表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/67

9話

 モンスターを狩ること一時間半、全部で3体程狩ることができ、正直想像以上だった。


 かなり良いペースで来ているが…


「さ、流石にちょっと疲れたな……。千尋さんは大丈夫?」


「まだ大丈夫だけど、少し体力回復したいから、一回車に戻ろ」


 ダメージをそれほど受けていなければ、肉体に戻って軽く休むだけでも結構体力が回復するんだ。


「ついでにミカに結晶浄化してもらおうか」


「そうね」


 俺が2つ、千尋さんはまだ1つだが、少しでもスキル効果で千尋さんの足を引っ張らないようにしたい。


 まぁどんなスキルか分からないので何とも言えないが…



 車に戻り魂を肉体に戻した後、ミカの名前を呼ぶ。


 少ししてから、後部座席からミカの声が聞こえた。


「二人とも~! 頑張ってるみたいだね!」


「うおっ!!」


 不意に話し掛けられたもんだから、めちゃくちゃオーバーリアクションを取ってしまったじゃないか……。

 千尋さんは相変わらず冷めた目で見てるし……。


「み、ミカ、びっくりさせるなよ…」


「えー!! だって珪太が呼んだんじゃん!!」


「そうだけどさ……。それより結晶、浄化してもらいたいんだ」


 手に入れた結晶をミカに渡し、あっという間に浄化された結晶を渡された。


「これの効果何?」


「珪太、良かったね! 物理攻撃耐性小があるよ!」


「おぉ! やっとか!」


 ずっと欲しかった防御力アップ系。

 これで少しは激痛が軽減されるといいんだけどな…。


「もう1つは精神力小だね! うんうん、2つとも当たりみたいだね!」


 精神力ってなんだ?

 要するに魂自体が強化されるってことか?


 まぁミカが当たりと言うなら良いものなのだろう。


「ミカたん、次は私のもお願い」


 千尋さんがミカに結晶を手渡し、浄化してもらう。


「ちーちゃん、これはハズレかも…」


 ミカがしょんぼりして、千尋に結晶を戻す。


「これはね~、一応強化スキルなんだけど…飛道具の人じゃないと効果発揮出来ないみたい…」


「えー!!! マジ? ハズレとか初めてなんだけど」


 ガッカリとして結晶を見つめ、大きなため息をついた。


「千尋さん! あの、これ…好きな方1つ、どうぞ」


「はぁ? なんで?」


「千尋さんのハズレちゃって、俺だけ当たりって言うのも…」


「あのねー!! 珪太は弱いんだから、そんな事気にしないでよ!」


 グッと服を引っ張られ、千尋さんの方に俺の顔が近付く。


「分かったの!?」


「わ、わかりましたっ!」


 近い近い! 顔が近いって!!


 慌てる俺の服を離し、ふんっ! とそっぽを向いてしまった。


 千尋さんは怒っているけど、初対面の時よりかは少し心を開いてくれたような気がする。

 気だけかもしれないけど……。



 それよりも……


「なぁミカ。飛道具なんてあるのか?」


「あるよ~! 君たち二人は剣だけど、弓や銃もあるんだよ」


「へー!! 銃もあるのかよ!」


 正直剣よりも銃とかの方が良かったかも。

 近距離戦よりも、敵と間合いが取れる分、ダメージを受ける率が低そうだもんな。


「でも~弓矢や弾は魂の体力を削り打つタイプだからね~。なかなかいないよ。天使の羽ははその人に最も適した武器に変わるんだ」


「そうなのか。俺はてっきりその羽1つ1つランダムなのかと思ってたよ」


「天使の羽から出来たら武器は、君たちの魂の強さに比例するように強くも弱くもなるんだよ。見た目も少し変わったりするしね~。」


 そうなのか。

 今は量産型のロングソードと言ったところだが、いつかめちゃくちゃカッコ良くなったりもするんだろうか。


 そんな事を考えいると、千尋さんが口を開いた。


「ねぇミカたん、結晶って今すぐ取り込まなくても大丈夫なの?」


「ん? 大丈夫だよ~!」


「それならもし飛道具の人と会ったら、その人にあげるわ」


 そう言うと、千尋さん結晶を鞄にしまった。


「じゃぁ私少し仮眠取るから。珪太も少し休んで」


 再びシートを倒し、千尋さんはそのまま目を閉じた。


「じゃぁボクは行くね~!」


 ミカもそう言うと、ふっと消えてしまい、車内はシーンと静まり返っている。


 俺も寝よう。


 そう思って目を閉じるも、体は疲れているのに頭は妙に冴えてしまっている。


 飛道具の武器……

 魂を削る辺り、魔法に少し似ているのだろうか。


 と言うか、魔法っていつ使えるんだよ……。

 千尋さんも使えそうな気配ないし。


 魔法も結晶から得るのか、それとも経験値から得るのか。


 早く使えるようになりてぇー!!


 それに、俺たちのような人間はどのぐらいいるんだろうか。

 千尋さんと俺は、わりと家も近いからな。

 案外、他にも近くにいるのだろうか。


 いや、でもそんなポンポンと人の願い叶えていいのか?

 あっ!2つ目の願いはいつ叶えてもらえるのだろう……


 なんて……

 どれも今考える事じゃないのにな。


 一度考え出すと、あれこれ脱線しつつも延々と考えてしまう。



 だが、この時しっかりと休んでおかない事を、俺は後々後悔することになる。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ