表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

28/123

『格の違い』

 しばらく歩いて――

 岩山にできた天然の洞穴を抜けると、そこにはオーガの集落が広がっていた。

 木材と葉で作られた小屋。動物の骨で作られたオブジェ。木の先端を尖らせ、防衛に優れた柵も作られている。


「人目を避け、これほどまでの集落を作っていたとは……大工ほどの完成度までとはいかないが、居住可能な小屋も作られ、我々では到底思いつかないようなオブジェを作り、先端を削った木材で柵を作るという、防衛に関する知識も持っている。オーガとは、これほどまで知能の高い魔物だったのか……?」


 岩陰に隠れながら、コルテリーゼが双眼鏡で集落内を観察している。


「オーガは人間が誕生する前から存在していますからね。文献によると、人間の方がオーガから技術を学んだという説もありますよ」

「初めて知りました」


 フローラの話を聞いて、興味深そうにするコルテリーゼ。

 私は天界から見ていたから知っている。人間はオーガから技術を学び、試行錯誤を繰り返しながら文明を発展させていった。

 最初は言葉すらも話せなかったが、あいつが気まぐれで歌を教えたことがきっかけで、人間は言葉を手に入れた。

 人間は知能が高く、凄まじい速度で成長していく。それを知ったからこそ、私は人間界に興味を持ったのである。


「カレン?」

「え?」


 フローラに呼ばれて、私は気付く。


「日が暮れないうちに乗り込みますよ。2人1組で行きます。武器を持っていないあたり、貴方たちは魔導士ですね。魔法の種類を教えてください」

「私は炎魔法で、サレンは氷魔法だよ」

「なるほど……」


 私とサレヴィアの魔法を聞いて、考え込むフローラ。

 コルテリーゼは剣で戦うスタイル。フローラは短剣を持っているが、装飾の多さからして接近戦で使うとは思えない。


「作戦なんか立てなくても、アタシが瞬殺してくるわよ。カレンは2人を見張っていなさい。アンタの魔法だと素材が取れなくなるから」


 私がフローラの短剣に違和感を抱いていたとき、サレヴィアが1人で飛び出した。

 

「サレン!! 1人で行ってはいけません!!」

「勝手な真似は!!」


 サレヴィアの独断専行に、フローラとコルテリーゼが声を上げる。

 4人で戦うのも楽しそうだが、討伐が長引いてしまうと商業都市に帰るのが遅くなってアメルたちに心配をかけてしまう。それに加え、馬車を襲ってきたゴブリンも私が横取りしているので、オーガの討伐はサレヴィアに任せてあげよう。


「サレンなら大丈夫だよ。フローラだって、サレンが強いことは魔力感知で分かったよね」

「まさか、貴方たちも……?」


 フローラが目を見開いた瞬間、オーガの村に氷山が現れた。建物だけでなく、村に住むオーガとゴブリンすらも貫いている。氷山の頂上からオーガたちの血液が流れ落ち、地面が赤く染まっていた。


「ほら、サレンに任せてよかった」

「「……」」


 私の言葉は聞こえているのだろうか。

 フローラとコルテリーゼは、顔を青く染めながら立ち尽くしている。


「カレン、素材はどこにするの?」


 殲滅を終えたサレヴィアが、ずるずるとオーガの死体を引きずりながら戻ってきた。


「腕と足にしよう」

「腐らないよう、冷凍保存にしておくわね。3日は溶けないと思うから安心していいわ。これはアンタたちの分よ、重いから気を付けなさい」

「「……え?」」


 サレヴィアから冷凍保存された手と足を渡され、フローラとコルテリーゼはきょとんとした表情を浮かべている。


 ――サレヴィアが手を離した瞬間、手と足の重さが身体に掛かった。



「「あっ」」


 持ち上げる準備をしていなかったのか、2人は手と足を落としてしまう。


「あら、ごめんなさい。少し重かった?」

「ひっ」


 サレヴィアに話しかけられた瞬間、体勢を崩してしまうコルテリーゼ。


「どうしたのよ、足でも痺れた?」

「い、いや、なんでもない。サ、サレンは凄いな。まさか氷山を作り出すなんて……なんというか、驚きが止まらない」

「やめてよ、アタシよりも強いやつなんて、故郷に帰ればたくさんいるわよ。アタシなんか、そこにいるカレンの足元にすら及ばないんだから」

「えっ?」


 サレヴィアのせいで、コルテリーゼとフローラの視線が私に集中する。

 余計なことを言ってくれた。


「そんなことないって、あんまり変わらないって」

「どうかしら」


 否定する私を見て、サレヴィアが悪戯っぽく笑っている。商業都市に帰ったら、床に正座させて1時間くらい説教してやろう。


最後まで読んでいただきまして、ありがとうございます!!

みなさんに楽しんでいただけることが、執筆活動の原動力になっております!!

これからもよろしくお願いします!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ