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第九十四話 屑と女騎士【幕の内(カツドン)】

「もう何度も話しただろう!! エルフを助けたお礼に、エリクサーを貰ったんだよ!」


 警察の取調室もとい、病院の別室で俺は長い時間、任意の名の下に尋問され続けていた。当たり前の話しだが、死にかけの患者が、数分のうちに完治するなんて常識では到底考られない。そんな奇跡がこの病院で起こっていた。


 俺は事実を正直に話したのだが、秘薬の存在を信じてはくれなかった。そこでレイラとルリが俺の証言を裏付けて貰うことになったのだが、その時間にかなり手間取っていた。もし、レイラたちがもっと階級の低い冒険者だったらと考えるとゾッとした。


「すいませんね、確認に手間取ってしまいお手数を掛けました」


 全く誠意のかけらもない謝罪にブチ切れそうになった。俺は席を立とうとすると、部屋の扉から、病院での地位が高そうな男が入ってきた。


「申し訳けありませんが、秘薬についてお話しをしたいことがあります」


 俺はその言葉を聞いて、机の上に突っ伏した。

 

「カツ丼、カツ丼をまず用意しろ!」


 俺は机をバンバン叩きながら、がなり立てた。


 男は不思議そうな顔を俺に向けてきた。


「飯だよ! 昼から何も食っては居ないんだ!!」


 顔を真っ赤にして怒る。


すいませんねぇ(・・・・・・・)、すぐに御用意させます」


 テーブルにパンと果実水が置かれた。俺は皿の上にのったパンを握りしめ、これ見よがしにがつがつ食いながら話を聞く。


「おっちゃん様は、エルフ皇国でエリクサーを手に入れたそうで、私どももエルフの秘薬を買いたいのです」


「それは、無理だわ」


 即答し、男の顔色が変わる。


「当院は大商人や王族方とのお付き合いも多く、出資金額には糸目は付けませんぞ」


「魔人との通貨が違うんだよ、人間の使う金なんて誰も信用しない。どれだけ王国のお金を積もうと、エルフ皇国ではパン一個でさえ買えないぞ」


 わざとらしく、手に持ったパンを男の前で左右に振った。


「それでは宝石で取引すれば良いではないですか」


 ドヤ顔で答えが返ってきた。


「もし、小鬼が宝石を持って高級品を取引したいと行ってきたら、あんたは取引するのか?」


「ははははは、そんな事するわけがない。しかし、人間は文化が全く違いますぞ」


「そうだろうか、魔人と人間の文明の差はどう見積もっても五十年以上は開いている。魔人が五十年先だ」

 

「信じられません……」


「俺の話を信じなくてもいいさ、宝石を引っ提げて、皇国に持って行けば答えは出るからな」


「貴方が仲介してくれれば、問題は解決するのでは無いでしょうか?」


「今回はただ運が良かっただけだ。俺がエルフ国と対等な関係ではないからな」


 それを聞いて男は肩を落とした。


「そんなに秘薬が欲しければ、国を動かして外交するのが筋だと思うぞ」


 柄にもなく、至極まっとうな事を言って身体が痒くなってしまった。 


 *      *     * 


 取り調べ室からテレサの居る病室に戻った。


「二人とも世話になったな」


 レイラとルリに頭を下げた。


「仕方がないさ、おっちゃんが居ないと、テレサの快気祝いの料理を作る人がいないからな」


 一同が笑う。


「店でしようぜ!! もうおっちゃんのライフはゼロだよ」


「じゃあ、明日全員で帰るか」


 テレサが申し訳なさそうな声を出す。


「すまないが、二、三日は退院出来そうもないだろうし、こちらにも用事が山のように残っている」


「テレサは真面目すぎだぜ」


「俺もそう思う」


「うんうん」


 俺たちはテレサに別れを告げ、馬車に乗って宿屋に向かった。 

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