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『ギルドハウス』

 数日後――

 冒険者協会に行くと、リンから私達のギルド――色彩の集いの活動拠点が見つかったという報告を受けたので、渡された地図を見ながら指定された場所に向かっていた。


「ふんふんふ~ん♪ やっとだね♪ 今日でやっと宿暮らしから抜け出せるよ♪」


 鼻歌を奏でながら、上機嫌そうに林道を歩くアメル。


「宿暮らしから脱出できるのは嬉しいことですが、建物の様子が気になりますね。当たり外れがあるらしいので……」


 心配そうにサツキが呟く。

 サツキの言うとおり、地図が示すは商業都市から離れた場所にある林の中。雰囲気を壊したくないので黙っていたが、少々怪しい雰囲気がある。

 酒場で頻繁に会うおじさん曰く、多くの拠点は商業都市の近辺に建てられることが多いらしく、もしかしたら私達は外れを引いた可能性がある。


 ――そんな不安を抱いていると、遠方にギルドハウスらしき建物が見えた。


「あった!! あれじゃないかな!!」


 ギルドハウスを見つけた瞬間、アメルが一目散に走り出した。あまり使われていないのか林道は整備されておらず、足下を確認しないで走ったりしたら――


「アメル待って!」

「あはは、カレンたち遅いよおおおおおおおおおおお~~~~~!?」

「「アメル!!」」


 転がっていた小石に足を取られ、アメルが転げそうになる。

 そのときだった――


「おりゃあぁぁぁああああ!!!! 怪我するもんかあぁぁぁあああぁぁああ!!!」

「「ナイス!!」」


 アメルが右手を地面に附き、受け身を取った。洗練された動きに驚いた私とサツキは、思わず歓声を上げてしまう。


「ふっふっふ!! 夢にまで見たギルドハウスを血で汚すわけにはいかないからね!! 数々の修羅場を潜り抜けてきた私を舐めてもら――」


 ――そこで気づく。


 アメルの足下に、どこかで見たことあるような赤い花が咲いていた。

 過去の記憶を遡っていると、花が超スピードで成長していく。そして、小さくて可愛かった花が気味の悪い巨大な顎に変化した。


「アメ……」

「キシャアアアアッ!!」


 私が危険を教えるよりも早く、マンイートフラワーがアメルに襲い掛かった。


「ひぎゃああぁぁあああっ!!!!」


 いきなり襲われてパニック状態に陥ってしまったのか、アメルは脅威から身を守ってくれるムンちゃんの存在を完全に忘れている。このままではアメルが美味しく食べられてしまうので、私は『銀ノ焔ぎんのほむら』を起動させた。

 しかし、広範囲を焼き尽くす『銀ノ焔ぎんのほむら』ではアメルに危険が及んでしまう。単体の相手に適した『アレ』を使えばいいのだが、能力の性質上、天界に私の生存を知られてしまう。


 ――じゃあ、見捨てるか?


 否である。

 そんな選択は、認められるわけがない。

 あれを使うには、天輪と白翼を顕現させた状態で詠唱を行う必要がある。サツキには正体を知られてしまうが、アメルの命には代えられない。


「どうやら、カレンの炎魔法ではアメルまで焼き殺しかねないようですね。ここは私に任せてください」


 詠唱を始めようとした瞬間、サツキが私の前に出た。


「ごめん、サツキ――」

「謝罪の必要はありませんよ。どんな魔法にも弱点はありますから」


 サツキは優しく微笑むと、魔力で数え切れないほどの鉄剣を生成して、マンイートフラワーに撃ち出した。サツキの鉄剣に全身を貫かれたマンイートフラワーは、アメルを襲う前に動かなくなった。


「ひええ……」


 崩れ落ちるように、アメルが尻餅を附く。


「怪我はありませんか?」

「うん、サツキちゃんのおかげで助かったよ。カレンもありがとね。助けようとしてくれて」


 サツキがいなかったら、アメルは殺されていたかもしれない。

 熾天使として戦っていたときはひとりで戦うことが多く、仲間を助けるなんて微塵も考えたことなかったけど、人間界で暮らすためには相手を殺すための魔法じゃなくて、仲間を助ける魔法を覚えなければならない。


 ――熾天使カレイアから、冒険者カレンに変わってみせる。



「ここが私たち――色彩の集いのギルドハウスだよ!!」


 ギルドハウスに着くと、アメルが両手を天に掲げながら大声で叫んだ。

 2階建てのログハウス。屋根からは煙突が見えており、冬を越すための暖炉が設置されていることが確認できる。薪は林から採取すれば問題なし。商業都市まで距離はあるが、遠いわけでもない。


「立地場所から外れを疑いましたが、快適そうじゃないですか」


 サツキは笑みを浮かべると、ギルドハウスのドアノブに手を掛ける。

 そして、ゆっくりとドアを開けると――


「「「……」」」


 そこにはゴーストハウスが広がっていた。

 たくさんのゴーストが浮遊しており、天井には蜘蛛の巣が張ってある。少し動くだけで埃が舞い、触角の生えた虫が動いている。


「冒険者協会に行って、受付の方を捕まえてきます」


 サツキは低い声音で呟くと、真顔でギルドハウスを飛び出した。

人間界で暮らすためには相手を殺すための魔法じゃなくて、仲間を助ける魔法を覚えなければならない。

熾天使カレイアから、冒険者カレンに変わってみせる。

かっこいい!! すき!!


最後まで読んでいただきまして、ありがとうございます!!

みなさんに楽しんでいただけることが、執筆活動の原動力になっております!!

これからもよろしくお願いします!!

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