『色彩の帰還』
ラードニアとの戦いから、2日が経過して――
ワイバーン航空サービスで、私たちは商業都市レスドアに帰っていた。
「港町アクリナ、いろいろあったけど楽しかったねえ」
「そうですね。料理も美味しかったですし、そしてなによりも私たち3人の友情が深まりました」
お土産のつもりで購入したクッキーを開封し、思い出話に耽る私たち。
サクサク食感のバタークッキー。甘さも丁度良く、港町の喫茶店でテイクアウトしたココアとは相性抜群。クッキーを摘まむ手も思い出話も止まらない。
「これでもかってくらい秘密を晒しあったからね。それにしても、偶然出会った3人が全員まさかの特殊な経歴の持ち主だったとはねえ」
「1人は天界最強の熾天使。1人は竜狩りの生き残り。1人は神の召喚魔導士ですもんね。なんですかこのギルドおかしいでしょう」
「「「あはは!!」」」
サツキの言う通り、私たち――『色彩の集い』はおかしいギルドである。
天界最強の熾天使・天界の神獣と雷神を従える召喚魔導士・滅竜魔導士が所属しており、3人とも世界に影響を及ぼしかねない存在。国の上層部とかに私たちの秘密がバレたら、いろいろと問題になりそう。
「ありゃ、クッキーもう無くなっちゃった」
最期の1枚が無くなると、アメルが残念そうな表情を浮かべる。
3人ともペースが速く、30枚入りのバタークッキーが空っぽになっていた。
「商業都市までもう少し掛かりますし、シュークリームでも開けましょうか」
「ストップ、それサレンへのお土産だから」
「おっと」
私の言葉で、シュークリームの箱を開けようとしたサツキの手が止まる。
「サレンには迷惑をかけたからね。誰とは言わないけど暴走したメイドさんが1人」
「メイドさんって――」
「アメル、このマドレーヌ開けましょうか。4個入りなので、アメル2個食べていいですよ」
「わーい」
じゃんけんで決めるはずだったのに、アメルの買収に使われてしまった。
私たちが買ったマドレーヌは、バター味とチョコ味の2通り。ちなみにお土産の中で1番おいしかった。
――そして。
お土産でお腹が膨れてきた時、運転席に繋がる伝声管から到着の知らせが聞こえてくる。
「きゃっきゃうふふしているところに45歳のおじさんが失礼するぞ。嬢ちゃんたち、商業都市が見えてきたぜ」
港町アクリナを出発して、4時間くらいだろうか。カーテンを開け、窓から外を見ると西の空に日が沈みかけていた。
「おじさん、冒険者協会までお願い!!」
「あいよー」
通常であれば、商業都市に入る時は門を潜らなければならない。
しかし、冒険者協会から派遣されているワイバーン航空サービスを使っているときはそのまま冒険者協会に行くことが許可されている。その代わり、ワイバーン航空サービス専用の停留所に降りることになるが――
「アメル、怒られる準備はできてる?」
「え?」
私の言葉に、きょとんとした表情を浮かべるアメル。
「リンを騙して、レイン・ドゥクスアの討伐に行ったじゃん。すっごく怒ってたよ」
「うわ、忘れてた……」
アメルは思い出したのか、顔が真っ青になっている。
無事に帰ってこれたから今回だけはお咎めなしという処置は無いだろう。ギルド解散まではいかなくても謹慎処分くらいはありそう。
「言い訳せず、きちんと謝罪するんですよ。場合によっては事態が悪化しますから」
「うん……」
サツキに言われ、小さく頷くアメル。
それから、ワイバーン航空サービスは停留所に降り立ち、私たちは冒険者協会の入り口に向かっていく。
覚悟してドアを開けると、建物内がなにやら騒がしい。受付嬢たちが忙しそうに走り回っており、多くの冒険者たちがカウンターの前に集まっている。
「どうしたんだろう」
「さあ、そこにいるアフロ男に話を聞いてみましょうか。失礼、そこのイケてるアフロの方。なにやら騒がしいようですが、何かあったのですか?」
「んふぅ……!? あーちくしょう、後ろからいきなり話しかけるなよもう。びっくりしたじゃねえか」
「申し訳ございません。それで、この状況は一体どうしたのですか」
「なんだ、おまえ知らねえのか。やべえぞやべえぞ、やべえと言ったらやべえぞ。超絶やべえことが起こってんぞ」
「やべえことは理解できたので、何が起こったのか教えてください」
強力な魔物でも出現したか。それとも他国が戦争を仕掛けてきたか。みんなの焦りようからして只事ではないだろう。
アフロは深呼吸すると、私たちに話してくる。
「港町アクリナに、熾天使カレイアが現れたんだ」
「「「ぶはっ!!」」」
アフロの発言に、私たちは盛大に吹き出すのだった。
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