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『終焉ノ黒』

 霊峰ファウゲール。

 アルファード王国とラスレア皇国の国境に聳え立つ、標高5324メートルの聖なる山。

 季節は冬。天気は猛吹雪。視界全てが白の世界。


「帰っていいかな」


 もこもこの防寒着を身に纏ったアメルが、死んだ魚のような目で言ってきた。

 迷子にならないよう、私たちは手を繋いでいる。迷子になる可能性が高いアメルを真ん中にして、私とサツキとエーテルノで挟んでいる。


「私も帰りたいですね。防寒着があっても凍え死にそうです。メイドは寒さに弱い、これはテストに出ますよ」

「人がせっかく案内してやってんですから、文句ばっか言うんじゃねえですよ。カレン、てめえのクソチート魔法でどうにかならねえですか」


 サツキの弱音を聞いて――

 ポケットに手を突っ込みながら歩く私に、エーテルノが話しかけてくる。


「私がどうにかできるのは魔力だけだよ。自然現象はどうにもならないね。そんなことをできるのはテューエしかいないよ」

「竜界の序列4位――『天竜』テューエですか。確かに、あいつなら天候操作なんて朝飯前ですね」

「竜界では珍しい、話の通じるドラゴンだからね。冒険者生活に役立ちそうだし、竜界から拉致ってこようかな」

「そんなことしやがったら竜界総出で人間界を滅ぼしに来るからやめてくれですよ」

「そんなことになっても、人間界には私とエーテルノとサツキがいるからなんとかなりそうだよね」

「その言い方だと、私だけでティアレとヴェルナを倒さねえといけねえってことですか。無理ゲーですよ。地上戦に持ち込まれたら、ヴェルナは完全無敵じゃねえですか。重力魔法を使いっぱなしは身体が持たねえですよ」

「そっか~」


 竜界の序列5位――『地竜』ヴェルナ。

 地上全体が攻撃範囲なので、空を飛べなければ近づくことすらできない。天竜戦争では、地面に撃ち落された天使兵が殺されまくっていた。



「アメルは、空を飛べる魔物とは契約していないのですか」

「いるのはいるんだけど、お母さんの言うことしか聞かないんだよね。私はまだ認められてないみたい」


 サツキに言われ、苦笑するアメル。


「では、無理やり認めさせましょう。ここには熾天使カレイアがいるのですから。話し合えば認めてくれますよ」

「私をなんだとおもっているのかな」


 脅しの道具に使わないでほしいが、ワイバーン航空サービス以外にも空を飛べる方法が手に入るのは大きい。


「じゃあ、ギルドハウスに帰ったら……カレンに脅してもらおうかな」

「楽しみですねえ」

「わくわくが止まらねえですよ。なんだかすっげえやる気が出てきたですよ。久しぶりに頑張っちゃうですよ。道案内だけのつもりだったですが、超、超、超特別サービスで私が片付けてやるですよ」


 今まで繋いでいた手を離し、天に両手を掲げるエーテルノ。

 凄まじい魔力圧。大技を出すつもりか。


「アメル、サツキ、私から離れないでね」


 私が口を開いたとき、エーテルノの大技が繰り出される。


「――『終焉ノ黒しゅうえんのくろ』」


 空に現れた、黒い球体。

 極めて高密度な重力の塊。物質だけでなく光すらも逃れられない死そのものである。

 黒い球体は膨れ上がり、周りにあるものを吸い込み始めた。


「うひゃあああああああああああああああっ!!!!」

「馬鹿じゃないんですかああああああああああああああああっ!!!!」



 絶叫する2人。


「あれに吸い込まれたら、きれいさっぱりこの世から消えちゃうからね。私の『銀ノ焔ぎんのほむら』から出ないでね」

「「心配しなくても絶対に出ない」」


 魔力を無効化する銀色の焔の中にさえいれば、あれに吸い込まれることはない。

 吹き荒れる雪だけなく、ありとあらゆるものが吸い込まれていく。樹木やら岩やら雪やらなにもかもである。


「エーテルノ威力強すぎ!! 霊峰ファウゲールが地図から消える!! 吸い込むのは雪だけでいいから!!」

「じゃあ、これくらいでいいですね」


 私に注意され、エーテルノが指を鳴らすと――

 黒い球体が消滅して、大空を舞っていた岩石や樹木が音を立てながら落下する。


「世界の終わりじゃないですか」

「人間やめてるよね。歩く災害だよね」

「褒めるんじゃねえですよ、照れるじゃねえですか」

「「褒めてない!!」」


 サツキとアメルに怒られ、エーテルノが私に泣きついてくる。


「ぐすんぐすん、ひどいですよあいつら。せっかく邪魔なものを吸い込んでやったのにボロカスに言われるなんて」

「これで、私の気持ちが分かったかな」

「分かったです」


 理解者が増えてくれて、私はすごく嬉しい。

 エーテルノの頭を撫でてあげると、私たちは視界が良好となった山道を歩きだすのだった。

最後まで読んでいただきまして、ありがとうございます!!


エーテルノの実力が、少しだけですが分かっちゃいましたね。

まさかまさかのブラックホール生成とは恐ろしい魔法を使いますね。エーテルノ1人で世界を滅ぼせるんじゃないですか。

こうなってくると、エーテルノに実力を認められし聖女ルルセリカの株も上がっていきますね。


面白い・続きが気になると思っていただけましたら、こちら↓↓↓の広告下にあります「☆☆☆☆☆」欄にて作品への応援を頂けますと、今後の励みとなります。


これからもよろしくお願いします!!

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