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職業ガチャでSSレアを引いたら死神になりました。  作者: 柚木
四章 天上の国、魔王の増殖
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雲上の国

「この娘が大怪我をして空から落ちてきたわけか」


 現在修復中の獣人の町から森人の集落に彼女を運んだ。

 勝手に使うわけにもいかず、長に話を通し無理を言って一部屋借りることになった。


「この羽も本物みたいだし、翼人であるのは間違いなさそうだな」


「翼人って本当にいたんですね」


「らしいな。長い間交流も途絶えていたからてっきり絶滅したのかと思ってたよ」


 翼人は大きく分けると獣人の仲間だと教わった。

 町長たちが地を駆ける獣がベースなのに対して、翼人は空を飛ぶ鳥がベースだ。

 内陸にいると出会う機会はないが、魚がベースの魚人も同じく獣人の仲間らしい。


「それよりも重要なのはこいつは魔王を言ったことだ。それと助けてくれと言っていた」


「東で逃げた魔王はウォル殿が全て討伐したのだろう? 新しい魔王が生まれたというのか?」


「そうなるな。だが、不幸中の幸いはウォルがいてくれたことだな。魔王の討伐となればこいつがいれば負けはない」


「そうだが、あたしが気になるのはこの娘の言うことがどこまで真実かだな」


「お前よりは嘘を吐きそうにないと思うが?」


「お前ほど化かすのは上手くないだろうが、気絶する直前の言葉なのだから続きがあるかもしれない」


 その可能性があるのか、まおうなんちゃらって単語があるのかもしれない。

 そうなると、結局はこの子が起きるまで待機しかないわけか。


「それじゃあ、俺は一度町に戻ってます。シャル達にも事情を伝えておかないといけないので」



 翼人の少女が目を覚めたと連絡を受けたのはその日の夜中だった。

 森人の青年に呼ばれ、四人で彼女に向かう。


「ウォルか入れ。お前達が来るのを待っていたんだ」


 部屋の中には少女が長に支えられながら体を起こしていた。


「只人がなんでこんなところにいるんですか?」


「俺はウォル・ノーグル、東の使者って感じだ」


「こいつらの身元は私が保証する。彼らは魔王を四体討伐している。お前にとって仲良くして損はないはずだ」


「そうですね。私の名前はティック。雲上の国イルミナの住人です」


 ティックはゆっくりと話を始めた。


「一月前、門が壊されたことが始まりだと思います。丁度、他の国と接近する時期だったので軽い接触事故だと思っていました。


 それから数日後、町が一つ消滅しました。

 辛うじて生き残った人から魔王に襲われたと報告があったらしいです。

 その日の内に魔王の襲撃は国中に知らされ、移民も多くいました。

 それから数日に三日ごとに町や村が一つずつ消えて行きました。

 五つ目の町が滅ぼされた頃、他国がイルミナに国を付け、そこからは百を超える魔王の大群がイルミナに押し入ってきたんです」


「ちょっと待ってくれ。百を超えるって、なんで魔王がそんなにいるんだよ!」


「幻影の魔王みたいに張りぼてとか?」


「そうかもしれません。私達はその魔王の大群と戦いました。そして十日間魔王と戦い続け、三日前に敗北しました。


 私達は散り散りに国を飛び出し、獣人や森人、地人に助けを求める途中でここから伸びる光の柱を見つけ、ここに来ました」

 正直に言うなら意味がわからない。

 嘘を吐いている様子はないけど、話しがありえなさすぎる。

 魔王が生まれただけでも驚きなのに、それが百以上いるという。

 そんな荒唐無稽な話にこの場にいる全員が口をつぐむ。


「そうですよね。信じてもらえませんよね。助けてもらってありがとうございます。私は他の所に行ってみます」


「私はティックさんの話を信じます。彼女は深い傷を負い必死でした。そんな彼女を疑うよりも、私は信じたい。困っている人を助けるのは『神官』の本分です」


「ヴァレンシアさんの言う通りですね。私も『守護者』として、困っている人を守らないといけませんね」


「ルゥは疑ってるけど、姉さまがそういうならついていくけど」


「魔王がいるなら俺が行かないといけないか」


 よく考えたら俺達が倒した魔王も信じられないような話だしな。

 それに雲上の国っていうのには興味もある。


「お前達が行くのなら、あたし達が付いて行くのは逆に邪魔になるな。必要な装備はこちらで準備しよう」


「信じてもらえるんですか?」


「はい。私達には『英雄』がいますから、安心してください。彼がいる限り魔王に怯えなくても大丈夫です」


「あ、ありがとう……、ございます……」


「あなたはよく頑張りました。もう大丈夫です」


 ぽろぽろと涙が溢れるティックをヴァレンシアが優しく抱きしめる。

 安堵からかティックはまた眠りについた。

 ヴァレンシアに彼女を預け、イルミナに行く準備を始めた。



 翌日ティックが目を覚まし、俺達の準備が終わる。


「今更だけど、どうやって空にある国に行くんだ?」


 昨日は軽く助けるとか言ったけど、気合いだけじゃ空に手は届かない。


「それなら古いが、上に行く手段はあるぞ。昔は交流があったと言っただろ」


 獣人の皆が持ってきてくれたのは一隻の船だった。

 木製のボート、池なんかでたまに見た手漕ぎのボートだ。


「宙船。天上ある鉱石を埋め込んだ船で、昔はこれで往復していたらしいぞ」


「嬉しいけど、これって動くのか?」


「起動確認はした。往復くらいはできるはずだ」


 はずってもしできなかったらどうするつもりなんだよ。


「まあ、これ以外に行く手段はないんだしさ」


「移動の方法は、昔の名残で魔力を二種類流せば浮くからな」


 なんの名残だよとツッコミはしないが、言われた通りにやってみると、不安定ながらもボートは空を飛んだ。

 無事にたどり着くか不安しかないが、俺達はイルミナを目指し船を動かす。

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