動揺を見せたものの、すぐに切り替えて次の攻撃に移る。
「魔剣生成――雷光の魔剣」
サツキの手に現れたのは、雷を纏いし青緑色の魔剣。
剣先にはバチバチと稲妻が走っており、斬られてしまえば感電してしまうだろう。
魔剣生成なんて、今まで見せてもらったことなかった。ここぞという時のために隠していたのだろうか。
「あら、かっこいい剣ですわね」
「これならどうですか!! 笑っていられますか!!」
「はい」
一撃必殺の剣技。
しかし、それは虚しくも空を切り、クレアに掠り傷を負わせることすらできない。
「その魔剣、壊れても修復できますの?」
「え、はい」
「では、邪魔なので」
クレアが触れた瞬間、雷光の魔剣はバラバラに切り刻まれてしまう。
「……は」
「サツキには触れないようにしなければいけませんね。この世から消えて無くなってしまいますから」
圧倒的な力の差。
しかし、サツキは諦めない。
「二刀流ならどうですか!! 魔剣生成――雷光の魔剣!!」
「無駄ですよ」
超高速で振るわれる二刀流の剣技。
魔法を解除し、実力の差を見せつけるかのように剣技を躱すと、足払いをかけてサツキを転倒させる。
「はあ、はあ……まだです、私はまだやれます」
「諦めの悪い子ですわね。嫌いではありません。貴方の気が済むまで付き合ってあげますわ」
「せめて一太刀」
サツキは魔力を高めて、魔剣ドラゴスティアのレプリカを生成する。
赤色の縦線が入った黒色の魔剣。レプリカであるにもかかわらず、凄まじい魔力を纏っている。
「面白いものをお持ちで」
「掠り傷くらいは付けられたらいいのですが」
魔剣を構え、サツキは地を蹴る。
突きの技だろうか。吸い込まれるようにしてクレアへと向かっていく。
「魔剣の影響ですか、先程よりも速くなっていますわね。しかし、それではわたくしを捕らえることはできませんわ」
「いえ、そうでもないみたいですよ」
はらりと、紫色の髪が舞う。
よく見ると、ツインテールの先端が少しだけ切れていた。
「あら」
「熾天使に私の剣が届きました。全魔力を使った技だったのでもう1歩も動けません」
魔剣を消滅させ、力なく座り込むサツキ。
「しゃおらったあああああああっ!!!! サツキがやりやがったですよ!!」
「さすが!!」
「サツキちゃん最高!!」
髪の先端とはいえ――
クレアに攻撃を当てられたというわけで、はしゃぎながら駆け寄っていく私たち。
特に喜んだのはエーテルノで、サツキに抱き着いてほっぺたを押し付けている。サツキへの労いはエーテルノとアメルに任せ、私はクレアに話しかける。
「クレア、わざと当たった?」
「油断はしていましたが、わざとではありません。わたくしも修行が足りませんわね」
「クレアのそういう素直なところ好きだよ」
「ぴゃッ!!」
私に褒められ、クレアは顔を真っ赤にするのだった。
最後まで読んでいただきまして、ありがとうございます!!
クレア好き。
怒らせたら怖いけど、可愛いからヨシ!!
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