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『初めての依頼』

 道具を揃えた私達は、マンイートフラワーの生息している森林に来ていた。


「いないねえ……」

「影も形も無いよね……人間を食べるなら身体も大きいだろうし、それならすぐに見つかると思うんだけど……」


 森林の捜索を始めて1時間が経過しているが、未だにマンイートフラワーは見つからない。ここの森林は湿度が高く、熾天使の私にはこれといった影響は無いが、人間であるアメルには厳しいだろう。


「はあはあ……はあはあ……」


 アメルは激しく息を切らしており、大量の汗を流している。

 私は足を止めて、アメルに話しかけた。


「アメル大丈夫? 少しだけ休む?」

「うん、ちょっとだけ休ませて……それにしてもカレンは凄いね。あれだけ歩いても余裕そうにしているなんて」

「私の故郷は暑かったからね。身体が慣れてるんだよね」

「そうなんだ……」


 アメルは切り株に腰掛けると、水筒に入れてきたお茶を飲み始める。討伐対象のマンイートフラワーはどこに生えているのだろうか。そろそろ見つけないとアメルが体調を壊してしまう。


「……ん?」


 そんなとき、アメルの背後にある茂みが動いた。

 不審に思った私は、確認に向かう。


「どうしたの?」

「茂みが動いたからさ、念のために確認してみる」


 茂みを掻き分けて確認すると、小さい赤色の花が生えていた。


「あは、小さくて可愛い花だね」


 お茶を飲みながら、アメルが微笑む。

 なんだか不自然だが、大きさ的にマンイートフラワーでは無いだろう。こんな大きさでは人間どころか小動物すら食べられない。私が微笑を浮かべていると、香りを嗅ぎたいのかアメルが花に顔を近づけた。


 ――その瞬間、花が巨大化した。


「ひぎゃああああっ!!!!」


 絶叫するアメル。

 小さくて可愛かった赤色の花が、気味の悪い巨大な顎に変化した。ズラリと並んだ顎をガチガチと鳴らし、よだれのような液体を地面にボトボトと落としている。


「そういうことか!! アメル気をつけて! こいつがマンイートフラワーだ!!」

「これが!?」


 どうやらマンイートフラワーは、身体の大きさを自由に変化できるらしい。

 道理で探しても見つからないわけだ。人間を食べる花と聞いて、私は人間以上に大きい存在にしか意識を向けていなかった。


「キシャアアアアッ!!!!」


 マンイートフラワーが、咆哮しながら襲い掛かってきた。

 巨大な顎を開き、私を捕食しようとする。


「危ないカレン!!」

「心配無用!! こんなの止まって見えるね!!」


 私はマンイートフラワーの顎をひらりと躱し、素早く回し蹴りを撃ち込む。

 手っ取り早く『銀ノ焔ぎんのほむら』で焼却したいが、運が悪いことに森林の中。マンイートフラワーだけでなく森林まで焼け野原になってしまう。それに加え、討伐の証拠として魔物の素材を冒険者ギルドに提出しなければならないので、全てを燃やし尽くす『銀ノ焔ぎんのほむら』では素材が残らない可能性がある。面倒だが肉弾戦で倒すしかない。


「森林だと、カレンの炎魔法は不利だね。それなら今回は私に任せてよ」


 アメルから、軽く肩を叩かれた。

 マンイートフラワーの相手を変われという意味だろう。


「お手並み拝見だね」

「大船に乗ったつもりで私に任せてよ!! 契約魔法の凄さを見せちゃうから!!」

「待ってました!!」


 アメルは地面に手を触れると、紫色の魔法陣を顕現させた。

 魔法陣の影響で空間が歪んでいる。おそらく魔法陣を異空間と繋げて異空間に封印している召喚獣を呼び出しているのだろう。


「召喚術式――起動、ムンちゃんおいで!!」


 魔法陣が輝くと同時、白銀の狼が姿を現した。

 美しい白銀の体毛。紅色の眼。鋭い牙。眉間には月の形をした傷跡がある。


「シルバーウルフだ!!」

「カレン、ムンちゃんの個体名を知っているの!?」

「うん、たまに山岳地帯で――」


 ――あれ?


 シルバーウルフって、天界の山岳地帯にしか生息してないよね。

 なんで、アメルと契約しているのか。


「行くよ、ムンちゃん!! マンイートフラワーを噛み殺しちゃえ!!」


 アメルが命令すると、シルバーウルフ――ムンちゃんはマンイートフラワーの攻撃を躱し、鋭い牙で首を噛みちぎる。


「キシャア……」


 ムンちゃんに首を噛みちぎられ、生命活動を停止するマンイートフラワー。

 シルバーウルフは俊敏な動きで獲物に近づき、鋭い爪と牙で獲物を仕留める。天界の生態系で上位に君臨する神獣である。人間界には存在するはずないんだけど、アメルはどうやって契約したのか。アメルは正体を知らないようだが――


「あはは!! さすがムンちゃん!!」

「ガウ!!」


 シルバーウルフの頭を撫でられる人間なんて、世界にアメルしか存在しないよ。異常な光景に驚いていると、アメルが上目遣いで話しかけてきた。


「どうだった? 凄かった?」

「とても凄かったよ。それにしても、アメルはどこでムンちゃんと出会ったの?」

「ごめんね。ムンちゃんとは赤ちゃんの頃から一緒だったからさ、あんまり覚えてないんだよね。お母さんなら知っているかもしれないけど、2年前に病気で死んじゃった」

「なんかごめん……」

「気にしないで!! 今はカレンのおかげで寂しくないから!!」


 手掛かりは闇の中。真実が気になるけど、アメルと契約しているおかげで人間界の生態系に影響は無さそうだし、ゆっくりと解明すればいいよね。


「それじゃあ、ぱぱっとマンイートフラワーの素材を回収して冒険者協会に戻ろうか」

「賛成!! 凄く暑かったから汗で服がベトベトだし、早くお風呂でさっぱりしたいよ!!」


 私とアメルはマンイートフラワーの素材を回収すると、冒険者協会に戻るのだった。


マンイートフラワー先輩、お疲れ様です!!

負けたことなんて気にしないでください!! とにかく相手が悪いんです!!

ごめん。


最後まで読んでいただきまして、ありがとうございます!!

みなさんに楽しんでいただけることが、執筆活動の原動力になっております!!

これからもよろしくお願いします!!

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