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『選択肢』

更新が遅くなり、申し訳ございません。

楽しみにしてくださっている読者の方々に深くお詫び申し上げます。

少しずつですが、物語の流れが動き出しています。これからの展開に乞うご期待!!

「私の処刑が、天界の外にバレた!?」


 大事な話があるからと私とティアレは席を外し、食堂から少し離れた場所にある人気のない公園で話していた。遊具は無く、公園内に広がるのは整備された芝生とベンチのみ。密談には最適である。


「うむ、3日前だったか。何者かによって情報が洩らされた。ハレスによって、天界の序列3位――『天銀』カレイアが処刑されたと」


 私の死亡と聞いて、サレヴィアの発言を思い出す。

 創造神の最高傑作である私は、魔界と竜界に対しての抑止力になっていた。創造神の最高傑作は3体。熾天使カレイア。魔王アズリオン。竜王ルヴィエラ。天魔竜それぞれに1体ずつ存在していることにより、均衡が保たれていた。


 ――しかし。


 私が消えたことにより、均衡が崩れてしまう。


「事の重大さが分かっておるようだな」

「うん、サレヴィアにも言われたからね。私がいなくなったら天界はもぬけの殻。3界戦争の続きが始まってしまうってね」

「サレヴィアだと……? 人間界には『氷魔』も来ておるのか……?」

「冒険者協会で働いているよ」

「は?」


 目を丸くするティアレ。

 念のために、タルタロスの鍵のことは伏せておく。


「それにしても、ティアレはよく私の素顔が分かったね。戦場では顔を隠しているはずなんだけど」

「天界には凄腕のスパイを忍ばせておるからな。おっと、先に言っておくが、情報をリークしたのはそいつではないからな」

「はあ~!?」

「おぬしなら気づくと思っていたのだが……ほら、存在したであろう、食事を必要としない天使のくせに、どういうわけか料理のできるやつが」

「食堂の天使ちゃん!!」

「ようやく気付いたか」


 どうして、気づかなかったのか。

 食事を必要としないのなら、料理なんて上手くなるはずがない。しかし、食堂の天使ちゃんからは竜の気配がしなかった。擬態もしくは洗脳されていたのなら、嫌でも気づくはずなんだけど――


「どうして、食堂の天使ちゃんが竜界と繋がっているの?」

「食堂の天使ではなく、フーグアじゃ。フーグアとは天竜戦争で出会い、契約を結んでおる。無論、契約内容は秘密じゃ。そして、妾がおぬしの素顔を知っておった理由だが、フーグアから容姿を聞いておったのじゃ。銀髪の美少女と聞いて、直接この目で姿を見るまでは信じられんかったが……なんと、事実であったか。竜界では筋肉ムキムキのおばさん説があったからのう」


 魔界と竜界、裏で繋がっている説あるんじゃないか。どいつもこいつも私のことを筋肉ムキムキのおばさんとか、いいかげん腹が立ってくる。


「私のことをなんだと思っているわけ?」

「殺戮天使」


 真顔で言うティアレ。

 認めたくはないが、精霊、悪魔、ドラゴンにまで言われてしまっては否定のしようがない。

 諦めた私は、話題を変える。


「おしゃべりはこれくらいにして、そろそろ本題に移ろうか。ティアレ、ルヴィエラはどうして私に会いたがっているの?」


 私の質問に――

 ティアレは笑みを浮かべると、私に握手を求めてくる。


「カレイア、竜界と契約を結ばんか」

「え?」

「3界の均衡が崩れた今、ルヴィエラ様は魔界を滅ぼす計画を立てておる。後は言わなくても分かるであろう?」

「魔界の殲滅に、手を貸せってこと?」

「理解が早くて助かる。おぬしには、ルヴィエラ様と手を組んでアズリオンを殺してほしい。おぬしの『銀ノ焔ぎんのほむら』なら、アズリオンの魔法を完封できるであろう」


 ティアレの言葉に――

 私は溜め息を吐くと、公園の出口に向かって歩き出す。


「帰る」

「待て、礼は弾む」

「いらないよ。せっかくハレスから解放されて楽しく生活をしているのに、なんでわざわざ血生臭いことに首を突っ込まなくちゃいけないのかな。私の魔法は、誰かを殺すためではなく守るために使うんだ。戦争とか暗殺とか血生臭いことは私のいないところでやってよ。ごめんけど、他をあたってよ」


 服のポケットに手を入れ、公園から出ようとした時である。


「おぬしでは仲間を守れんよ」

「は?」


 ティアレのひとことに、私は足を止める。


「いや、特に意味などは無いのだが……おぬしの友、アメルだったか。魔力が枯渇し無防備な状態。シルバーウルフすらも召喚できぬ今、偶然たまたまそこに居合わせた妾の部下に殺されてしまうのではないかと――」

「おまえ」

「怖い顔じゃのう。恐怖のあまり部下に合図を出してしまいそうじゃ」

「くっ……」


 にやりと笑うティアレ。

 平和に慣れてしまい、アメルを人質に取られることが予想できなかった。


「ほれほれ、どうするカレイア。竜界と組むか、友を殺されるか。選択肢は2つ、早く選べ」


 私の都合で、アメルを殺されるわけにはいかない。

 ここは従い、一旦アメルの安全を確保しておくのが賢明か。しかし、アズリオンを殺したからといって、アメルを返してもらえるか。

 いや、ドラゴンはそんなに甘い連中じゃない。アメルを人質に取ったまま、逆らえない私を使い古すつもりだろう。


 ――そうだとしても、アメルを見捨てるわけにはいかない。


「わか――」

「馬鹿ですねまったく。カレンの選択は、もちろん『あなたを殺す』一択ですよ」


 止むを得ず私が了承をしようとした瞬間、公園の外から飛んできた黒色の剣がティアレの足元に突き刺さる。この声、この口調、この魔力圧、彼女で間違いない。


「サツキ!?」


 公園に姿を現したのは、血で汚れしメイド服を身に纏ったサツキだった。

最後まで読んでいただきまして、ありがとうございます!!

みなさんに楽しんでいただけることが、執筆活動の原動力になっております!!

これからもよろしくお願いします!!

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