『絶望的状況』
力なく落下する熾天使と竜王。
ずしゃりと音を立て、2体は地面に叩きつけられる。
「カレイア!!」
「カレイアちゃん!!」
聖槍アルジェーレは消滅し――
ぴくりとも動かないルヴィエラを確認すると、アズリオンとルーワカは大急ぎでカレイアに駆け寄っていく。
「全魔力を使っての最大火力の一撃とはやるではないか!! ルヴィエラもぐっさぐさになっているぞ!!」
「ルヴィエラさえいなくなれば、残りの4体は私たちだけでもなんとかなるわ!! ありがとうカレイアちゃん!!」
満面の笑みを浮かべながら、倒れたカレイアの身体をパシパシと叩くルーワカ。
「魔力からっぽだからといって、気絶などしている暇はないぞ。ルヴィエラは殺せたが、竜界にはまだラードニアがいる。油断はできん」
「魔王様まって。カレイアちゃんの様子がおかしいわ」
違和感を覚えたルーワカは、カレイアの口元に手を当てる。
「どうした」
「カレイアちゃんが息をしていない。それに、心臓も止まっているわ」
カレイアの胸部に耳を当て、心臓の鼓動を聞こうとするルーワカ。
しかし、通常なら聞こえてくるはずの一定の間隔で刻まれるドクンドクンという音は聞こえてこなかった。
「なんだと!! ルヴィエラは成す術なくカレイアに串刺しにされたはずだ!! 攻撃を受けた素振りも無かった!!」
「じゃあ、どうして……?」
「わからん。魔力が無くなっただけで死ぬことは無い。特に熾天使ともなれば……まさか、デウスノーヴァの生命魔法が関係して――」
カレイアの死亡理由を考えていた時、アズリオンとルーワカの魔力感知が反応する。
絶望的な状況である。
「ふう、死んだ死んだ。さっすがカレイアだわ。まさかアレを使うことになるなんて」
「「なっ……」」
先ほどまで血塗れの肉塊と化していたルヴィエラが、片足を立てて座った状態でへらへらと笑っていたのである。
「ルーワカ――」
「そうはさせるかっての」
時間魔法を使おうとするルーワカ。
しかし、ルヴィエラは魔法が発動する前に始剣テリエーラでルーワカを斬りつける。
「ああっ……!!」
「ルーワカ!! おのれルヴィエラァ!!」
胸部を斬り裂かれ、悲痛の叫びをあげるルーワカ。
「ちっ、浅いか」
「貴様、よくもルーワカを――『世界構築』私の世界――」
「おまえの世界魔法はすっげえ厄介だけど、発動までに時間が掛かるよな。距離を詰めてさえしまえば怖くもなんともねえ……んだよっ!!」
「ちっ……」
心臓めがけて放たれた始剣テリエーラの突きを、なんとか躱したアズリオン。
首を斬り落とさんとする水平斬りを紙一重で躱し、ルヴィエラに視線を合わせたままバックステップでルーワカに近づく。
「魔王様……」
「うぐ、マズいぞこれは。私と貴様ではルヴィエラを殺すにはちと火力不足。今更だが、アルバティンはどうした。なぜ来ない。この場に来るのではないのか。当初の計画では我々3人とカレイアの4人で戦う予定だっただろう」
「そのはずなんですが……」
こそこそと話すアズリオンとルーワカを見て、ルヴィエラはニヤニヤと笑う。
「カレイアが生きていればやりようはあったかもしれないけど、おまえらだけじゃあ天地がひっくり返っても勝てないよ。私を殺しきれるのはカレイアだけだよ」
「ちい、ここまでか……」
舌打ちをして、アズリオンが覚悟を決めようとしたときである。
この場に、1つの魔力反応が現れる。
「ごめん、遅くなった」
魔界の序列3位――『空間』アルバティン。
空間転移で、アズリオンとルーワカの隣に現れたのである。
「貴様どこで何をしていた!!」
「魔王様と竜王の魔力圧が強すぎるせいか、魔粒子の流れがイカレてて転移できなかった。今はマシになったから……まって、そこに倒れてるのって」
「カレイアが殺された。死体を回収して撤退する。ルヴィエラにはアズレ砦の場所がバレているから、皆を連れてどこか別の砦に移動するぞ」
「信じられない、あのカレイアが……ううん、今は驚いている場合じゃない。わかった、それならディアル砦にしよう」
「頼む」
アルバティンは頷くと、アズリオンとルーワカの足元に白い魔法陣を顕現させる。
「ちょま、逃がすかっての」
「これ以上、私たちの仲間は殺させないから――『永永無窮』」
「ちっ」
ルーワカの時間魔法でルヴィエラの動きが遅くなった隙に、アルバティンはカレイアの死体を回収してアズリオンとルーワカと共に一旦アズレ砦へ空間転移するのだった。
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なんとか助かったようですね。
やっぱりアルバティンは便利ですね。
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