第二十四話 溜まり場
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家の扉を開こうとするが鍵が掛かって開かない。もう一度、鍵を回すとガチャリと音がして扉が開いた。誰も居ない部屋の中から、かしましい声が耳に届く。次の展開が読めるだけに部屋に入る気がしない。
「待ちくたびれたぞ! 早くご飯を作ってくれ」
「会えて嬉しい」
招いても居ないレイラとルリが俺を迎える。学生時代に大友君の家がたまり場になっていたのを思い出し、俺は当時の彼と同じ顔をしていたことに苦笑する。部屋に入ると三人の女性がくつろいでいた。レイラとルリそしてもう一人の女性に目をやると
「先日は大変失礼した。あのとき借りた服を返しに来たのだが……」
テレサは俺に頭を下げた。隣にいた赤い髪の雛鳥が
「早く飯にしてくれ」
と、五月蝿く鳴く。
「風呂ぐらい入らせろ」
そういって風呂場に向かう。風呂に入ると浴槽の中の湯が、沸いていないどころか空だったことに涙する。仕方がないので外にある井戸で水をくみ汗を流した。
「風呂ぐらい気を利かせて沸かしとけ」
彼女はハッとした顔をして
「わりーお湯を抜いちまった」
お前は風呂に入ってたのか! もう絶句するしかなかった……。俺はムスッとした顔でレイラを睨み付けたが、どこ吹く風といった感じで受け流された。悲しいかな、異世界で女子高生を持った父親の気分を味わう。
それでも若い娘が家にきてくれたのだから料理の腕を奮う。唐揚げ、天ぷら、串揚げと油づくしの料理でテーブルを埋めた。
「「「美味しそう」」」
かしまし娘がハモったのを聞いて拳を握る。
「串に刺した小さな丸い卵料理は絶品だな」
テレサは溢れんばかりの笑みを浮かべる。レイラは次から次へと揚げ物を口に運ぶ。ルリは――
ぷ、プリン! だけ食べてますけど……。
「プリンは正義、他の物でお腹を満たすのは失礼」
おっちゃんは自分の娘なら叩いているよ、という思いを唐揚げと共に飲み込んだ。ただ悔しかったので
「じゃあアイスは食べないんだな」
我ながら大人げないと自覚つつ、俺は不敵な笑みを浮かべる。
「アイスは別腹」
レイラはフォークの後ろを机に打ち付けて爆笑していた。うちの娘たちは本当に行儀が悪い。
「そういや、テレサも冒険者なのか?」
「ローランツ王国の騎士をしている」
レイラやルリと違い何か上品だとは思っていたが、まさか騎士だとは思わなかった。
「おっちゃん! 今何か失礼なこと想像しただろッ」
彼女の勘は良い……。
「酒場で話したと思うが?」
彼女に憐れみの目で見られた気がした。年を取ると急激に物覚えが悪くなる――これはおっさんあるあるな。
「王都で働いているのか?」
「いや、このタリアの街で姫様を守っている」
テレサは白薔薇騎士団の副隊長をまかされている女騎士だった。通常の騎士とは違い国王の姫を特別に警護する役目を負っている。そして、彼女の守っている姫は第二王女で王都に住まずこの町に居を構えていた。
「道理で剣の腕が立つはずだ」
「まあまあの腕だったな」
レイラはテレサを軽く睨み付け、嫌悪感を露わにした。
「それにしてもおっちゃんさんは料理が上手で感服したぞ。貴族が食べる料理と引けを取らないのには驚いた」
「ああ、そうだろ!」
何故かレイラが偉そうに答える。
「故郷の料理が口にあって良かった」
腕組みをしながら、料理人気取りの格好良いいポーズを決めてみた。
「また、遊びにきていいだろうか?」
「駄目ッ!」
ルリがくい気味で返辞をした。
「ははは、いつでも来てくれ」
俺はルリにお尻をギュッとつままれながら、彼女の騎士姿を想像し口元をにやけさせた。
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