『出会い』
「どうも~」
私と視線が合った金髪の少女が、笑顔で手を振ってきた。
幼さを感じるような顔立ち。雪のように真っ白な肌。ぱっちりと開かれた碧色の瞳。ふわふわとしたショートボブ。両耳には紋章の刻まれたイヤリングを着けており、腰には装飾の施された短剣を差している。
「どうもどうも、君たちも冒険者?」
「そうですよ、君たちもってことは、貴方たちも?」
「うん、冒険者協会から依頼を受けて、オーガの討伐に来ているんだよね」
「奇遇ですね。私達もなんですよ」
「「あれっ?」」
私と金髪の少女の声が重なってしまう。
「それはおかしいわね。依頼内容が重なることなんて無いはずだけど。アンタ、依頼書の写しはあるかしら?」
「フローラ様に対し、アンタ呼ばわりとは――」
「コルテリーゼ、待ちなさい」
依頼書の写しの提示を求めたサレヴィアに剣を抜こうとした紅髪の少女の肩を掴んで、金髪の少女が落ち着かせる。
紅髪のセミロング。紅色の吊り目。腰には剣を差しており、どこからみても民間人ではないことが分かる。
「危なかったわね」
「そうですね。私の護衛が失礼しました」
魔力を高めた状態で笑みを浮かべるサレヴィアに、金髪の少女が頭を下げる。あそこで金髪の少女が止めなかったら、紅髪の少女はサレヴィアに殺されていた。
「フローラ様、どうして頭を下げるのですか……!?」
「もちろん、貴方を救うためですよ」
「えっ?」
金髪の少女の発言を聞いて、私とサレヴィアは確信した。金髪の少女は、自分の意志で魔力感知を使うことができる。
「とりあえず、フローラさんと呼んでいいのかな。そっちはコルテリーゼさんでいいよね?」
「フローラとコルテリーゼで構いませんよ。それで、貴方たちは……?」
「自己紹介が遅れたね。私はカレンだよ」
「サレンよ。改めて、依頼書の写しを見せてもらえないかしら。こう見えて、アタシは冒険者協会の職員をやっているのよ」
◇
「なるほど、そういうことだったのね」
私とフローラの依頼書を見比べて、サレヴィアが苦笑を浮かべた。
「原因が分かったのですね?」
「これは、本部の仕分けミスよ。レスドア支部だけに送られるはずの依頼書を、何かの手違いで王都支部にも送ってしまったようね」
「仕分けミス……?」
サレヴィアの言葉を聞いて、フローラが目を丸くする。
「依頼書の内容は同じだけど、印だけ違うわよね。これは王都行き。これはレスドア行き。まったく、本部の職員は何をやっているのかしら」
「「「ええっ……」」」
サレヴィアを除き、全員が絶句してしまう。
フローラは依頼書を受け取ると、首を傾げながらサレヴィアに問いかける。
「そうなると、依頼はどうなるのですか? 無効という形になるのでしょうか?」
「どうかしら。アタシもまだ入ったばかりで、そこまでは分からないわ。上司なら分かるかもしれないけど」
「そういうことなら、念のために討伐だけはしておきましょうか。それぞれ素材を持ち帰り、冒険者協会に報告するという形で」
「「「異議なし」」」
フローラの提案に、全員が賛成した。
それから4人でオーガの集落に向かおうとした時、フローラが笑みを浮かべながらサレヴィアに取引を持ち掛ける。
「サレン、私の記憶が正しければ、冒険者協会の職員は依頼を受けてはいけないはず。貴方の職業は聞かなかったことにしておきますので、コルテリーゼの件も無かったことにしてくださいね」
「アンタ、性悪って言われない?」
「いえいえ」
フローラ恐ろしい子。
厄介そうだし、敵に回すのはやめておこう。
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