第二十三.五話 決意の目覚め
綿毛の中からふわりと舞い上がるような心地よさで、麗は目を覚ました。瞼が開く。ただそれだけのことだが、でも確かに自分の意思がそこに通っていることがわかり、嬉しくて、麗は静かに目尻から一筋の涙をこぼした。久しぶりの、自分の体だった。
「麗!」
麗の目覚めにいち早く気がついた浩太郎が声を上げ、その声によって天助と愛奈も飛びつくように麗を覗き込んだ。
「麗……! 良かった、良かった……!」
「もう、心配したんだから……!」
天助は喜びを噛みしめるような、安堵するような、そんな混濁した笑みを浮かべながら涙を流し、愛奈は麗へと抱きついて同じように涙を浮かべた。
「みんな……! 私、私……!」
安心しているのか、謝りたいのか、お礼を言いたいのか、自分でもわけがわからなくなって言葉にできなくて、麗も一緒になってわんわんと泣いた。でもすぐにハッとして、麗は涙を拭った。
「そうだ、紗良々さん……!」
すると、途端に皆の表情が暗く曇る。その理由は、麗も知っていた。
「……私、ちゃんと覚えてるの。自分が自分じゃない間も、外の世界は見えていたから。紗良々さんに助けてもらったことも、紗良々さんが今、大変なことも」
麗は力強く三人を見た。
「だから、行こう。紗良々さんを助けに!」