『再戦』
たいっへんお待たせいたしました~~~!!!
4月になり、環境が変わって忙しかったので、更新が遅くなりました!!!!
翌日――
日没になると、私とティアレちゃんは漁船に乗ってレイン・ドゥクスアの目撃情報が集中しているポイントに向かっていた。月が明るく、風も弱く、波も穏やかで、討伐に適した環境が私を応援しているようである。
「会長さん、レイン・ドゥクスアに襲われる可能性があるのに、私たちを船に乗せてくれてありがとう」
気合を入れ、赤色のスカーフリボンで髪を束ねた私は、漁船を操縦している黒髪の男性に礼を言う。レイン・ドゥクスアを恐れた漁師たちに出港を断られる中、私たちを漁船に乗せてくれたのは黒髪の男性――漁師組合の会長さんだった。
「レイン・ドゥクスアに沈められた漁船は指10本だけじゃあ数えきれねえ。漁師たちも怯えきって仕事にならねえし、どうにかしないといけねえなって考えていた時、嬢ちゃんたちが現れた。魚釣りだけが取り柄の俺なんかでよければ、喜んで協力させてもらうぜ」
会長さんが白い歯を見せながら微笑んだ時、ティアレちゃんの声が船内に響く。
「アメル、戦闘態勢に入れ。会長、面舵一杯じゃ」
「えっ?」
突然のことで、私は間抜けな声を上げてしまう。
「ポイントはまだ先だが……」
「船を沈められたくなかったら、2秒以内に舵を切れ」
ティアレちゃんの真剣な表情を見て――
会長さんが舵を切った瞬間、海中から飛び出してきたアクアブレスが漁船の外装を削り取る。
「うおおおおっ!?」
運転席から響き渡る、会長さんの悲鳴。
海中からの不意打ち。あそこで舵を切っていなかったら、漁船を撃ち抜かれていた。
「アメル!! 敵は海中じゃ!! とっておきの秘策とやらを見せてみよ!!」
ティアレちゃんが与えてくれた、再戦の機会。魔力全開の状態ならば――お母さんから受け継いだ『彼女の一部』を呼び出すことができる。
存在の一部だけにもかかわらず、凄まじい強さを持っているので魔力消費量は激しいが、死ぬ気で頑張れば15秒程度なら繋ぎ止めておけるだろう。
「5つの封印、解除開始。第1の結界解除、成功。第2の封印解除、失敗。超高度召喚術式――起動、ネプシーちゃんおいで!!」
私が契約魔法を唱えると、青緑色の髪をした女の子が現れる。
ふんわりとしたロングウェーブ。水色の垂れ目。身体を纏うは銀色の鎧。宝石の埋め込まれた三叉の槍を握っている。
「懐かしの人間界~♪ ネプシーちゃんだよ~♪」
ネプシーちゃんを召喚した瞬間、凄いスピードで魔力が吸い取られていく。
「ネプシ―ちゃん!! レイン・ドゥクスアを倒して!!」
「あれれ~♪ シオンちゃんかと思ったら、アメルちゃんだった~♪ おひさおひさ~♪」
「うん、おひさおひさ……うぎゅるる、魔力消費がすんごい……ネ、ネプシーちゃん、挨拶の前に……」
「あはは~♪ アメルちゃんの魔力が尽きる前に、あそこの海蛇ちゃんを消しちゃえばいいんだよね~♪」
「おねがい……」
私が頷くと――
ネプシーちゃんは天高く舞い上がり、三叉の槍を構える。
「ドラゴンちゃん♪ 今からこれぶっぱなすから船を守ってね~♪」
「は?」
「裁きの時だああああああっ♪」
ティアレちゃんの返事を待つことなく、ネプシーちゃんがレイン・ドゥクスアに三叉の槍を撃ち出した。
「こ、このアホロリ!! 本当に撃ちおった!! 間に合うか!! 『冥闇竜の抱擁』じゃああああああっ!!」
ティアレちゃんが手を合わせると、漆黒の球体が漁船を包み込んだ。漆黒の球体のおかげで衝撃は軽減されているが、轟音のせいで耳がキーンとする。
「アホロリが!! こんな場所で、世界滅亡級の神装兵器を使うでないわ!!」
「ごめんごめん~♪ 久しぶりだったからさ~♪」
漆黒の球体が消えて――
外の景色が見られるようになると、私は衝撃的な光景を目の当たりにする。
「あれ……?」
海に大穴が開いていた。
穴は深く、海水が滝のように流れ落ちている。
レイン・ドゥクスアどころじゃない。ネプシーちゃんは海すらも消滅させていた。
「おい、アホロリ」
「あはは~♪ ネプシーちゃん知らない~♪ もうすぐアメルちゃんの魔力が無くなりそうだし、ネプシーちゃん帰るね~♪」
「まて、逃がさんぞ。貴様の存在を闇で縛り付けてやる」
「別にいいけど、ネプシーちゃんに構っている場合かな~♪ さっきの揺れで、人間のオスが海に投げ出されちゃってるよ~♪ 助けてあげないと死んじゃうよ~♪」
「なに……?」
ネプシーちゃんの言ったとおり――
船の外を確認すると、会長さんが海に投げ出されていた。気絶しているのか、仰向けの姿で海面にぷかぷかと浮いている。
「まさか、アメルちゃんを飛び込ませたりはしないよね~♪」
「貴様、やりおったな……?」
「人聞きの悪いこと言わないでよ~♪ さよならバイバイ♪ ネプシーちゃんは帰るね~♪」
海に飛び込むティアレちゃんを見送ると、ネプシーちゃんは光の粒子となって消えてしまうのだった。
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