『再試験』
しばらくすると、魔力測定器の準備を終わらせたランチェルが戻ってきた。
私とアメルは地下室に案内されて、そこにはさっきと比較にならないほど巨大な魔力測定器が設置されていた。
「見てよカレン!! すっごく大きいよ!! 今からあれでカレンの適性試験をやるんだよね!!」
「そうらしいね」
私は頷くと、地下室を見渡してみる。
地下室には、アメルとランチェル以外に緑髪の男性が立っていた。
前髪が竜巻の如く渦を巻いており、個性的な髪型である。
「なるほど、その娘が……」
緑髪の男性が、興味深そうにしながら近づいてきた。
「えっと……?」
「説明が遅くなりましたね。彼は冒険者協会の副会長――ホークス=カザルトスさんです」
ランチェルからの説明が終わると、副会長――ホークスが話しかけてきた。
「カレンちゃんだね? 俺は冒険者協会の副会長――ホークスだよ。ランチェルから話は聞いているよ。魔力測定器を粉々に壊したんだって?」
「そうですね……」
私は愛想笑いを浮かべながら頷く。
「ランチェル、それにしても驚きだよな。魔力測定器を壊すほどの魔力を持った娘が現れるなんて……有望な冒険者が生まれるのは嬉しいけど、莫大な額の修理費が飛んでいくのはどうにかならないのか……」
「ホークスさん、無茶言わないでくださいよ。無数に現れる冒険者候補に毎回、高性能魔力測定器を使っていたら予算がとんでもないことになりますよ。起動させるのに魔道士20人分の魔力が必要なんですから……」
「うぐぐ……でも、会長に怒られるのは俺なんだぜ? 顔は綺麗だけど中身はゲロ以下だからなあの人……マジでどうにかならんのか」
「知りませんよ……てか、そんなこと私以外の前で言ったら報告されてボコられますよ? 顔面崩壊!! 全身骨折!!」
「知らんわい!! 会長のバーカ!! アーホ!! クーソ!! 一生独身!!」
ヤケクソ気味に文句を言い始めるランチェルとホークス。
私に微塵の罪も無いとはいえ、なんだか申し訳ない気持ちになってきた。
「ねえねえ、カレンの試験やらないの?」
地下室が悲しみに包まれていた時、アメルが口を開いた。
「こ、こいつ、ただものじゃねえ……空気を読もうとする気がまったく感じねえ……ま、まあ、そうだよな。俺たちの都合で時間を奪うのは良くないよな。それじゃあ、気を取り直してカレンちゃんの適性試験を始めようか。カレンちゃん、さっきと同じように魔力測定器に触れて魔力を流し込んでくれるか?」
「分かりました」
ホークスに指示され、少しずつ魔力を流し込んでいくと魔力測定器が激しく輝き始めた。
「どういうことですか、この人間離れした魔力は……見てください、ホークスさん。数値が止まる気配がありません。うわ、まだまだ上がっていきます」
「……俺の魔力量、とっくに超えてね? 俺は夢でも見ているのか?」
「うわ、高性能魔力測定器が震え出しました」
驚愕の表情を浮かべるランチェルとホークス。
これでも2割くらいなんだけど、そこまで驚かれると私が困ってしまうね。
250年くらい前だったか、天界に喧嘩を売りに来た魔道士は私の5割くらい魔力あったよ。
「凄いよカレン!! みんな驚いてるよ!!」
「これでも2割くらいしか出してないよ。これからもっと流し込むからね」
「うん!!」
「「これで2割だって!?」」
嬉しそうに返事するアメルと、発狂するランチェルとホークス。
それから3割くらいの魔力を流し込んだところで、ホークスに止められた。
「カレンちゃん、これでも全力じゃない?」
「はい」
私の返事に、ホークスがごくりと唾を飲み込む。
その直後、結果を出すために魔力測定器を覗いていたランチェルが大声で叫んだ。
「ホークスさん!! 高性能魔力測定器にエラー表示が出てます!!」
「まったく何なんだもう!! いいかげんにしてくれ!!」
逆ギレされても困るんですが。
私の魔力量を測定しきれなかったポンコツ測定器が悪い。
「それで、カレンは合格なの? 不合格なの?」
私が呆れていると、アメルがホークスに詰め寄って結果を尋ねた。
しばらく待たされた挙げ句、私に逆ギレをしている姿を見て腹が立ったのだろう。
「魔力測定器を破壊するほどだから、もちろん合格にはなるが……」
「カレン聞いた? 合格だってさ!! おめでとう!! これで冒険者になれるよ!!」
「うん!!」
夢にまで見た冒険者。
私は今、その入り口に立つことができた。
天界でつまらない人生を過ごした分、人間界では有意義な冒険者生活を過ごしてみせる。
「改めて、君たちは適性試験に合格した。これを持って、受付に向かってくれ」
私が意気込んでいると、ホークスから合格印の押された書類を渡された。
偽造を防ぐためか合格印は複雑な魔法式で構築されている。
過去に偽造事件でもあったのだろうか。
「「ありがとうございます」」
ホークスから書類を受け取ると、私とアメルは受付に向かうのだった。
規格外の力を持つカレン。
人間たちからすれば恐怖でしかありませんね。
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