『女王と四聖将』
アルファード城――王都の中心に聳え立つ白亜の城。
城門には兵士が2人立っており、不審な人物が入らないように見張っているのだろう。
「王女殿下、おかえりなさいませ」
「ご苦労様、彼女たちは私の友人です。くれぐれも失礼のないようにしてください」
「はっ」
兵士2人を労ったフローラは、堂々とした立ち振る舞いで城へと入っていく。
城内を歩いていると、周りからの視線が凄い。
「王女殿下が連れている少女たちは……?」
「銀髪の子すごく綺麗ですよね。メイドを連れていますし、もしかしたら他国の王女様かもしれないですよ……?」
「じゃあ、桜髪の子は宮廷魔術師ですかね」
「気になりますねえ」
城内で働く人たちから、好き勝手言われている。
「あはは、カレンのことを王女様とか言ってるよ」
「アメルは宮廷魔術師らしいよ」
「私のことは間違えていませんね。私はカレンとアメルのメイドですから」
「3人とも申し訳ありません……」
私たちにだけ聞こえる声で、フローラが謝ってくる。
「気にしないでいいよ。王城っていうからもっとギスギスした雰囲気なのかと思っていたけど、和気藹々としてて安心したよ」
「働きやすい職場のほうが、従業員たちのやる気も上がりますからね」
環境の良し悪しはトップ次第。
ほんと、天界とは大違いだ。宮殿内で働く天使たちはハレスとソフィエルに怯えており、業務中に一切口を開くことはなかった。
「……ほんと、人間たちは羨ましいな」
「カレン、何か言いました?」
「なんでもないよ」
「それならいいんですけど。3人とも、玉座の間はもうすぐですからね」
城内を歩いて――
10分くらい経った時、重厚な扉が見えてきた。
扉の前には、紺色のローブを纏った少女が立っている。フローラの姿を見るや否や、満面の笑顔で手を振ってくる。
「フローラ様、おかえりなさい!!」
「ただいま、ルキッタ。四聖将たちは玉座の間に集まっていますか?」
「はい、エルシア女王陛下も四聖将の方々もフローラ様の到着を待っておられますよ。なるほど、そちらにいらっしゃるのが『色彩の集い』の方々ですね。どうぞ、お入りください」
茶髪ショートヘアーの少女――ルキッタはぺこりと頭を下げると、玉座の間に続く重厚な扉を開けるのだった。
◇
玉座の間。
入り口から玉座まで真っすぐに敷かれた赤色の絨毯。絨毯を挟むようにして少女が4人立っており、そこにはコルテリーゼの姿もある。
最奥部には1人の女性。腰まで届く金髪ストレート。美しい碧眼。紺色のドレスを身に纏い、宝石の埋め込まれた王冠を被っている。
「第1王女、フローレス=アルファード帰還しました」
「おかえりなさい、フローレス。その者たちが暗殺者の手から貴方を救ったという」
「冒険者ギルド――『色彩の集い』です。3人とも、お母様に自己紹介をしてください」
フローラに指示され、私たちは片膝を附く。
「カレン=アルジェントです」
「アメル=クラウィスです」
「サツキ=サイオンジでございます。女王陛下、お会いできて光栄です」
私たちが挨拶を終えると、女王陛下が口を開く。
「カレン、アメル、サツキ、暗殺者の手からフローレスを守ってくださったことに深く感謝致します。貴方たちがいなければフローレスは殺されていました」
「ほんとです、カレンがいなかったら頭を撃ち抜かれていましたよ。コルテリーゼなんか、調子に乗って「完全勝利だ!! ワタシを相手しようなんて100年早い!!」とか叫んでいましたからね」
「フ、フローラ様、女王陛下の前でそれは……!?」
フローラに暴露され――
コルテリーゼが慌てていると、可愛らしいピンクのリボンを頭に付けた魔導士の少女がドン引きといった表情を浮かべながら会話に入ってくる。
「うわ、マジかおい。コルテリーゼそれはマジでかっこわるいわ」
「念のために言っておくが、時計塔からの狙撃だぞ。大勢の国民が集まる中あそこまで距離が離れたスナイパーに気づけるカレンがおかしいんだ。ボロクソに言っているが……ララ、おまえでも気づかないぞ」
「時計塔って、メインストリートから4キロくらい離れてねーか? それ、マジの話?」
「マジだよ、デカリボン」
「すっげえ、あたしっちの魔力感知でも1キロ圏内が限界なのに……」
ララという魔導士。
人間の身でありながら、1キロ圏内まで魔力感知を使えるのか。王城にいるだけあって、なかなかの実力者じゃないか。
「こほん、貴方たち」
「「はっ!!」」
女王陛下の咳払いによって、コルテリーゼとララが体をびくっとさせる。
「フローレス、貴方のせいで式典がめちゃくちゃになりましたよ」
「いつものメンバーしかいませんし、いつもどおりでいいんじゃないですか。カレンたちは気にしませんよ」
「そういう問題ではなくて」
「私は堅苦しいの嫌いです!! ララとコルテリーゼ以外の四聖将たちも楽にどうぞー!!」
女王陛下を無視して、フローラは絨毯の両側に立っていた2人の少女に呼びかける。フローラに許可された瞬間、2人は自由に動き始めた。
「超広範囲の魔力感知を使えるなんて、カレンちゃん何者?」
私に接近してきたのは、桃色の髪をしたポニーテールの少女。
水色の瞳で、私の顔を覗き込んでくる。
「偶然そこに通りかかった、ただの駆け出し冒険者だよ」
「カレンちゃんあれだよね。冒険者になる前はどこかで数えきれないくらい敵を殺しまくってた女の子だよね」
「そんなことないよ」
「誤魔化さなくてもいいよ。キルルわかるんだよね。カレンちゃんからは私と同じ匂いがしているから。仲良くしてくれると嬉しいな」
「日光を克服した吸血鬼とか初めて見たよ。よろしくね、キルル」
「うひひ、わかっちゃうんだ。灰にはならないけど痛みは感じちゃうから克服したわけじゃないんだよね。やっぱりただものじゃないね。フローラちゃん、カレンちゃんすっごいよ。キルルのこと一瞬で見破っちゃった」
「キルルなら、カレンのことを気に入ってくださると思っていましたよ」
日光を克服した吸血鬼を飼いならしているとは、やっぱりフローラ恐ろしい子。
フローラのカリスマ性に驚いていると、眠そうな目をした黒髪ショートヘアーの少女がズレた丸眼鏡の掛け位置を直しながらアメルに近づいていく。
「凄腕魔導士のカレンくんもきょうみぶかーだが、ボクはアメルくんのほうがもっときょうみぶかーだね」
「私?」
「自己紹介をしていなかったな。ボクはディスカ=スピリティア。ボクの考え違いだったら申し訳ないが、アメルくんはシオン=クラウィスの娘さんだったりしないか?」
「ディスカさん、お母さんのこと知ってるの!?」
ディスカの言葉に、驚愕の声を上げるアメル。
アメルの母親といえば、2年前に病気で死んでいるということしか私は知らない。
アメルの大声によってこの場にいる全員の視線が集まる中、ディスカは誇らしげな表情で言うのだった。
「もちろん、知っているとも。シオンはボクの相棒なのだから」
最後まで読んでいただきまして、ありがとうございます!!
四聖将というワードも出て、少しずつ物語が進んできていますね。
これでセク天も60話を突破です。1話から60話までたくさんのキャラが登場しましたが、あなたの推しキャラは見つかりましたか?
あなたの押しキャラ、ぜひぜひ教えてくださいね。
ちなみに、牧田はサレヴィア推しです。
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