『王都』
霊峰ファウゲール。
アルファード王国の最西端、ラスレア皇国との国境に聳え立つ聖なる山である。
図書館の文献によれば、霊峰ファウゲールには熾天使が祭られているらしく、頂上にある神殿には多くのお供え物がされているとか。
その熾天使とは、天界の序列6位――『天花』クレア。天界・魔界・竜界に1人ずつ存在する初見殺し3人衆の天界担当で、魔法のクソ度は天界トップクラスである。もう1人の後輩であるアリアとは毎日のように喧嘩しており、仲裁には苦労していた。
「王国の最西端ってことは、向かう途中で王都を通るんだよね。王都には美味しいごはんがたくさんあるっぽいし、王都観光の計画も立てようよ」
ワイバーン航空サービスを利用し――
商業都市レスドアを出発してから1時間くらい経った時、観光パンフレットを眺めていたアメルが声を上げた。
「私は賛成だよ。王都には知り合いもいるし、立ち寄ったついでに会いたいな」
「カレンは王都に知り合いがいたんですね」
「うん、フローラとコルテリーゼっていうんだけどね。彼女たちも冒険者でサレンと依頼を受けた時に出会ったんだ。サツキとアメルにも紹介するよ」
「コルテリーゼという名前、どこかで聞いたことあるような……どこの誰でしたか、喉のところまで出掛かっているのですが……」
人差し指にくるくると髪の毛を巻き付けながら、過去の記憶を遡るサツキ。
「コルテリーゼって有名人だったんだね。サレンの実力にも気づけなかったから気性が荒いだけの騎士見習いだと思っていたよ。私的にはフローラが気になるかな」
「カレンに興味を抱かれるなんて、素晴らしい逸材じゃないですか。フローラという方は強かったんですか」
「戦闘は見られなかったけど、魔力感知を使えていたから凄腕の冒険者だってことは間違いないよ」
「会うのが楽しみですね」
笑みを浮かべながら、指をポキポキと鳴らすサツキ。
戦う気満々じゃないですか。
◇
冒険者協会――王都支部。
商業都市とは建物の大きさが段違い。建物の1階から3階が冒険者協会になっており、依頼掲示板に貼られている依頼書の量は商業都市とは比べ物にならない。4階はレストランで、5階から10階は冒険者専用の宿泊施設となっている。
「カレン、あの男を見てください。水獣の素材を使った魔剣を持っていますよ」
「ほんとだ、水魔法が封じられているねアレ。まあ、大したことは無さそうだけどね」
「カレンからすれば、あれもこれも大したことないでしょうね。ちなみにあの魔剣を鍛冶屋で作ると20万カレイアはしますよ」
「ええっ、あんなもので……? じゃあ、アレは……?」
「あの弓は、アイスホークの素材から作られていますね。放たれし矢には氷魔法が付与され、おそらく10万カレイアくらいでしょう」
「ひえ~」
お金がいくらあっても足りないじゃないか。
まあ、私たちには武器なんか必要ないからどうでもいいんだけどね。サツキは剣魔法で生み出せるし――
「カレン、サツキちゃん、あそこにリンさんがいるよ」
アメルに服を引っ張られ、受付に視線を送るとリンがいた。商業都市で仕事をしていたはずなのだが、いったいどうしてだろう。
「あれ、ほんとだ。なんでリンが王都支部にいるんだろう」
「2人ともよく見てください。リンとほくろの位置が逆ですよ。髪の分け目も違いますし」
「「よく見てるね……」」
名札を確認すると、ラン=デイアスと書いてあった。リンと家名が同じってことは姉妹かなんかだろうか。
「あら、貴方たち初めて見る顔ですね」
私たちの視線に気づいたのか、ランが声を掛けてきた。
「私たち、商業都市から来たんだよね」
「なるほど、商業都市ですか……それじゃあ、私の顔を見て驚くのも仕方ないですね」
「リンにそっくりだよね」
「はい、そっくりすぎて商業都市からいらっしゃった冒険者の方々には毎回のごとく驚かれます。私はラン=デイアス。リン=デイアスは私の姉ですよ」
ドッペルゲンガーとしか思えないくらい、ほくろと髪の分け目以外は同じである。
「こんなにそっくりなら、短時間なら入れ替わってもバレなさそうだよね。私はカレン、よろしくねラン」
「私はアメルだよ」
「サツキです」
自己紹介を終え、私たちは握手をするのだった。
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