第二十五話 冒険者
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沢の音が小さく聞こえる苔むした道を進む。足を取られそうになりながら、高く売れそうな薬草が生えていないか辺りを見回す。近場で狩れる薬草の数が減ったので、単価の高い薬草を求めて沢の奥へ奥へと潜っていく。うっすらと水蒸気が立ちこめる中、先日のような不幸の出会いを恐れて足がすくむ。もっともターニャの方は、脅かそうとしただけで、人間を食う気は全くなかったのだが……。
三日以上かけて足を運んだおかげで、思った以上の薬草が採れはじめた。さっきまで恐ろしかった山の表情が、いつの間にか天使の顔に変わる。冒険者とは本当に現金なものだ。しかし、そんな至福の時間は続かない。数十メートル手前に子供を咥えた大蛇に出会う。蛇の口から可愛い足が二本飛び出て飲み込まれている姿は、昔見たディスカバリー番組の様だった。
まだ大蛇は獲物を飲むのに夢中で俺に気がついてはいない。薙刀を握りしめその出来事を見ないことにした――
何故かあの若い二人の冒険者のことを思い出す……
見殺しにできるかあーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッ
自分の甘さ加減に絶望しながら、十メートルはある大蛇の腹に薙刀を通した。ぬるっとした感触が握った柄に伝わってくる。まだ勝負はついていないが、鱗にはじき返されなかったことに安堵した。刺さった刀身を真下に振り下ろすと、大蛇は狂ったようにクネクネと尻尾をよじりながら暴れ出す。抜いた刀から赤い血が飛び出す。そしてもう一度、隙を突いて刀を真横に薙いだ。
大蛇は俺を見ることなく血を流しながらもがく。次第に動きが鈍くなり、ぐったりと頭を下げて地面に触れ伏した。俺は自分で殺ったにも関わらず、おっかなびっくり蛇に近づき、動かない身体に止めを刺した。蛇の口からはまだ二本の足が見えている。俺は慌ててその足を引っ張る。
ずるっと……蛇の粘液に包まれたずんぐりと太った子供が口の中から出てきた。いや、子供ではなく髭面の親父だった。
「すまん、助かったぞ」
そういって小さな親父は俺に手を伸ばす。俺は粘液だらけの手を見て苦笑いだけした。俺が子供だと思って助けた男はどうやらドワーフらしい。
「静岡音茶だ」
「儂はノエルだ、お前は見たところ人間か?」
「ああ、ノエルはドワーフだな……とりあえず、そのぬめったままの身体では気持ち悪いだろう」
そう言って、沢までノエルと一緒に付き合うことになった。水で汚れた身体を流しながら、どうして襲われたのかと尋ねると、ボウアという大蛇を狩りにきて逆に飲み込まれたと答えが返ってきた。
「すまんが歩けんのじゃ」
俺に足を見せると真っ赤に腫れていた。さっきまでは気がはっていて歩けたのだろう。俺は鞄からポーションを差し出す。
「これを飲め」
ノエルは済まなそうな顔を俺に向け
「嬉しいがこれは飲めんぞ、人の薬が毒になる可能性は否めない」
そう言われれば全くその通りだ。俺は気にするなといいポーションを鞄にしまう。
「助けて貰って済まんが、蛇に襲われ道具を失ったので連れっていってくれ」
「そのソリに乗ればいい」
俺は彼をソリに乗せてボウアの死体のところまで戻った。森の中に散乱した道具をいくつか集めたが、残念なことに彼の持っていたポーションは中身が溢れて使えなかった。とりあえず彼の指示通りボウアの皮を剥ぐ。
「誰か仲間はいるのか?」
「いや、儂一人で狩りにきたのじゃ」
「その足では帰れないか……」
助けた俺は腹をくくるしかなかった。
「助けて貰って悪いが頼みがある――もう少しボウアの皮が必要なので狩りを手伝って欲しい」
俺は彼を家につれて帰るだけではなく、とんでもないことに巻き込まれたらしい。
物語始まって以来の長編(ここの連載小説基準)になります。少し中だるみし、読者を減らしそうで怖いすが、飽きさせないような展開にしていきます。一度に投稿したら問題ないのですが、ストックの量を考えると難しいです。この辺りはネット小説の面白さだと……。これからも異世界で頑張るおっちゃんを楽しんでください
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