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『Aランク昇級試験』

「リン、Aランク昇級試験を受けに来たよ」


 王都から帰還して、1カ月ほど経った時。

 私・アメル・サツキ・エーテルノの4人は、冒険者ギルドに来ていた。

 Aランク昇級試験を受けるまでに1カ月も期間が開いたのは、エーテルノを中級冒険者にさせてAランク昇級試験の受験資格を獲得させるためである。

 エーテルノの実力なら1週間もあれば中級冒険者になれるのだが、あまりにも短い期間でなってしまうと目立ってしまうので少し時間を掛けさせた。

魔界に戻っているのか、酒場で話した時からサレヴィアの姿を見ていない。リンには家庭の事情と伝えられており、半年間の休暇をもらっているらしい。


「ようやく来られましたね。きちんと用意しておりますよ、とびっきり難しい依頼を」

「うわ、最高の笑顔。嫌な予感しかしないよ」


 満面の笑みを浮かべるリンを見て、アメルが苦笑を浮かべる。


「色彩の集いのみなさんに受けていただきたいのはこちらです!!」


 紺色のファイルを開き――

 1枚の依頼書を取り出すと、勢いよくカウンターに広げるリン。

 アルファード王国の最南端に位置する、ウォルマーレ島の近海にクラーケン出現。クラーケンは南大陸の深海に生息しているはずなのだが、何らかの原因で生息地を変えてしまっているらしい。漁船や貨物船なども襲われており、討伐をしてほしいとのこと。


「クラーケンですか」

「エーテルノちゃん、クラーケンってどんな魔物なの?」


 アメルに質問され、エーテルノが説明を始める。


「クラーケンってのは、すっげえデカい身体をした触手野郎ですよ。日光の届かない深海に生息していて、縄張りの海域を通り掛かった船を問答無用で沈ませてくる性格の悪いやつですよ」

「うえ……」


 エーテルノの話を聞いて、嫌そうな顔をするアメル。


「見た目はアレですが、焼いて食べたらうめえですよ」

「エーテルノ、食べたことあるんだ」

「何年前だったか忘れたですけど、私の乗っていた船が襲われたんですよ。その時ちょうどお腹空いてたんで、ぱぱっと仕留めて食べたですよ。肉厚で歯ごたえがあって美味かったですね」

「へえ、私も食べたいな」

「カレンも気に入るですよ、サツキに美味しく調理してもらいましょう」

「いいね」

「いいねではありません。貴方たちはもっと周囲の目を気にしてください」


 私とエーテルノが盛り上がっていると、サツキから怒られてしまった。

 しかし、時すでに遅し。


「ク、クラーケンを食べたって……」

「肉厚で噛み応えありって……」

「色彩の集いにまたやべえやつが増えたぞ……全員可愛いくせに中身がやべえんだよな。可愛いくせにほんと」

「おじさんたち、全部聞こえているからね!!」

「「「ひいっ」」」


 アメルに睨みつけられ、一目散に逃げ出していく冒険者たち。


「おしゃべりはそのくらいにして、話を戻しましょう。色彩の集いのみなさんにはウォルマーレs島に向かっていただき、クラーケンの討伐をしてもらいます。この依頼を成功することができれば、上級冒険者へと昇格できます」

「上級冒険者か~!!」


 リンの説明を聞いて、目を輝かせるアメル。


「上級冒険者になれば、Aランク依頼を受けることができます。Bランク依頼とは難易度が段違いで、舐めてかかれば死が待っています。人類未踏の地を探索したり、1体現れるだけで国すらも滅ぼしかねない魔物と戦ったりもしますので」

「それはよかった。Bランクの魔物は弱すぎて飽き飽きしていたんだ。Aランクになれば、私が苦戦するような依頼にも出会えるのかな」

「「「出・会・え・ま・せ・ん」」」

「ぐすん」


 アメル・サツキ・エーテルノに真剣な表情で言われ、私は涙を浮かべるのだった。

最後まで読んでいただきまして、ありがとうございます。


とうとうやってまいりました、Aランク昇級試験。

カレンが苦戦するような魔物が出現したら、世界が終わってしまいますね。


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これからもよろしくお願いします!!

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