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『昇級試験の誘い』

 グレイ騒動から、1週間が経過した。

 依頼から帰還して、私とアメルは冒険者協会の浴場で汗を流したあと、いつもの酒場で夕飯を取ろうとしていた。

 小刻みに身体を揺らしながら、嬉しそうに献立表を眺めるアメル。山道を歩いて大量のカロリ―を消費したので、今日は肉料理を食べたい。

 鶏肉にしようか。豚肉にしようか。それとも豪勢に牛肉にしようか。どれもこれも魅力的な料理ばかりで迷ってしまう。


「決めた!! 私はクリームシチューにするよ!!」


 どれにするか迷っていると、アメルが嬉しそうに献立表を閉じた。


「アメルはクリームシチューにするんだね。じゃあ、私は唐揚げカレーにしようかな。唐揚げたくさん入ってるし」

「あうう、そうだねえ……唐揚げカレーもいいよねえ……そうだ、カレンが唐揚げカレーを頼むなら私はカツカレーに変更するよ。そこで提案なんだけど、私のカツを1切れあげるから、カレンの唐揚げを1個ちょうだい?」

「いいよ」


 カツと唐揚げでは値段的に釣り合わないと思うが、アメル本人が良いのであればおとなしく貰っておこう。


「あら、ふたりとも……こんな遅くに夕飯ですか?」


 数分後――

 料理が届き、私たちがカレーライスを食べていると、受付担当のリンが話しかけてきた。

 制服姿だが、いつもの名札を付けていないので、仕事が終わったのだろう。


「うん、今日は山岳地帯に行ったせいで帰るのが遅くなったからね」

「山岳地帯? どんな依頼を受けたんですか?」


 隣の席に座ると、リンが依頼内容を訊いてきた。


「マウンテンバードの討伐だよ」

「マウンテンバードですか。私の記憶が正しければ、マウンテンバードの討伐はDランク最難関と設定されていますが……依頼はどうでしたか?」

「楽勝だったよ」

「マウンテンバードを楽勝ですか。それじゃあ、昇級試験を受けてみませんか?」

「「昇級試験?」」


 首を傾げる私とアメルを見て――

 リンは笑みを浮かべると、献立表を開きながら昇級試験について説明してきた。


「現在、アメルさんとカレンさんは冒険者協会のリストでは初級冒険者に分類されているんですよ。初級冒険者は原則Dランク依頼までしか受注できません。最初の説明時に言いませんでしたか?」

「「……言われた?」」


 顔を見合わせる私とアメル。

 そういえば、初回説明時にそれっぽいことを言われたような……安定してDランク依頼を達成できるようになったら、職員から言うみたいなこと――


「昇級試験に合格すると、初級冒険者から中級冒険者扱いとなり、CランクからBランクまでの依頼を受けることができます。階級が上がると報酬金も上がりますし、個人ギルドを設立することができますよ」

「ギルド!?」


 アメルが驚愕の声を上げる。


「ギルド設立には、初期メンバーが3名必要です。ギルドを設立すると素晴らしい恩恵を受けられます。ギルドハウスの貸し出しやギルド対抗戦の参加資格。これ以外にも多くの恩恵があります。もちろんですが、ギルドの設立は義務ではありません」


 最高じゃないか。拠点を貸してもらえるのなら宿を予約する手間も省けるし、ギルド対抗戦にも興味がある。

 しかし、ギルド設立には3人の初期メンバーが必要らしい。私とアメルは確定として、残り1人をどうするか――


「ねえねえ、リンさん、例えば私がギルドを作ったとするよ? そしたら何かデメリットとかあったりするの?」


 人員不足に頭を悩ませていると、話を聞いていたアメルが口を開いた。


「デメリットですか……そうですね、例えば凄く強い魔物が現れたとき……もしくは他国と戦争になったとき……そういった場合には女王陛下の命令で出動してもらうことはありますね。まあ、そういった場合には上位ギルドの冒険者しか呼ばれませんし、心配することはありませんよ」

「なるほど、それなら大丈夫だね。私は上位を目指そうとか思ってないし、カレンと楽しく過ごせればいいから」

「それじゃあ、明後日の午前5時に私のところに来てください!! 昇級試験の依頼書を渡しますので!!」


 アメルの発言に少し照れていると、献立表を閉じたリンが言ってくるのだった。


可愛い女の子たちのギルドとか、最高を超えてウルトラ最高ですね。

ゆんげは、遠くから温かい目で見守っております。


最後まで読んでいただきまして、ありがとうございます!!

みなさんに楽しんでいただけることが、執筆活動の原動力になっております!!

これからもよろしくお願いします!!

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