藤宮涼
私には好きな人がいる。
七瀬葵。目を閉じると浮かんでくる彼の姿。
葵とは、中学の時からの付き合いだ。
あの頃の私は自分が特別な存在だと思っていた。
運動、勉強、大抵のことはなんでもできて、苦労なんてしなくても私が一番だった。それに、人から注目されるような優れた容姿、本気で世界は私を中心に回っていると思っていたくらいだ。今考えると恥ずかしい、そんな私にそうではないと気付かせてくれたのは葵。
あの頃に戻れるなら、自分で自分を殴りに行くだろう。私は葵に負い目がある。葵には幸せに人生を過ごしてほしい。けど、私には葵を幸せにはできない。あんなことをしてしまった私には、葵を幸せにする資格なんてない。
だから、
だから私は、葵の傍で彼を幸せにしてくれる人が現れるまで支え続けようと思う。
完璧に、絶対に葵のために生きていける。そんな私のような人が見つかるまで…
いや、私が見つけてあげる。そして、見つけたあともずっと…
こんにちは美濃由乃です。
投稿していた"キミは何も知らない"七瀬葵編、織江汀編が完結しましたので、藤宮涼編の投稿を開始しました。
"キミは何も知らない"はこの三編で全てとなります。この後の物語も、どうぞよろしくお願い致します。