『王女殿下の暗殺計画』
「スナイパーから私を守ってくださったのですか!?」
誕生日パレードが終わると、私たちはフローラと人気のない路地裏に来ていた。
フローラの周りには、コルテリーゼを含む護衛4人。コルテリーゼ以外は初めて会うので表情が硬い。
「うん、コルテリーゼはスナイパーの存在に気付けていなかったし、このままだとフローラの頭が吹き飛ばされちゃうと思ってね。手を出させてもらったよ」
縄でぐるぐる巻きにされた、黒いローブのスナイパー。
暗殺者は6人いたが、コルテリーゼによって2人が殺されて3人は逃亡。捕獲できたのはスナイパーだけであった。
「くそったれ、なんでバレた……?」
スナイパーが口を開く。
サツキにやられたのだろう、顔面が腫れている。
「普通はバレないですよ。相手が悪かっただけです。王都に私たち『色彩の集い』が来ていなければ王女殿下は暗殺されていたでしょうね」
「そんな名前、1度も聞いたことがねえ……そうか、おまえら裏ギルドか」
「いいえ、普通のギルドです。結成して数カ月ですからね。聞いたことなくて当然かと」
「はあ!?」
サツキの発言に、驚愕の声を上げるスナイパー。
「まあ、戦力はイカレていますけどね。特にカレンは」
「サツキも人のこと言えないよね」
「私は普通だよ」
「アメルは『普通』という単語を今すぐ辞書で調べてきてください」
「ふにょん」
サツキにほっぺたをこねられ、変な声を出すアメル。
「カレン、じゃれあいはそこまでにしてください。話が進みません」
「ごめんごめん」
フローラに怒られ、私たちはスナイパーに向き直る。
「さて、いろいろと気になることはありますが……正直に言いなさい、貴方たちに暗殺を依頼したのは誰ですか」
「喋ると思うか?」
「喋ったほうがいいですよ。もう1度だけ言いますね。貴方たちに暗殺を依頼したのは誰ですか」
「馬鹿が、喋るわけが――」
「時間の無駄ですね」
スナイパーが口を割ることはないと確信したのか――
フローラは一切の躊躇いもなく腰に差してあった短剣を抜くと、スナイパーの首を切り裂こうとする。
「フローラ、そこまで」
「カレン」
フローラの腕を掴んで、私は殺人行為を止めさせた。
その瞬間、護衛の1人が動く。
「貴様!! 王女殿下に無礼であろう!!」
「まて、カレンなら問題ない」
「コルテリーゼ様……!?」
護衛は剣を抜こうとするが、コルテリーゼに止められてしまった。
「カレン、どうして止めるのですか」
「うちのギルドマスターに首切り処刑は刺激が強すぎるからさ、スナイパーの処刑は城でやってくれないかな」
両手で顔を覆い、プルプルと震えながら座り込むアメルを私が指差すと、フローラは慌てて短剣を鞘に納める。
「申し訳ありません。カレンの言うとおり、可愛い女の子を怖がらせてはいけませんよね」
「うんうん」
「あと、念のために言っておきますが……私の腕を掴むなんて、カレンじゃなかったら牢獄行きですからね」
「こわーい」
「こわーいは私のセリフですよ……コルテリーゼ、護衛3人を連れてスナイパーを城の地下室に連れて行きなさい。カレンがいるので護衛は必要ありません」
「分かりました」
コルテリーゼと護衛3人を見送ると――
フローラは溜め息を吐き、アメルの方に向かっていく。指の隙間からチラチラと覗くアメルに、フローラは優しく手を伸ばした。
「アメルでしたか、怖がらせてしまいましたね」
「これ、取っていいの?」
「私から伸ばしたのですから、触れても問題ありませんよ」
「わーい」
フローラの手を取り、ゆっくりと立ち上がるアメル。
王女であるフローラに触れたことが嬉しかったのだろう、手を開いたり閉じたりを繰り返すアメル。
「さて、邪魔者も去ったことですし……カレン、王都の空に出現した銀色の天秤について話があります」
「そういえば、これから用事が――」
「王女命令です。逆らうことは許しません」
「ずるい!!」
くそ、覚えていたか。
スナイパー事件で『天銀ノ裁秤』のことは頭から抜けていたと思っていたのに。
「あの天秤、カレンが出現させたものですよね」
「私じゃないよ」
「指を鳴らす瞬間を見ていますので、嘘は通じませんよ。正直に答えてください、あの天秤はカレンが出現させたものですよね」
「はい」
フローラの圧に押され、私は認めてしまうのだった。
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