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『耳を当てたら聞こえてくるよ』

「ギリギリセーフ!! 転移成功!!」


 アルバティンの空間転移で、アズリオンたちはアズレ砦へと行くことができた。


「助かったぞ、アルバティン。貴様のおかげでなんとかルヴィエラから逃げられた」

「ううん、褒められるようなことは私やってない。あの時、ルーワカが時間魔法でサポートしてくれなかったら、私たちは空間転移する前にルヴィエラから殺されていた。ルーワカを褒めてあげて」


 ぺたりと座り込みながら、アズリオンとアルバティンがふうっと息を吐く。


「私なんかに褒められる資格はないわ。だって――」

「カレイアか――」


 静かに眠るカレイアを見て、アズリオンがぽつりと呟く。


「人間界でアメルちゃんたちと楽しく過ごしていたのに……私たちが無理やり魔界へ連れてきたばっかりに……」

「外傷は無い。死因はおそらくルヴィエラの生命魔法。アイツのことだ。自分が死んだ瞬間に発動する魔法でも仕込んでいたのだろう。なるほど、この魔法があったから……あの時、アイツは抵抗をしなかったわけか。この魔法であれば、バカみたいな再生能力を持つカレイアを確実に殺せるからな」


 胡坐をかき、不機嫌そうに頬杖をつくアズリオン。

 カレイアの死を、人間たちにどう伝えるか。おそらく、いや、確実に怨敵を見るような眼差しで睨まれるだろう。


「おっ、砦内に魔力反応ですよ。カレンたちが帰ってきたんじゃねえですか」

「ほんと!?」

「カレンが負けるわけありませんからね。メイドは嘘を言いません」


 隣の部屋から、人間たちの声が聞こえてくる。


「と、いうことは魔王様も!?」

「わーい」


 ドタバタと走る音。ガチャリと扉が開く。


「おかえり~!!」


 最初に飛び出してきたのは、桜髪の少女。

 彼女に続いて、虹色髪の少女とメイドの女。そして、最上位悪魔たちである。


「早かったじゃねえですか。竜王も大したことねえんですね」

「カレンがいるのですから。敗北などありえま……待ってください、アルバティン様、どうしてカレンを抱きかかえていらっしゃるのですか」


 ぷらんと力なく腕を垂らしアルバティンに抱きかかえられたカレイアを見て、サツキが違和感を抱く。


「……アズリオン、説明するですよ。誤魔化しは無しですよ」

「貴様は240年前の」

「私と何年ぶりの再会とかンなこたァどーでもいいんですよ。私が聞きてえのはどうしてカレンがアルバティンに抱きかかえられているかってことですよ」

「……」


 エーテルノに睨まれ、ばつが悪そうに目を逸らすアズリオン。


「てめえじゃあ話にならねえですよ。ルーワカ、説明するですよ」

「え、ええっと、カ、カレイアちゃんは――」

「ルヴィエラに殺された」


 なかなか言葉の出ないルーワカに代わり、アルバティンが真顔で言う。


「殺されたって――あのクソチートがですか。有り得ねえですよ」

「カレイアは最大火力の一撃でルヴィエラを殺した。殺したんだ確実に。しかし、生命魔法でカレイアを道連れにした後アイツだけが蘇生した。おそらくアイツはここに向かっている。我々を殺すためにな。カレイアの死体は、喰われるという最悪の事態を防ぐために持ち帰ってきた」

「……」


  アズリオンに真実を話され、黙り込むエーテルノ。

 嘘偽りの感じられないアズリオンの瞳。それによって、エーテルノはアズリオンが真実を述べていることが分かってしまう。


「嘘だよ」

「アメル、信じられねえかもしれねえですが」

「嘘に決まってる。カレンは疲れて寝ているだけだよ。親友を置いてどこかに行っちゃうわけない」

「そうか、では胸に耳を当て心臓の音を聞くといい。アルバティン、そこにカレイアを寝かせろ」

「魔王様さすがにそれは――」

「早いうちに真実を知らせてやったほうが彼女のためだ。アメルといったか。自ら確認し受け入れろ」


 アズリオンに命令され、アルバティンはカレイアを優しく床に寝かせる。


「耳を当てたら聞こえてくるよ。どくんどくんって落ち着く音。私は知ってるんだ」


 アメルは目を閉じ、カレイアの胸に耳を当てる。

 どくんどくんと一定のリズムで。お母さんのような安心感を与えてくれる、そんな音。


 ――しかし。


 おかしい。

 何も聞こえてこない。

 アメルの目から、ぽろぽろと涙が流れる。


「アメル、カレイアの心臓は動いていたか」

「アズリオン黙るですよ。これ以上、余計なことを言ったら」

「余計なことを言ったらどうする。私を殺すか。貴様に殺せるのかこの私を」

「へえ、やってやろうじゃねえですか」

「いい加減にしなさい!!」


 エーテルノが魔力を解放した瞬間、アズレ砦内の気温が一気に下がる。

 気温低下の原因は、サレヴィアだった。


「さっむ」

「アタシの冷気で頭を冷やしなさい。こんなところで仲間割れをしてどうするの。魔王様も魔王様よ。人間相手にムキになるなんて魔王様らしくない」

「ふん……」


 サレヴィアに注意され、ぷいっとそっぽを向くアズリオン。


「ルーワカ様、これからどう動くつもりですか」

「ルヴィエラは私たちを殺すためにここへ来るはずだからディアル砦へ場所を移すわ。そこで作戦会議をしたいのだけど」

「ディアル砦。あそこなら狙われにくいわね。アルバティン様、さっそく――」

「ごめん、少しゆっくりしすぎた。ルヴィエラではない魔力反応。凄い速さで近づいてくる。到着まで後2秒」


 アルバティンがぽつりと呟いた瞬間、突如天より降り注いだ光の槍がアズレ砦を撃ち抜いた。

最後まで読んでいただきまして、ありがとうございます!!


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これからもよろしくお願いします!!

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