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『雷神ノ槍』

 闇のブレスに吹き飛ばされたわたしの視界に入ってきたのは、桜髪の少女と緑髪のメイドだった。


「申し訳ありません。アメルには食堂で待つようにと言ったのですが……常軌を逸したカレンを想う心に負けてしまいまして……」

「カレン!!」


 ずしゃあっと音を立て、地面に落ちるわたしに駆け寄ってくる桜色の少女。

 桜色の少女に続いて、メイドも駆け寄ってくる。


「おまえか、わたしの邪魔をしたのは……」

「邪魔って……? いや、そんなことよりも2人共どうして戦っているの……? それに、カレンその姿は……?」


 驚愕した表情を浮かべながら、わたしを起き上がらせようとする桜髪の少女。


「アメル、少し待ってください。今のカレンはどこか……」

「邪魔するだけでなく、わたしの身体にまで触れるか。どうやら塵も残さず焼き殺されたいらしいね」

「え?」


 指を差し、桜色の少女に白銀の焔槍を撃ち出そうとする。

 しかし、どういうわけか。


「身体が動かない……!?」


 どういうことだろう。

 桜色の少女に殺意を向けた瞬間、わたしの身体が動かなくなってしまう。


「カレン、どうしたの? 私だよ? アメルだよ? 敵じゃないよ?」

「よし、その調子じゃ!! アメルそのままじゃ!!」


 桜色の少女に意識を取られていた時、ティアレが距離を詰めてくる。

 何が起こっているのか分からないが、とにかくこのままではティアレに殺されてしまう。


「離せ!!」

「離さないよ!!」


 桜色の少女が、わたしに抱き着いてくる。

 両腕と両足を絡められているが、力は強くない。振りほどくのは容易いだろう。しかし、身体に力が入らない。


「くそ、なんなんだおまえ!! 離せ、おまえも殺されるぞ!!」

「そんなことさせないよ」


 足は絡めたまま――

 桜色の少女が手を合わせた瞬間、黄金色の魔法陣が地面に現れる。


「なに……!? 貴様、魔力はすっからかんでは……!?」

「5つの封印、解除開始。第1の結界解除、成功。第2の封印解除、成功。第3の封印解除、失敗。超高度召喚術式――起動、ネプシーちゃんおいで!!」


 動きを止めるティアレ。

 いや、そんなこと今はどうでもいい。

 どうして、彼女が現れた。ふんわりとした青緑色のロングウェーブ。水色の垂れ目。身体を纏うは銀色の鎧。宝石の埋め込まれた三叉の槍を握る女神。


 ――雷神ネプシー。


「ネプシーちゃん登場~♪ 再召喚早いね~♪」

「ネプシー!?」


 わたしに気づいたのか、ネプシーがポカンと口を開ける。


「えっ♪ ええっ♪ えええっ♪ なんでカレイアちゃんがいるの~♪ しかも、なんでボロボロなの~♪」

「おまえの召喚主のせいだよ!! ネプシーこそ教えろ!! この人間はなんだ!! 声を聞いたり触れられたりするだけで力が抜ける!!」

「待って、2人とも知り合いなの?」


 桜色の少女の質問に――

 ネプシーは三叉の槍を地面に突き刺すと、満面の笑みを浮かべながら答えるのだった。


「カレイアちゃんは、ネプシーちゃんの可愛い妹だよ♪」

「違う!!」

「まったく違わないよ~♪ カレイアちゃん約束したよね~♪ ネプシーちゃんが勝ったら妹になってくれるって~♪」

「言ってない!!」

「言ったもんね~♪」


 わたしとネプシーが言い争っていると、ティアレから魔力反応を感じた。

 灰となった右腕もいつの間にか復活しており、桜色の少女に拘束された状態でしかもここまで距離を詰められていては――


「クハハ!! いろいろありすぎてなんだかよく分からんが、よくやったアメル!! とどめじゃくらえ――『冥消呪爪めいしょうじゅそう』」

「妹には手を出させないよ――『雷神ノ槍らいじんのやり』」


 闇を纏ったティアレの爪によりわたしの心臓が貫かれようとした瞬間、雷を纏いしネプシーの三叉の槍が撃ち出される。

 その威力は凄まじく、ティアレも命の危険を感じたのだろう。爪に纏わせていた闇を消し、ぱちんと手を合わせる。


「妾の全魔力を持っていけ――『冥闇竜の抱擁めいあんりゅうのほうよう』じゃああああっ!!」


 ティアレの叫び声と共に、わたしたちを大爆発が包み込むのだった。


最後まで読んでいただきまして、ありがとうございます!!

みなさんに楽しんでいただけることが、執筆活動の原動力になっております!!

これからもよろしくお願いします!!

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