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『3人目』

「3人目どうしようか……」


 酒場で朝食を取っていると、アメルが寂しそうな声で呟いた。

 私達は人材不足で悩んでいる。昇級試験に合格したことで、個人ギルドを設立する資格を得られたのはいいが、人数が足りない。

 個人ギルドの設立には3人の初期メンバーが必要で、今の時点では私とアメルの2人しか集まっていない。

 人材不足を解決するために掲示板で求人を掲載したが、まったく集まる気配が無い。よく酒場で会う女性冒険者を誘っても、顔を青く染めながら全力で拒否されるし、掲示板で求人を眺めていた男性を勧誘しても、目を離した隙に消息不明になってしまう。

 

 ――これ、裏から手を回されていたりしない?


 冒険者になったばかりで人脈が無いし、信用の問題で断られるのは理解できるが、勧誘後に消息不明になってしまうのは理解できない。

 これは、少しばかり目立ちすぎてしまったか。出る杭は打たれるという言葉を、商業都市の図書館で学んだ。

 短期間で中級冒険者に昇級したことで、私達を良く思わない奴等から邪魔されているのかもしれない。問題の解決は難しそうだし、朝食を終えたら、リンに相談してみるか。


「……あれ?」


 私が相談を決意したとき、冒険者協会に顔見知りが入ってきた。

 黒色のスカーフリボンで束ねられた緑髪のサイドテール。清潔感が溢れる白いエプロンドレスとホワイトブリム。


「サツキちゃんだ!!」


 先を越されてしまった。

 アメルの声に気づいたのか、サツキが近づいてくる。


「カレンとアメル。2人とも久しぶりですね」

「「久しぶり!!」」


 サツキと出会ったことで、アメルに笑顔が戻った。


「カレン、聞きましたよ。昇級試験を合格したらしいですね」

「あれ、なんで――」

「商業都市を歩いていたら、通行人が話していたんですよ。銀髪の少女と、桜髪の少女が、昇級試験を突破したと……カレン、どうされました?」


 考え込む私を見て、サツキが首を傾げてくる。


「いや、なんていうか――」

「おっと、会話に夢中で忘れていました。私はこれから受付に行くのでした」


 会話の途中で、サツキが立ち上がった。


「依頼を受けるの?」

「依頼の完了報告です。カレンたちには先を越されましたが、私も昇級試験を受けておりまして、今から素材の提出をするんですよ。それでは、行ってきますね」

「うん」


 タイミングが良いとか、そういう次元じゃない。

 偶然サツキが通りかかったときに通行人が私達のことを話していて、偶然ギルドメンバーを探しているときにサツキが現れて――


「まさかサツキちゃんと会えるなんて思わなかったよ。昇級試験を受けている途中だってことは、まだサツキちゃん初級冒険者だよね?」


 お茶を飲みながら、アメルが訊いてきた。


「そうだね」

「それじゃあ、昇級試験に合格できたら、私達と同じ中級冒険者になるんだよね……そうだ、サツキちゃんをギルドに誘わない?」


 アメルも同じ事を考えていたらしい。

 サツキが冒険者協会に入ってきたとき、私も勧誘しようと思っていた。


「うん、私も賛成。サツキなら実力も申し分ないからね」

「決定だね!!」


 都合よく事が進んでいることに違和感を覚えるが、きっと疲れているせいで悪い方向に考えてしまっているのだろう。考えても仕方ないし、頭の片隅に置いておくことにした。



「構いませんよ。カレンさんたちのギルドなんて、私から加入を願いたいほどです」


 私たちの勧誘に、サツキはあっさりと承諾してくれた。

 もし断られても、怒らせない程度に粘ろうとは思っていたが、まさか2つ返事で承諾されるとは思わなかった。


「待って、本当に良いの?」

「もちろん」


 私の質問に、真面目な表情で頷くサツキ。


「しっかりと考えて承諾してくれた? 私達は冒険者になったばかりで、人脈とか実績も無いし、絵に例えるなら、何色にも染まっていない無色から始めるんだよ?」

「知っていますよ」

「ごめんけど、理由を聞かせてほしいな。私達のギルドに入っても、サツキに得なんて無いはずだよね」


 私が理由を訊くと、サツキは飲んでいた紅茶をテーブルに置く。そして、潤った桜色の唇に指を当て、悪戯っぽく片目を閉じながら――


「無色から始める方が、面白いじゃないですか。好きな絵の具で、好きなように色を付けられる。最初から色を付けられているキャンバスに絵を描いても面白くないでしょう?」


 そうか、彼女も同じだったか。

 損得なんて関係なく、自由に冒険を楽しみたかったのか。


「サツキは私と似ているね。私も同じような理由でアメルと冒険することを決めたんだ。本音を知りたかったとはいえ、いろいろと問い詰めて悪かったよ。サツキ、君には是非とも私達のギルドに入ってほしいな」

「もちろんです」


 私の誘いを、サツキは笑顔で承諾した。


サツキの加入により、初期メンバーが集まりましたね。

可愛い女の子たちのギルド、最高ですね。


最後まで読んでいただきまして、ありがとうございます!!

みなさんに楽しんでいただけることが、執筆活動の原動力になっております!!

これからもよろしくお願いします!!

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